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3月10日は「陸軍記念日」です。
戦前は祝日でお休みの日でした。
明治38(1905)年、日露戦争奉天戦において日本陸軍が勝利した日です。

(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)
明治38年(1905年)2月21日から3月10日にかけて行われた奉天戦は日本陸軍24万名、ロシア陸軍36万人、合わせて60万の大兵力が直接激突した、史上最大の陸戦のひとつです。
戦いは9日間に及び、3月10日、日本が勝利して奉天城への入城を果たしました。
世界最大の陸戦といえば、ドイツとソ連が戦ったクルスク会戦(昭和18年)を指す人がいますが、なるほどこの会戦は、独ソ合わせて210万の兵力が衝突した戦いではありますけれど、これはクルスクで行われた戦闘の全体を指しています。
日露戦争でいえば、旅順要塞攻城戦から奉天戦までの全部の戦いを総称したものなのであって、軍と軍が直接対決した戦いという意味においては、実は、世界の歴史上、最大の戦いとなったものが、実は奉天戦なのです。
奉天戦を指揮したのは、日本が大山巌(おおやまいわお)元帥、ロシアがクロパトキン将軍です。
この戦いにおいて大山巌元帥の指揮が実に見事であったことから、米陸軍のマッカーサーは、世界でもっとも尊敬する陸軍軍人として大山巌元帥をあげています。
マッカーサーは、GHQの総裁として日本に赴任した際、日本各地に設置してあった日本軍人の銅像を片端から破壊する命令を出していますが、大山巌の銅像だけは破壊することを厳として認めませんでした。
おかげでこの銅像は、いまも東京九段に安置され、地下鉄九段坂下から靖国神社に向かう坂道の道路の反対側に、いまもその勇姿を見せています。
クロパトキン将軍は、司馬遼太郎の坂の上の雲などでは、矮小な将軍として描かれていますが、彼は日本でいう陸軍士官学校を首席で卒業したロシア陸軍のエリート中のエリートです。
プラハ遠征、サマルカンド攻略戦、サハラ遠征作戦などに参加して勝利を飾り、ロシア陸軍の誇るもっとも優秀な将官のひとりであり、かつ明治31(1898)年には陸軍大臣に就任しています。
ロシア皇帝ニコライ二世の評価も高く、明治36(1903)年にニコライ二世が来日した際も、来日に同行しています。
クロパトキン将軍は、日本陸軍をたいへん高く評価していて、日露戦争の開戦についても、宮廷内で猛反対を繰り広げた人でした。
皮肉にも、その反対者がロシアの満州総司令官となり、日露戦争を戦うことになったわけです。
彼の作戦は全体でみると、旅順要塞を史上最強の要塞として固め、ここに日本陸軍を釘付けにして、世界最強のロシア太平洋艦隊に、同じく世界最強の欧州バルチック艦隊を合流させ、両艦隊を合わせた史上最強艦隊によって日本海軍を殲滅し、日本陸軍の補給路を断ってこれを包囲殲滅する、というものでした。

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世界の戦史を見ればわかるのだけれど、要塞攻略戦は、もっとも過酷な消耗戦です。
しかも旅順要塞は、防御ラインを幾重にも張り巡らし、難攻不落のセバストポリ要塞の6倍の防御性能を保持したたいへんな要塞です。
世界の陸戦の常識からして、これが落ちるはずはなかったし、バルチック艦隊と太平洋艦隊が戦力に乏しい日本海軍に敗れるはずなどなかったのです。
要するにクロパトキンの作戦は、ロシア側が確実に勝利できる「必勝の作戦」であったのです。
ちなみにこのセバストポリの要塞戦は、日本で言う幕末の頃に行われたクリミア戦争における最も凄惨な戦いです。
およそ1年にわたって戦いが続き、連合軍側の死者12万8千名、ロシア側の死者10万2千名、両軍合わせて23万人の死者が出ています。
ひとくちに23万人といいますが、青年期の男たち23万人の死というのは、青森県や岩手県がひとつ失われてしまうに等しいものです。
ところが対する日本陸軍は、なんと難攻不落で落ちる筈のない旅順要塞をわすか半年、損害1万5千名で陥落させてしまいました。
それどころかロシア太平洋艦隊を旅順港で壊滅させ、圧倒的な砲門数、排水量を誇るバルチック艦隊を日本海で全滅させてしまう。
そして日本は、ロシア陸軍の本体のいる奉天にまで迫って来たのです。
奉天戦は、戦いの中盤までロシア側が優勢でした。
日本側は損耗が激しく、さまざまな極地戦で壊滅的な被害を被(こうむ)ります。
大石橋の戦いでは、さしもの日本軍ですら、銃を捨てて逃げ出す兵もいたというくらいでした。
普通なら、ここで白旗を掲げて降参する。
ところが日本は、それでも戦いをあきらめない。
ロシアが敗れたのは、武力ではなく、結局「心」であったと言われています。
日本はロシア側の圧倒的火力を前に正面攻撃を行い、死体の山を築きながら、それでもなお前進を続けました。
その姿に恐怖したロシア軍は、ついに奉天からの後退を決定したのです。
いつ追撃してくるかわからない日本軍への恐怖に怯えたロシア兵は、ハルピンへの転進の際に、軍としての秩序を失ってしまいました。
ロシア兵たちは、あちこちで上官の命令に逆らって「自分のための」略奪をはじめる。
この結果、軍隊が軍隊としての機能まで失ってしまったのです。
こうして3月10日日本陸軍は奉天城を占領し、ロシアの陸軍大臣のサカロフ大将が「我がロシア軍は残念ながら敗れた」と、公式に敗北を認め、日本軍の勝利が確定しました。
日露戦争当時、日本とロシアの国力は、日本の歳費が2億5千万円、ロシアが20億円、常備兵力は日本20万、ロシア300万人です。
まさに圧倒的な国力の差です。
そして、この国力の差が、西欧による植民地支配を決定づけていました。
ところが日本がこれを打ち破ってしまう。
このことは世界の有色人種に、欧米列強による有色人種支配体制を打ち破る夢と希望を与え、それまでの世界の常識であった植民地支配体制を打ち破る基礎を築きました。
すなわち3月10日という日は、日本の陸軍記念日であると同時に、世界の人類が人種の平等を実現し、世界の民族がそれぞれの独自の文化を取り戻して安心に安全に暮らせることを記念した、世界人類の平和と共存の記念日でもあるのです。
先日も書きましたが、いまでは単に「祝日」と言いますけれど、戦前戦中までは「祝日」と「祭日」は分けられていました。
「祭日」は、国家最高権威である神話の時代から続く万世一系の天皇の宮中祭祀が行われる日です。
「祝日」は、時の政府が定めた記念日です。
いずれも日本民族としての自覚と誇りを再確認するための日です。
その祝祭日を、単に祝日として、学校や会社がお休みの日とだけしか教えない、認識しないというのは、あまりにもったいない、残念だというだけでなく、大きな国力の損失です。
古事記は大国主神話を通じて、困難に遭ってどうして良いかわらかないときは「愛する者のために自分に何ができるかを考えて行動せよ」と教えてくれています。
日露戦争で命を捧げてくださった英霊たちも、ロシア側の兵士たちのように、単に上からの命令だから戦ったというのではありません。
愛する日本のために、愛する故郷を守るために、愛する妻子や故郷にいる家族や友人や恋人たちを守るために、自分にできる最大限を尽くして戦ったのです。
自分のためというのなら、戦いの途中であきらめもしましょう。
けれど、愛する者を守るためなら、勝つまで戦いを止めることなど、到底できない相談です。
その自覚と誇りを共有したから、日本は世界史上初ともいえる大会戦に勝利し、世界の有色人種の決起を促(うなが)すことができたのです。
お読みいただき、ありがとうございました。

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