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| 日本は世界最古の文明国として、異なる道を示す責任があります。 それは「法に縛られる自由」ではなく、慣習と心に根ざした自由です。 成文法を最小限とし、人々の「正しく生きる心」を基盤とした社会。 この姿こそ、人類が次の文明へ歩むための希望になるのです。 |
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現代社会では、成文法（written law）が社会秩序を支える基本とされています。
「法律に書かれていないなら、何をしても良い」とする発想は、近代法の常識として浸透してきました。けれども、果たしてそれは本当に健全な社会のあり方なのでしょうか。
私はむしろ、成文法は最小限で良いのではないかと考えています。なぜなら、成文法の徹底はしばしば「法の隙間を突くエゴ」を助長し、結果として人間社会を醜くしてしまうからです。大切なのは、法に先立つ「心」であり、古来からの慣習に根ざした正しい生き方です。
日本の近代法学は、明治時代に大きく二つの潮流を持ち込みました。
ひとつは、フランス法を基礎とした「条文絶対主義」。条文に書かれていることがすべてであり、それ以外は考慮しない立場です。これは東京大学を中心に広まりました。
もうひとつは、英国法をモデルとした「慣習尊重主義」。法の背後にある社会の慣習や常識を重んじ、裁判官の判断や陪審制を通じて「人間の常識」を守ろうとする立場です。こちらは中央大学の源流となりました。
日本は世界でも珍しい「古代から連続する文明国」です。縄文以来、共同体の中で自然と培われた慣習や道徳心こそ、社会の根を成すものでした。明文化された法がなくとも、互いに支え合い、秩序を保ってきたのです。
江戸時代を思い起こしてみましょう。
法令は存在しましたが、それを万能とするのではなく、むしろ「奉行の裁量」と「地域の慣習」が大きな役割を果たしました。
たとえば、同じ罪であっても地域や背景によって処分が違うことがありました。これは「不公平」ではなく、むしろ個別の事情を考慮して人間らしく裁くという姿勢でした。
つまり、法が絶対ではなく、道徳や慣習の上に法が従うという構造が日本には根づいていたのです。
しかし1945年以降、日本にはGHQによる占領統治が始まりました。
象徴的なのが「プレスコード」です。9月10日の覚書では「真実に即し、宣伝色を排す」という常識的な報道規範が示されましたが、わずか9日後の19日には「連合国やGHQを批判してはならない」という徹底的な言論統制に変貌しました。
ここには、「条文による絶対的支配」が色濃く表れています。つまり、事実よりも「書かれた条文」が優先され、自由は一瞬で形骸化してしまったのです。
成文法を絶対視する社会では、次のような問題が起こります。
●法の隙間を突くエゴ 「書かれていないから合法」としてモラルを無視した行為が横行する。
●責任の所在の空洞化 「法律に反していない」と言い逃れることで、倫理的責任を免れる。
●社会の分断 細かい規定がかえって人々の自由な交流や共生を妨げる。
結果として、「法に縛られながらもモラルなき社会」が生まれるのです。
もちろん、成文法がすべて不要だと言いたいのではありません。
人権や安全を守る最低限の規範は不可欠です。
しかし、その上に成り立つのは人々の心のあり方です。
・ 法がどうであれ「正しく生きよう」とする人々の姿勢
・ 慣習や共同体の中で培われた共感と共生の感覚
・ 奉行や行政が「条文を機械的に適用する」のではなく、「心を護るために法を用いる」こと
このバランスが保たれてこそ、社会は健全に機能します。
いま世界では、ルールや規制を強化して社会をコントロールする潮流が強まっています。
しかし、その先にあるのは「窮屈で疑心暗鬼な世界」です。
日本は世界最古の文明国として、異なる道を示す責任があります。
それは「法に縛られる自由」ではなく、慣習と心に根ざした自由です。
成文法を最小限とし、人々の「正しく生きる心」を基盤とした社会。
この姿こそ、人類が次の文明へ歩むための希望になるのです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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