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おかげさまで昨年12月に刊行した『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』は、予約開始以来4週連続でAmazonでベストセラー1位(万葉集)となり、その後、別な万葉集の新刊書が出ることで、何度か1位の座を譲ったりもしましたが、いまもなお、おかげさまで1位を続けさせていただいています。
個人的に思うのは、すでに世に出ている解釈で間に合うのなら、あらためて本にする必要はない、ということです。
これを「屋上屋を架す」といいます。
屋根の上に屋根をつくるようなもの、つまりする意味がない。
万葉集をあらためて本にしたのは、従来の解釈がまるで間違っているからです。
さらに悪いことには、その間違った解釈に基づいて、そこからさらに妄想を広げて、万葉の歌人たちを貶(おとし)める馬鹿者まであらわれている。
万葉の歌人たちといいますが、1300年以上も前の人達というのは、生粋の日本人なら、全員が、いまを生きている生粋の日本人に共通するご先祖さまたちです。
大昔は、○○家のご先祖の枠を越える、4〜500年以上古い時代の人たちのことを、各家のご先祖を上のほうにさかのぼった共通のご先祖という意味で、「かみ(神)」と言いました。
つまり万葉の歌人たちというのは、現代を生きる我々から見れば、まさに共通のご祖先であり「かみ」であるわけです。
その「かみ」たちの歌を、平気で軽んじたり馬鹿にしたりすることは、天に向かてツバを吐くのと同じです。
これでは、本来の日本の文化を取り戻そうとしても、その原点を間違えて解釈しているのですから、まともな日本ができようはずがありません。
万葉集の歌を、自然体で音読してみれば、普通の日本人なら、そこから感じ取れる何かがあるはずです。
その何かと、いま一般に解釈として流布しているものとの間に違和感があるなら、どこかが間違っているということです。
間違いは正さなけれなりません。
人間というのは、一度読んだ本は、覚えていなくても、記憶の奥底にしっかりと蓄えられているのだそうです。
ということは、人生において、どのような本に縁したかは、自分の人生において、ものすごく重要なことだといえます。
『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』は、間違いなく、人生を支える良書となる本です。
いまはまだ一握りの人の支持しかいただけないかもしれませんが、20年後、30年後には、必ずこの本で解き明かした日本の真実が、世間の常識になります。
時代は変わろうとしているのです。
またすでにお読みいただいた方は、できればAmazonに一行で構わないので、レビューを書いていただけたらありがたいです。

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『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』
《まえがき》より
万葉集の成立は奈良時代、759年から780年頃といわれています。
収録された歌は長歌、短歌など様々で、皇族や貴族たちだけでなく、一般の庶民の歌までが実に4500首以上収蔵された現存するわが国最古の和歌集です。
歌は全部漢字で書かれています。
「世の中は」を「余能奈可波」と書くように、漢字をいわゆる万葉仮名として記述した歌もあれば、「神代より」を「神代従」とするように、漢字の持つ意味を大切にしながら記述された歌もあります。
「美味し国ぞ、大和の国は」と詠んだ舒明天皇や、「熟田津に船乗りせむと月待てば」と詠んだ額田王など、なんとなく歌を聞いたことがあるという方は多いことでしょう。
「令和」の元号も万葉集から採られました。
ところが歌の解釈となると、なんだかよくわからない。
たとえば持統天皇の「燃ゆる火も取りて包みて袋には、入ると言はずや面智男雲」という歌があります。
この歌は、夫の天武天皇が崩御されたときの弔(とむら)いの歌なのですが、一般的な歌の意味は
「燃えている炎であっても
袋に包み入れることが
できるというではないか。
それなら人の魂だって
取り返すことができるはずだ」
というのです。
この時代、袋といえば布か紙です。
燃え盛る炎を紙や布の袋に入れたら袋が燃えてしまいます。
つまりこれは無理な要求です。そんな無理な要求を持統天皇は「できる」と決めつけ、さらに夫の魂を呼び戻して来い!というわけですから、これでは聞いた人は「持統天皇って恐ろしい女帝だなあ」と思うに違いありません。
それにこの歌は短歌ですから、五七五七七で読まなければならないはずなのに、末尾の「面智男雲」が意味不明で読めないから、この歌を「五七五七」で読めというのです。
これでは短歌にさえなりません。
では本当のところはどのような歌なのでしょうか。
歌の原文は「燃火物取而裹而福路庭入澄不言八面智男雲」です。
そこで使われている漢字を一字ごとにちゃんと読み解いていくと、巷間いわれてきたこととまったく別な読みと意味が浮かび上がってきます。
読み解きの詳細は本文でご覧いただければ良いのですが、結論だけ簡単に申し上げますと次のようになります。
燃火物 もゆるひも
取而裹而 とりてつつみて
福路庭 ふくろには
入澄不言 いれるといはぬ
八面智男雲 やもちのをくも
神々に捧げるための炎を宝物をつつむように大切に神殿に置きました。
貴方の御魂が通るであろう庭先の路にも清らかな水を捧げましょう。
いまはもう何も申し上げることはありません
貴方はどの方向から見ても智者であられた
まるで空に浮かんで地上のすべてを見下ろす男雲のような素晴らしい天皇でした......。
(中略)
なぜこのような本当の意味と昨今の一般の意味とされるものとの間にに乖離が生まれたのかというと、実は原因が江戸時代にまでさかのぼります。
江戸時代は和歌は、万葉集や古今集などの古典和歌を学び、そこにある歌をモチーフにして《これを「本歌取り」といいます》自分の歌を詠むということがならわしでした。
ですから古典和歌を様々に自己流に解釈して自分の歌を詠むということも多々行われていたわけで、その過程で長い歳月の間に、ひとつの歌に様々な解釈が生まれ、その中には客観的に見て、やや「けしからん」解釈のものまで数多く生まれたのです。
しかも明治に入ると古典和歌に縛られないで、もっと自由に和歌を楽しもうという運動が起こり、古典和歌について、古い時代のややつまらない解釈を持ち出しては「この歌はこんなくだらない歌でしかなかったのだ」という意見が大勢を占めるようになり、気がつけば万葉集も「よくわからない歌集」にされてしまったというわけです。
本書は、あらためて万葉集を原文に立ち返って読み直すことで、歌が詠まれた当時の真意を取り戻そうとして書いた本です。
ご紹介する歌の数々も、右の流れで誤解されてきた歌や、万葉の時代のおおらかな気分や時代を象徴するような歌です。
これらの歌は、本当の意味がわかると、私たちの祖先がどのような国を目指したのか、そして日本という国、あるいは日本人の心とはどのようなものなのかを学ぶ、大きなきっかけとなり、また私たちがあらためて日本を知る機会になる歌だと思います。
どの歌も、とても素敵で感動的な歌ばかりです。
ぜひ、お楽しみいただけたらと思います。
******
本文はもっと素敵です。
お読みいただき、ありがとうございました。

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