| 日本は災害大国として、古くから食料備蓄の重要性を理解し、戦時中や江戸時代に古古米を優先して支給する仕組みを築きました。現代では冷凍技術の発展により、新米がもてはやされる一方、備蓄の精神が薄れつつあります。本記事では、災害への備えとしての食料管理の歴史を振り返り、「民衆をおほみたから」とした国柄の背景を紐解きます。過去から学び、未来に向けた災害対策の意義を再考する内容です。 |
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ありがとう、日本!!
我々が子供の頃には、お米はまだ配給制でした。
配給米は、主に古古米が優先で配給されましたから、あまり美味しいものではありませんでした。
それでも銀シャリといって、お米のご飯が食べられることがとっても幸せとされていました。
どうして配給制だったかというと、戦時中から戦後にかけて続いた食糧不足が原因です。
政府がお米を一括して農家から買い受けて、お米を配給したのですが、同時にお米はいざというときのために備蓄しておかないと、災害時の備えがなくなってしまいます。
ですから配給は、古古米、古米が優先され、新米は備蓄されたのです。
この古古米、古米を優先して消費するという仕組みは、我が国では古くからあったもので、江戸時代の武士の俸禄は、古古米を支給するのが常でした。
凶作などで古古米の備蓄がなくなると、古米が支給され、それもなくなると最後に新米が支給されました。
さらにそれさえも失われる事態になると、大名は商人からお米を買い付けますが、このとき古古米の方が値段が高かったのは、社会常識として日本社会全体のな米の備蓄が大切にされたことによります。
日本は災害の多い国ですから、災害による凶作が続いても、とにかくも人々が飢えないように最善が尽くされてきたのです。
戦時中は、外地における軍人さんたちの食料確保のため、昭和17年に食料管理法が制定され、米の自主流通の一切が規制され、農家で生産される米は一括してすべて政府が買取って、配給するという制度になりました。
そしてこのときも、政府が一括管理する米は、古古米から優先して支給となったわけです。
戦後もこの仕組は続き、お米の配給制度がなくなったのは、なんと昭和44年(1969年)になってからです。
これにより自主流通米が流通の主役になり、美味しい新米が優先してスーパーなどで流通するようになりました。
その後も品種改良などで、より美味しいお米が開発され、しかもできるだけ美味しいうちに食べるという習慣が根付いたため、新米がもてはやされる時代となって、いまに至っています。
現代社会では、冷凍設備の充実によって、内外から集められた生鮮食料品を冷凍することで長期の保存ができるようになり、いざ災害というときにも、そうした冷凍食料品が確保できるようになったことが、最大の理由です。
そういうことができるようになった現代と、冷蔵庫も冷凍設備も存在しなかったほんの半世紀前までの人々の生活や、災害への備えなどは、まったく異なる思考のもとに置かれていたことを、私達は理解し、知る必要があります。
たとえ味が少々落ちたとしても、いざというときのために食料の備蓄を優先した社会というのは、どこまでも民衆が安全に安心して暮らせることを願ってのことであったからです。
これもまた私達の祖先が、民衆の幸せこそ国の幸せとし、民衆を「おほみたから」とする国柄を本気で築いてきた歴史によるものだからです。
ただ、食料の冷凍設備があるからと、食料を粗末にし、いざというときの災害対策としての食料備蓄がおろそかになることは、果たしてそれで良いのかという疑問があります。
東日本大震災は大きな災害でしたが、その何倍もの広域にまたがる・・・つまり南海トラフが揺れる全国一斉の大地震を、我が国は歴史上、何度も経験しています。
あるいは富士山クラスの火山の大噴火や、通常の火山の噴火と異なる破局噴火と呼ばれる大災害も、長い歴史の中で我が国は何度も経験してきています。
いざというときのために平時から人事を尽くして天命を待つ知恵と行動と、そのための社会の形成を、私達日本人は忘れてはなりません。
ひるがえって現代社会を見ると、そうした我が国の歴史を正確に把握する努力も、日常からの災害対策の精神も失われ、行政さえも「いまだけ良ければ」という短絡的思考に陥っているように思います。
日本は古来、どんな災害が起きても盤石の国作りをしていくことが、政治の最大の役割となるであろうと思うのです。
それができない政府は、我が国の政府とはいえません。
日本は日本古来の政治をしっかりと取り戻さなければなりません。
お読みいただき、ありがとうございました。
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