ねずさんが描く女性の日本史2024/10/29発売(予約受付中)
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オードリー・ヘプバーンが晩年に遺した詩のなかに、「本当の美しさは精神にある」という言葉があります。我が国に於いても男女の神イザナギとイザナミや小野小町の和歌など、外見の美しさよりも内面の美しさを尊ぶものがたくさなります。本稿ではオードリーの詩の全文を紹介するとともに、詩や言葉をただ受け取るのではなく、自分の価値観を通して深く考えることの大切さを述べさせていただきました。

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20201003 オードリーヘップバーン
画像出所=https://hominis.media/category/overseas/post658/
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画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)


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「オードリー・ヘップバーンが、亡くなる数日前に息子たちに読んで聞かせた詩」です。
内容がとても素晴らしいので、ブログでもご紹介したいと思います。
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"Time Tested Beauty Tips" ―Sam Leveson
『時を越えた美しさの秘密』
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For attractive lips, speak words of kindness.
魅力的な唇であるためには、美しい言葉を使いなさい。
For lovely eyes, seek out the good in people.
愛らしい瞳であるためには、他人の美点を探しなさい。
For a slim figure, share your food with the hungry.
スリムな体であるためには、飢えた人々と食べ物を分かち合いなさい。
For beautiful hair, let a child run his fingers through it once a day.
豊かな髪であるためには、一日に一度子供の指で梳(す)いてもらいなさい。
For poise, walk with the knowledge you'll never walk alone ...
美しい身のこなしのためには、決してひとりで歩むことがないと知ることです。
People, even more than things, have to be restored, renewed, revived,
物は壊れれば復元できませんが、人は転べば立ち上がり、失敗すればやり直し、挫折すれば再起し、間違えれば矯正し、
reclaimed and redeemed and redeemed ...
何度でも再出発することができます。
Never throw out anybody.
誰も決して見捨ててはいけません。
Remember, if you ever need a helping hand,
you'll find one at the end of your arm.
人生に迷い、助けて欲しいとき、いつもあなたの手のちょっと先に助けてくれる手がさしのべられていることを、忘れないで下さい。
As you grow older you will discover that you have two hands.
年をとると、人は自分にふたつの手があることに気づきます。
One for helping yourself, the other for helping others.
ひとつの手は、自分自身を助けるため、
もうひとつの手は他者を助けるために。
The beauty of a woman is not in the clothes she wears,
女性の美しさは 身にまとう服にあるのではなく、
the figure that she carries, or the way she combs her hair.
その容姿でもなく、髪を梳くしぐさにあるのでもありません。
The beauty of a woman must be seen from in her eyes,
女性の美しさは、その人の瞳の奥にあるはずです。
because that is the doorway to her heart,
そこは心の入り口であり、愛情のやどる場所でもあるからです。
The beauty of a woman is not in a facial mole,
女性の美しさは、顔のほくろなどに影響されるものではなく、
but true beauty in a woman is reflected in her soul.
その本当の美しさは その女性の精神にあります。
It is the caring that she lovingly gives, the passion that she shows,
それは心のこもった思いやりの気持ちであり、時として見せる情熱であり、
and the beauty of a woman with passing years only grows!
その美しさは、年を追うごとに磨かれていくものなのです。
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True beauty in a woman is reflected in her soul.
(本当の美しさは その女性の精神にある)
この言葉は、女性を「人」と読み替えても良いものであるように思います。
我が国での最初の男女神といえば、ご存知、イザナギとイザナミです。
イザナギとイザナミは、日本書紀では
 伊弉諾尊(いざなぎのみこと)
 伊弉冉尊(いざなみのみこと)
と書いています。
何度も繰り返して申し上げていますが、日本書紀は全編漢字で書かれていますが、いわゆる漢文で書かれた書ではありません。
あくまで大和言葉を漢字を使って記したものです。
つまり、大和言葉の意味するものに近い意味の漢字を用いて書かれています。
そこで伊弉諾、伊弉冉の漢字をひもとくと、
「伊」=神聖なものを手にした人
「弉」=さかんなこと
「諾」=ご神意に応えること
「冉」=しなやか
「尊」=尊い存在
そこから、
「伊弉諾尊」=力にあふれた神聖で尊い神
「伊弉冉尊」=神聖でしなやかで尊い神
という意味をもたせて伊弉諾、伊弉冉を記しているとわかります。
女性は、しなやかで美しい存在であり、男性は力にあふれた凛々しい存在であるとしているわけです。
そしてこの両者ともに「伊」、つまり「神聖なものを手にした人」という意味の漢字が使われています。
もちろん、神様なのですから、神聖な御存在であることは間違いないのですが、それだけなら、むしろ「聖」という字も他にあるわけです。
それをあえて意図して「伊」を用いたということは、男女の原点となるイザナギ、イザナミが、いずれも神聖であること、そしてそのことが、そのまま、
「男女ともに神聖なものを持っているのですよ」
ということを、日本書紀を書いた人たちは描いたといえるのではないでしょうか。
すなわち、男も女も、役割の違いこそあれ、互いにどちらもが神聖なものを内包しているというわけですから、伊弉諾、伊弉冉という御神名に、男女はどちらもが神聖であり、どちらもが対等な存在であるということがここに描かれていることになります。
そしてそのうえで、男は「弉(さかん)」であり、女は「冉(しなやか)」と書いているわけです。
対等だけれど、役割が違う。
その役割を果たす上で、
男はどこまでも勇敢であり、勇壮であり、力強く元気であること。
女は、つねにしなやかでうつくしい存在であること
と述べられているわけです。
人は誰しも歳をとります。
しかし心の美しさは、歳とともに増していきます。
これは男も女も同じです。
小野小町といえば、我が国最高の美女とされる女性です。
けれど小町の肖像画はないし、写真もありません。
しかも小町を本邦最高の美女と言ったのは、小町が死んで200年も経ったあとの紀貫之です。
その紀貫之が、どうして小町をたたえたのかといえば、次の歌が素晴らしかったからです。
 花の色は うつりにけりな いたづらに
 わが身世にふる ながめせしまに
この歌は、小町晩年の作とされます。
いくつになっても「私、まだ咲いているわよ」と詠んだこの歌は、いくつになっても美しくあろうとする小町の心の美しさの歌でもあります。
この心は上にあるオードリーヘップバーンの詩もまた同じなのではないか。
男性もまた、いくつになっても瞳の輝きを失わない、そういう男でありたいと思います。
そういえばウイル・スミスがある映画で、20代の若者と50代の自分と、一人二役を演じたことがありました。
その撮影のとき、ウイル・スミスは役作りの中で、同じ自分なのに、20代の頃と50代の人物では、瞳の輝きが違っていることに気付いたのだそうです。
若い時は、誰もが希望にかがやく瞳を持っている。
けれども50代になると、その瞳に年輪による思慮が重なる。
それによって、まったく瞳が違っていることに気付いたのだそうです。
なるほどなあと思いました。
ですから男としての瞳の輝きは、ただ若いままということではなくて、そこには思慮という年輪が重なったものでなければならないし、さりとて、未来への希望を失ってはいけない。
心の美しさは、その人の瞳に宿る。
(The beauty of a woman must be seen from in her eyes.)
良い言葉です。
オードリー・ヘップバーンからイザナギ、イザナミ、小野小町、ウイル・スミスなど、様々な人物が登場しました。
及ばずながらそこで何を言いたいのかといえば、歌や名前や和歌や人の言葉などを、ただ聞く、鑑賞する、鵜呑みにするのではなく、そこに自分なりの価値観を重ねることが大事だ、ということです。
歌や名前や和歌や人の言葉などを、ただ見たり読んだり聞いたりして、「いいなあ」と思うことは、ただの反応です。
情報がインプットされ、その情報に基づいて反応するだけではいけないと思うのです。
インプットとアウトプットの間に、自分なりの価値観を常に挟むようにする。
そうすることで、我々は物事を他人のせいにするのではなく、価値観に沿って選択する自由を得ることができます。
ここが大事と常々思っています。
現代日本人の多くが陥っている陥穽です。
詩の紹介だけでなく、そこから感じたことを書かせていただきました。
大事なことは、スマホですぐに答えを見つけることができる。
だからすぐに結果を求める。
そして求めた結果に反応する。
ゲームをするだけなら、ゲームは学校のテストの問題と同じで、必ず答えがあるものですから、設問どおりに答えていけば必ずゲームをコンプレートできます。
そこに自分なりの価値観という物差しが必要ない。
だからゲームは楽しいですが、結果は楽しくない。
筆者は、自分なりにあれこれ考えることが好きです。
そうすることで、同じひとつの詩から、さまざまなものが見えたり、感じ取れたりできるからです。
そうすることで、その詩が、自分にとっての宝になります。
それはとっても素敵なことだと思っています。
※この記事は2020年10月のねずブロ記事の再掲です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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25 ねずさんが描く女性の日本史
24 希望ある日本の再生
23 縄文文明の謎を解く
22 家康の築いた江戸社会
21 ねずさんの今こそ知っておくべき徳川家康
20 奇蹟の日本史
19 後世へ語り継ぎたい 美しく猛き昭和の軍人たち
18 日本武人史
17 縄文文明
16 子供たちに伝えたい 美しき日本人たち
15 金融経済の裏側
14 庶民の日本史
13 日本建国史
12 ねずさんの知っておきたい日本のすごい秘密
11 [復刻版]初等科国語 [高学年版]
10 ねずさんの世界に誇る覚醒と繁栄を解く日本書紀
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4 ねずさんの日本の心で読み解く百人一首
3 ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人! 第三巻
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1 ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!