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第115回倭塾 2024年12月7日(土)16:30-20:30 タワーホール船堀2F蓬莱
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現代日本の問題は、政治局面に偏った批判が多く、根本的な日本人の覚醒が必要です。戦後世代が享受した繁栄は先人の努力によるもので、現代には「明浄正直」の精神を基にした積極的な解決志向が求められています。天皇が象徴する「君民和合」の精神は、日本の一体性と家族的な国民生活の礎です。未来は今の行動で決まり、問題に感謝しながら前向きに進む姿勢が重要です。

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20241110 清らかな水

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有識者の多くが、現代日本について、もうダメだ、最悪だ、日本はオシマイだと仰られます。
メディアでも、Youtubeでも、そのように述べると、多くの人の耳目が集まるのだそうです。
けれど、そこで議論されていることは、「政局」ばかりです。
「政局」というのは、政治の局面にすぎません。
日本そのものを取り戻す。
それは、単に「いま」の批判ではなく、もっと根源的な日本人の目覚めに基づくものです。
そもそも政局批判をしている方々は、ほぼほぼ戦後の復興期の生まれの方です。
日本がみるみるうちに復興し成長する時代に育ち、華やかな高度成長期を経験し、びっくりするほど豊かだったバブル時代を経験し、バブル崩壊後もそれまでに蓄えた資産で、ある意味、悠々自適の生活を送ってきた人たちです。
ある意味、日本史上の最も良い時代を経験させていただいたといえるかもしれない。
けれどその時代は、そうした戦後生まれ人たちによって築かれたものではありません。
戦前戦中の教育を受け、戦争の悲惨を体験した先輩たちが、必死に平和を願い、復興を願い、繁栄を願って日々の努力を重ねていたその時代に、学園紛争を起こして文句ばかりを並べ、高度成長期にはその文句を言っていた相手の人たちが必死に築いた経済の恩恵を受け、バブル期に遊び呆けて、バブル崩壊後もそれなりの豊かさを満喫してきた人たちです。
つまり、イソップ物語の「アリとキリギリス」でいう、キリギリスです。
経済が停滞し、冬になって寒くなって食べ物がなくなって、いまはアリさんたちに「お恵みを〜」。
「お恵みをくれない日本は、もうオシマイだあ」
甘ったれるのも、たいがいにしろ!と言いたくなります。
なるほどいまの日本には多くの問題があります。
失ったものもたくさんあります。
けれど、問題というのは、いつの、どんな時代にもあるものです。
加えて、その問題を具体的に指摘できるということは、すでに問題解決のための8合目までは来ているということです。
ならば、あとは解決すればよいだけのことです。
問題があるから「もうダメだ」ではなく、
問題点あるから、解決しようぜという前向きな姿勢が大事なのです。
『国体の本義』は、日本の国のはじまりから、天皇の聖徳、和の精神、武の精神、結、人の和、国民生活、祭祀と道徳、西洋思想や東洋思想の特質から我等の使命まで、幅広く日本精神を解き明かした名著です。
すこし引用してみます。
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清明心(せいめいしん)
http://tadashiism.jp/kokutai23.php
君民和合の家族的国家生活は、「明浄正直」の国民性を生んだ。
すなわち文武天皇御即位の宣命その他において、
 明(あか)き浄(きよ)き直(なお)き誠の心
 清き明き正しき直き心
と繰り返されている。
これはすでに、神道における「みそぎ祓え」の精神として語り事にもうかがわれる。
天武天皇の十四年に御制定になった冠位の名称には、勤務追進の上に明浄正直の文字が示されている。
いかにこの国民性が尊重せられたかがわかる。
「明浄正直」は、精神の最も純な力強い正しい姿であって、いわゆる真心であり、まことである。
(中略)
明き清き心は、主我的・利己的な心を去って、本源に生き、道に生きる心である。
すなわち君民一体の肇国以来の道に生きる心である。
ここにすべての私心の穢は去って、明き正しき心持が生ずる。
私を没して本源に生きる精神は、やがて「義勇奉公」の心となって現れ、「身を捨てて国に報ずる心」となって現れる。
これに反して、己に執し、己がためにのみ計る心は、我が国においては、昔より「きたなき心、穢れたる心」といわれ、これを祓い、これを去ることを努めて来た。
我が国の祓(はらい)は、この穢れた心を祓い去って清き明き直き本源の心に帰る行事である。
********
戦国時代の日本にやってきたフランシスコ・ザビエルは、日本を「ここは天国だ」と言いました。
なんと、我々の目から見たら国が乱れた戦国時代が、ザビエルの目からは地上の楽園、この世の天国に見えたというのです。
いくら天国といっても、私たちは神の身ではありません。
熱い日もあれば、寒い日もある。
嬉しい時もあれば、悲しい時もある。
不幸の波に沈むこともあるでしょう。
それでも、ひとりひとりが我が身を律しながら、互いを認め合い、互いに助けあって、次代を担おうと努力してきた歴史が、日本の歴史です。
そしてこのような歴史を日本が生んだ根幹にあるのが、日本における天皇の存在です。
世界の君主は、君臨する支配者であり、国家最高権力者です。
君主は神を代理する者であり、神の権威と権限をもって、領土領民の全てを支配しました。
支配するということは、所有するということです。
所有するということは、私有するということです。
だから歴史上に現れた世界の君主は、領土領民のすべてを私有しました。
ところが日本は違いました。
もちろん日本の天皇も、領土領民の全ての所有者です。
けれど、欧米やアジア、アフリカ諸国の全ての王や皇帝と違うのは、日本の天皇は、国家権力を持たない「国家最高権威」です。
そしてその「国家最高権威」が、民衆を「最高のたから」としたのです。
これを日本の古い言葉で「シラス(知)」といいます。
単に「私有する」ということと、「たからとしてシラス」ということは、まるで意味が違います。
諸侯が王の私物だった世界に対し、日本では政治権力者である諸侯は、天皇から、天皇のたからである領土領民を預かる立場です。
王が諸侯を支配し、諸侯が民を支配するという上下の関係ではなく、
日本は天皇が民をたからとし、諸侯が民を守るという仕組みを築き上げました。
これが「君民和合」です。
ただ和合するだけでなく、天皇も諸侯も民も一体となってひとつの家族となる。
これが「家族的国民生活」です。
古い言葉で、これを「八紘一宇」といいます。
このような国の形(これを国体といいます)が根底にあればこそ、日本人は日本の社会において明浄正直の国民性を、長い歴史の中で保持することができたのです。
「明浄正直」の国民性は、「みんなで力を合わせて問題の解決に当たる国民性」でもあります。
考えてみてください。
現代日本の問題点を解決できた先に、私達はどのような未来を迎えるのでしょうか。
それは、「もうダメだ」という未来でしょうか。
栄えある、そして世界に冠たる日本の姿でしょうか。
それは日本人の生活が貧困化し、治安も安全も脅かされる未来でしょうか。
それとも誰もが豊かに安全に安心して暮らせる未来でしょうか。
未来は、「いま」の向こう側にしかありません。
どういう未来を築くかは、我々自身の「いま」によって決まるのです。
日本は元来、明浄正直の国です。
誰もが曲がらず歪まず、明浄正直に生きることができる国こそ、理想国家です。
そして日本には、そんな理想国家を築いてきたのです。
「明浄正直」は、別な言い方で、「清明正直(じょうみょうせいちょく)」とも言います。
意味はほぼ同じです。
「清く(浄く)、明るく、正しく、真っ直ぐに」です。
ちなみに「清」は、青く澄み切った水を意味します。
「浄」は、力を入れて水を清めることを意味します。
その意味では、単に清らかな水を意味する「清明正直」よりも、明確な意思を持って清めていく「明浄正直」の方が、心得としては、より適切かもしれません。
人は生きていれば、心身に必ず穢れを受けます。
穢れを祓った状態が「明浄正直」ですから、穢れた状態というのは、その反対とわかります。
つまり穢れとは、「暗く、汚れて、誤っていて、歪んで」いる状態です。
四文字熟語風にすれば、「暗汚誤歪(あんじょうごわい)」となります。
では、現代日本は、「明浄正直」でしょうか。それとも「暗汚誤歪」でしょうか。
若者たちの様子を見ていると、多くの国民は、教育を受けていなくても「明浄正直」の国民性をいまもしっかりと保持しているように思います。
けれど、メディアや一部の政治や評論家たちの様子は、どうみても「暗汚誤歪」です。
社会を変革して「明浄正直」の国民性を取り戻したいのなら、自ら率先して「暗汚誤歪」を祓い、「明浄正直」に生きるよう心得ることです。
それは「暗汚誤歪」を批判することではなく、「暗汚誤歪」を呑み込んでいく慈愛に基づくものでなくてはなりません。
では「呑み込む」とはどういうことかといえば、それは「感謝すること」です。
我々は「暗汚誤歪」があるから、それらを祓い、「明浄正直」を目指すことができるのです。
つまり、「暗汚誤歪」の人たちは、我々に「明浄正直」に目覚めるよう、教えてくれている奇特な方々なのです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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