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我が国は、国家として、その中心に天皇という存在をいただき、その天皇の勅によって未来が示され、その未来に向かって上下心をひとつにして国作りを行ってきた歴史を持つ国です。
そしてそのような国柄は、19世紀に西洋で生まれた共産主義的階級闘争史観では、決して理解できないことだし、外国で育ったスパイ工作員にもまた理解の及ばないことです。
日本は、古くから日本の歴史を担ってきた日本人が、上下心をひとつにして育(はぐく)んでいかなければならない国です。

20190407 大阪の海抜地図
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)

トップにある図は、国土地理院が発行している近畿地方のデジタル標高地図です。
ネットでお近くの地図を見ることができると思います。
http://www.gsi.go.jp/kankyochiri/Laser_map.html
地図で水色や青色に見えるところは、海抜3メートル未満のところです。
そこは、新しく埋め立てられた土地であったり、河川の土砂が積もって平野になったり、あるいは開拓によって、海から土地に変わったところで、いまから6千年くらい前には、すべて海の中だったところです。
真ん中あたりに黄色いところが上向きのまるで指先のように伸びていますが、ここは偏西風の影響で沿岸州(えんがんす)が発達した砂州だったところです。
その東側にあるのが河内潟で、この潟は5世紀頃に砂州が北に伸び切って海水の流入がさえぎられて河内湖となりました。
これによって河内湖は淡水湖になるのですが、仁徳天皇の時代に大規模な土木工事が行われて、あたり一帯が広大な水田地帯になりました。
我が国における天皇は、シラス存在です。
シラスというのは、今風に言えば「示す」ということで、人々や政治などの方向をお示しに成るわけです。
たとえば「河内湖を埋め立てる土木工事を行い、広大な水田を手に入れて人々が安心して暮らせるようにせよ」と天皇が示されたとします。
すると、そのことが時の朝廷が行わなければならない政治課題となるのですが、この政治課題というのが、いまとはかなり概念が異なります。

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20190317 MARTH


というのは、天皇がお示しになられたことというのは、すでに起きた結果と理解されていたのです。
たとえば、天皇が「河内湖を水田に」と勅を発せられた場合、その時点で湖である河内湖は、すでに埋め立てられて青々とした稲穂の稔る大水田地帯となっているものと理解されます。
すでに結果がそうなっているのですから、時の朝廷は全責任をもって、現時点で湖である河内湖の埋め立て工事を行い、そこを広大な水田地帯に変えなければなりません。
つまり現象を結果に近づけるための努力を責任をもって行います。
ただしこのとき注意点があります。
実際に土木工事を行うのは民衆です。
その民衆は、天皇の「おほみたから(大御宝)」です。
ですから、隋の煬帝が100万の民衆を使役して行った京杭大運河(けいこうだいうんが)のように、民衆の都合など一切関わりなく、また使役された民衆の食事やトイレ、宿所の手配など、一切行うことなく、女子供に至るまでムチでしばきあげて倒れて死ぬまで無理やり働かせ続けるなどいった乱暴なことはできません。
土木工事ができるだけ合理的に進むように事前に入念に計画し、農閑期を利用し、日当を支払って民衆に働きに来てもらい、食事や宿所、トイレまで遺漏なく手当して工事を進めるのです。
そしてこの工事遂行の一切の責任は、その工事の責任者である朝廷が負担しました。
河内湖の埋め立て工事は、何十年もかかる大土木事業ですが、こうして天皇の示された勅は、何十年か後にそのとおりに実現され、できあがった過去になるわけです。
さて、上の図を御覧頂いてわかりますように、現在大阪府民が暮らしている平野部は、そうして古代にできあがった旧河内湖跡を含め、さらに明治以降に海の埋め立てが進んでいます。
そして新しい土地の多くが、海抜0m以下(図の濃い青のところ)になっています。
くりかえしになりますが、水色から青いところは、ほんの少し前までは海だったところです。
そして海抜0m以下ということが何を意味しているかと言うと、もし大津波のような水害が起きたとき、容易に水が引かないということを意味します。
そしてその地域に、いま多くの人が住んでいます。
実はこの問題は、何も大阪に限ったことではありません。
東京でも、いわゆる下町と呼ばれるエリアは、やはり海抜0m以下の土地であり、そこに1千万を超える人々が暮らしています。
同様に、名古屋でも博多でも、札幌でも仙台でも、広島でも、というより、いわゆる日本の平野部にある都府市町村は、すべて水害にきわめてもろい状態にあるということがおわかりいただけようかと思います。
仮にもし、海面がいまよりほんの数メートル上昇したら、我が国の都市機能は麻痺し、経済も壊滅するのです。
もう一度、上の図を見て下さい。
淀川が流れている様子がはっきりと見えていると思います。
そしてその淀川の両サイドには堤防が築かれ、その堤防が黄色い線となっているのが見て取れようかと思います。
下の図は、その堤防が見えているところを拡大したものですが、いかに細い堤防であるかおわかりいただけますでしょうか。
地震や大水といった自然の猛威の前に、このようなか細い堤防で大丈夫なのでしょうか。

20190407 淀川の堤防

そこで考案されたのがスーパー堤防です。
これは従来のように三角のお山型の堤防を築くのではなく、二百年に一度の大洪水にも耐えることができるように、堤防の幅を高さの30倍(200~300メートル)に広げるというものです。
1987年から工事が始まり、首都圏と近畿圏の6水系873キロメートルを整備する計画でした。
工事の完成までに400年、総事業費12兆円という壮大な計画です。
ところがこのスーパー堤防、2010年10月に、R4の事業仕分けにかかって「廃止」となってしまいました。
そしていまだに部分的にしか復活していません。
いま東京には江戸川が流れ込んでいます。
もともとは坂東太郎と呼ばれた暴れ川の利根川が江戸湾(いまの東京湾)に流れ込んでいたのです。
これを江戸時代に、利根川の流れを銚子方面に持っていき、さらに渡良瀬に広大な調整池をこしらえ、さらに広大な堤防工事を施すことで、洪水の危険を回避するようにしているのですが、これが最初の江戸川の土木工事の開始が寛永18年(1641年)、いちおうの完成を見るのが1965年です。
300年以上の歳月をかけて、いまの堤防ができあがっているのです。
200年なら、まだ公共土木工事としては、速い方です。
政治というのは、根本に示すものがないと、単なるいまこの瞬間の利害の調整だけになります。
そして目先の人々の欲得だけが政治の根幹になってしまいます。
富というのは、限られたビザパイの奪い合いのようなもので、誰かが儲かるということは、誰かが損をするということです。
経済成長というと聞こえは良いのですが、成長した分、誰かが損をしているのが経済というものです。
そして政治が経済と結びついて、一部の人達だけの利権の巣窟のための政治になれば、これによって不利益を被るのは、決まって、民衆です。
だから政治には、目的と方向を示す「示し」が必要です。
このことは、会社組織でも同じです。
社長であれ支店長であれ、部課長であれ、トップに立つものに一番求められるのは、方向性の「示し」です。
その「示し」がブレない不動の中心核となるとき、その組織の力はひとつにまとまり、1+1が4にも5にもなる働きが生まれます。
一方、トップに立つものが綺麗事を述べて自己の利益ばかりを追うならば、部下は面従腹背となり、10+10が3や5にしかならないという結果になることは、普通に組織を経験した方であれば、容易におわかりいただけるものと思います。
我が国は、国家として、その中心に天皇という存在をいただき、その天皇の勅によって未来が示され、その未来に向かって上下心をひとつにして国作りを行ってきた歴史を持つ国です。
そしてそのような国柄は、19世紀に西洋で生まれた共産主義的階級闘争史観では、決して理解できないことだし、外国で育ったスパイ工作員にもまた理解の及ばないことです。
日本は、古くから日本の歴史を担ってきた日本人が、上下心をひとつにして育(はぐく)んでいかなければならない国です。
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