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2024050 縄文人の骨
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画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)


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今年4月に、「縄文時代の暴力の実態を探求する」として、
「破壊的に突かれた縄文人の頭骨を発見」といった報道が、
大手メディア等によってかなり熱心に行われました。
報道のもとになっているのが、東京大学大学院理学系研究科生物科学の大学院生さんと、東京大学総合研究博物館の教授が、今年(2024年)4月4日に発表した研究成果です。

破壊的に突かれた縄文人の頭骨を発見 -縄文時代の暴力の実態を探求するための新資料- | 東京大学総合研究博物館

図1:刺突の痕跡が発見された縄文人骨(顔面の欠損した頭骨を前からみたところ)と利器として想定される鹿角 【発表...

このレポートにも、また報道各社の記事にも、
「研究の背景」として、
「縄文時代は、集団どうしの組織的戦闘の証拠が見当たらない平和な時代であったとされ」
ているけれど、
「実際には傷のある人骨が十数例ほど報告されているので調査をした」
とあります。
結論は、調査したところ
「十数例の外傷のある人骨のなかの一体が『殺傷人骨』であった」
ので、
「縄文時代には1対1や1対多人数の闘いが存在し、
 石斧(石製の斧)や石鏃(石製の矢じり)といった
 日常に用いる道具が利用され」
ていた、としています。
ちなみに、その
「縄文時代は集団どうしの組織的戦闘の証拠が見当たらない平和な時代であったという説」
は、もともとねず説です。
14年前の2010年2月2日に、
「世界に誇る縄文文化」
としてブログに書いて以降、Youtubeや、書籍、講演会など、さまざまなところでこのお話をさせていただいてきました。
おかげで、昨今ではすっかり「常識化」してきています。
おもしろいもので、最初に言い出すと、
「世間でそんなことを言っているのはあんただけだよ」
てなことになりますから(笑)、
その考えは非常識だと言われるし、
実際、とんでも説のように言われて、
コメントもだいたいのものは消しちゃいましたけれど、
当初は、半数以上が批判的コメントであったと記憶しています。
近隣諸国条項により、
とにかく「日本人は好戦的で残酷な暴力民族」であり、
当然に縄文時代も殺し合いばかりをやってきた日本人は残酷な民族であるのだから、
先の大戦の頃にも日本人はチャイナやコリアにて残酷なことばかりやってきたのだ、
というデタラメがまかり通っているからです。
要するにこのねず説は、反日の立場を取りたい現代学会からは、かなり面白くないと見られていたわけで、長いこと学会でねず説は、完全無視状態であったわけです。
ところが、この「武器を持たない縄文人」という説は、その後14年の歳月の間にものすごく拡散されて、いまではすっかり世間の常識のようになりました。
さすがに学会も「打消のために立ち上がった!」(笑)というわけです。
ところがこの研究レポートを読むと、研究対象となったのは、10体ほどある外傷のある人骨のうちの、たった一体です。
しかも、今回「我々が発見した」としている頭蓋骨に穴の空いた頭骨は、すでに100年ほど前に発見されていたものです。
もっとも長いこと、ただ「頭骨に穴が空いている」という事実が確認されていただけで、それが外傷なのかどうかまでは研究対象にはなっていませんでした。
そこで今回、その傷について、現代犯罪への科学捜査をするときの手法を用いて、東大で分析を行ったというわけです。
そして論文にあるように、結論は、外傷であることが確認されました。
レポートでは、
「おそらく人が鹿の骨を手に握って、頭骨に突き刺して刺殺したものであろう」と推測しています。
だから縄文人は「1対1や1対多人数の闘いが存在」というのです。
ところがこの怪我をした頭骨は、縄文時代1万4千年という途方もなく長い歳月の中で起きた、たった1体のものです。
当時の人口は、日本列島全体でおよそ10万人です。
1万4千年ということは、単純な延べ計算でも、その間に生きた人の数は5千万人を降りません。
そのなかに、つまり5千万分の1の確率で、たった一体、穴が空いた頭骨があったから、縄文時代には戦争があり、多数の人命が奪われて、日本人は残酷な民族だと結論付けているわけです。
ちょっとびっくりです。
そもそもこの頭骨は女性の頭骨です。
しかも論文に明らかなように、傷の入口が小さく、内側が広く空いています。
人が刺突具を持って、全力で頭蓋骨に突き刺した場合、傷は外側が広く、内側が狭くなります。
このケースのように外側の傷口が小さく、内側がひろいというのは、論文にもありますが、拳銃の弾丸が頭骨を撃ち抜いたような場合だけになります。
なぜかというと、銃弾はものすごいスピードで頭骨に当たります。
弾丸は鉛ですから、柔らかい。
だから弾は、当たった瞬間から先端の方から潰れていき、
潰れながら頭骨内に侵入します。
このとき銃弾は潰れながら、激しく振動するために、射入口は、外側が小さく、内側が広くなるのです。
けれど縄文時代に拳銃は存在しません。
ということは、銃弾以外のモノで、銃弾のようにものすごいスピードで頭骨に当たり、銃弾と同様に、ある程度の硬さがありながら、同時に柔らかいものでなければなりません。
そしてこの時代、考えられるそのようなものは、おそらく火山弾くらいしかありえまえん。
そして、たまたま火山の噴火で逃げようとした際に、小さな火山弾が頭部に当たって死に至ったとするならば、その確率は、なるほど5千万分の1であったとしても、これまた納得できるものとなります。
しかも、この頭骨は女性の頭骨なのです。
結果としてこの論文は、従来「誤り」であるとされてきたねず説を、かえって裏付ける結果となりました。
ありがたいことです(笑)
今回の研究のように、最新の技法を用いて、ちゃんとした研究を行うことは、とっても大切なことです。
そうした研究の積み重ねが、未来を啓くチカラになるからです。
ただし、その研究成果となる結論について、牽強付会に、無理やり「政治的な思惑」で結論を導くのはいかがなものかと思います。
というか、ずっと筆者が言われ続けてきたことが「牽強付会に無理やり政治的な思惑で結論を誘導している」って批判だったのですが(笑)、実はそうではなくて、これはもともとの歴史学の基本中の基本なのだけれど、事実をもとに、それをストーリー化することで、何がどうしてどうなったといったことを推論することの大切さが、こんかい、かえって証明されたように思います。
歴史の見方も、古典の読み方も、経済の読み方も、実はまったく同じです。
事実を論理的に積み重ねれば、ちゃんとした事実が見えてくるのです。
※この記事は今年5月の記事のリニューアルです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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