
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています)
◆【お知らせ】◆
7月15日(土)18:30 第42回 倭塾 公開講座
7月17日(祝・月)18:30 CGS公開講座(幕末史)
7月23日(日)14:00 第1回 名古屋倭塾 公開講座(古事記)
7月27日(木)18:30 第17回 百人一首塾 公開講座(百人一首)
8月 9日(水)18:00 新潟県新発田市講演(古事記)
8月13日(日)14:30 東京・世田谷講演(古事記)
8月15日(火)14:30 ねずさんと靖国神社昇殿参拝
9月 2日(土)18:30 第18回 百人一首塾 公開講座(百人一首)
9月17日(日)13:30 第43回 倭塾 公開講座(古事記)
10月 1日(日)11:00 日心会『ねずさんと古事記』出版を祝う会(古事記)
10月26日(木)18:30 第19回 百人一首塾 公開講座(百人一首)
*****
人類史というくらいに長長期で歴史を俯瞰してみると、人類は、この6千年くらいの間に、住みよい土地を次々と砂漠に変えてきたという歴史を持っています。
まず、最近の地学の研究でほぼ明確にわかってきたことのひとつに、地球気温が長期間の間に、かなりの幅で上がったり下がったりしていたという事実があります。
そのなかのひとつが、「ヤンガードゥリアス期」と呼ばれる時代で、これはいまから約1万1千年前の昔、およそ100年の間に、気温が6℃も下がりました。
ひとくちに6℃といいますが、あくまで地球全体の年間平均気温です。
ですから所によっては、数十度も気温が下がります。
ちなみに気温が1度違うと、仙台の気候と鹿児島の気候が入れ替わります。
6度という寒冷化が、どれだけすさまじいものか、ご想像いただけるものと思います。
この寒冷化によって、氷河が発達しました。
大量の海水が氷になったため、海面がいまより100〜140メートルも低くなりました。
だから「日本列島は大陸と陸続きになっていた」までは結構知る人が多いのですが、もっというといま「大陸棚」と呼ばれている海底の多くが陸地となっていました。
よく言われるアトランティスや、ムーなどという大陸があったかどうかまではまだ立証されていませんが、大陸棚の大部分が陸地であったこと、および、人が生きるためには、海山の両方に近くて、貝や海藻や木の実などの食料と塩分と真水が取りやすいところでないと行きていけなかったということを考え合わせると、その時代に人々が住んでいた場所の多くは、いまでは、大陸棚となってすっかり海の底に沈んでしまっていることは十分に考えられることです。
ちなみにシンガポールとインドネシアに囲まれた海域にある大陸棚は、かつてスンダ大陸と呼ばれる陸地であり、そのあたり一帯の人々の生活の拠点となっていたとされています。
スンダ大陸というのは、実に面白い名前で、これは実は、かつて「住んだ」大陸なのだそうです。
なるほどと納得させられます。
また琉球諸島も九州、台湾と陸続きで、いまの東シナ海あたりは、大きな湖になっていたようです。
いまとは地球環境がおおいに異なるのです。
よく「日本人はどこから来たのか」ということが話題にのぼりますが、日本列島では、いまから12万年前の人骨が発掘されているわけです。
つまり、ヤンガードゥリアス期よりも11万年も前から人が住んでいたわけです。
その長い歳月の間には、日本列島は大陸と陸続きになったり、地球の長期の温暖化や寒冷化にともなって、人々は南に移動したり、北に移動したりを繰り返していたと考えるほうが合理的です。
別に住民登録や戸籍、あるいは土地台帳があって土地の所有権が決まっているわけではないのです。
日本列島全体で、人口が20万人程度で、土地の所有権もないなら、誰だって「住みよいところに住む」ものです。
「ヤンガードゥリアス期」よりも古い時代も、いまと比べると地球環境はずっと寒い時代が続いた時期もありましたから、その頃には、スンダ(住んだ)大陸にいて、温暖化に伴って大陸が海に沈み、人々が北に移動したということも十分に考えられることです。
なにせ、人は動くことができる生き物なのです。
一箇所に何千年も何万年も定住し、その土地に縛り付けられていたと考えるほうが無理があります。
◆youtubeの動画サイトをはじめました。

↑よろしかったらチャンネル登録をお願いします。登録無料です↑
新しい動画がアップされました!
◆『ねずさんと語る古事記・弐』
まだお求めでない方は、お早めにどうぞ。

最近では東京湾で、少し前までは伊豆半島の先に行かなければ釣れなかった魚が釣れます。
温暖化で、魚の生息域が北上したのです。
人は食べなければ生きていけませんから、食べ物の確保がしにくくなれば、よりし易い土地に移住する。
これはなんの不思議もないことです。
「ヤンガードゥリアス期」は、寒冷化が急速に起こった時代ですが、そのすぐ前(10720年前)には、わずか50年間で気温がいきなり7℃も上昇するという事態が起こっています。
これは海流による地球全体の熱対流システムが崩れたことが原因と考えられているのですが、これにより氷河が溶け、溶けた大量の水が巨大な湖を作り、それが今度は決潰するという大災害が起こっています。
この災害で、エジプトのビクトリア湖に溜められていた多量の水が決壊して地中海に流れ込み、また北米大陸では五大湖のあたりに大きな湖を形成していた湖が決壊して、真水が大量に大西洋に流れ込んでいます。
旧約聖書にあるノアの箱舟の伝説は、実はこの時代のことを言っているのではないかというのですが、この大洪水の時代は、50年ほど続いています。
この大洪水によって、地中海も大西洋も、海水の塩分濃度が極端に低くなりました。
すると何が起こるかというと、塩水性の海洋動植物の大量死です。
すると地球上の動植物の食物連鎖が崩れて、大絶滅が起こりました。
最近流行の「モアナと伝説の海」の物語の中に、海洋が死で覆われるというくだりがありますが、まさにそれは現実だったのです。
さらに塩交換に基いて起きる海流が停止しました。
海流が停止すると、地球環境が激変します。
それで地球上が急速に寒冷化に向かって、「ヤンガードゥリアス期」が起きて氷河期に至るわけです。
この時代に、地上の動植物も、海中の動植物も、ほぼ壊滅するという大事件が起きています。
従って、この時期に生き残った人々は、互いに協力しあい、慈しみあいながら、自然と共存する道を選ばざるを得なかったと考えられます。
自然と敵対したって、敵う相手ではないからです。
もちろん中には殺して奪う者もいたでしょうが、奪われる側が死に絶えれば、殺して奪うことさえもできなくなるのです。
結局は助けあって生きる者たちだけが、最期には生き残るわけです。
これが1万年ほど前の出来事です。
この時期に、地上では植物さえも死に絶えるという、悲惨を迎えているのですが、その中でほそぼそと生き残った動植物は、その後、約6千年の歳月をかけて、地球の状態を復元していきました。
地球気温も徐々に高くなり、それが地球誕生以来といって良いほどにまで気温上昇となったのが、いまから約6000年前の出来事です。
この時期のことを「ヒプシサーマル(hypsithermal)期」といいます。
あるいは「気候最適(postglacial climatic optimum)期」という言い方もあります。
この時期は太陽活動が活発で、年平均気温も現在より2~4℃高くなりました。
海面はいまよりもずっと上昇していて、いまより数メートル高くなっています。
ご存知の通り、海水には満ち干きと、波浪があります。
ですから海面が4〜5メートル高いということは、場所によっては、14〜5メートルも海面がいまよりも高かったことになります。
この時期の日本列島は、いまの平野部がほぼ全部海の底になっていて、関東では、大宮のあたりまでが海の底でした。
また、西日本一帯は、熱帯で、森は熱帯雨林を形成しています。
ちなみに、稲はもともと熱帯性植物で、熱帯の雨季と乾季を利用して生育します。
なんのことはない。稲は日本に自生していたのです。
この時代のことを日本では「縄文海進」と呼びますが、同じ時期、アフリカから中近東にかけても現在より雨が多く、現在のサハラ砂漠は熱帯雨林に覆われています。
つまり、いま中東と呼ばれている砂漠地帯は、人の住みやすい緑の大地だったのです。
エデンの園は、緑豊かな幸せの楽園と言われていますが、いまのサウジアラビアのあたりにあったという説があります。
意外とあたっているのではないかと思います。
ところがこのあたり一帯は、いまでは完全に砂漠化しています。
どうしてそうなったのかというと、人間の「せい」です。
ひとつは人類が火を使うようになったこと。
もうひとつは、鉄器の使用です。
火を得るには森の木樹を燃やします。
燃やすのは一瞬ですが、木が育つには人が植林して最低70年、自然放置から回復するには、およそ5千年の歳月が必要だといわれています。
要するに、火=赤=イブのリンゴです。
そしてこの火を使うことが、さらに大きな事態となったのが、人が鉄器を使うようになったことです。
人類最初の鉄鋼軍団を率いたのは、いまのトルコあたりにいたヒッタイトですが、ヒッタイトは、いまから3500年ほど前に鉄鋼軍団を組織し、いまの中東あたりからメソポタミアまでの一帯を制圧し、巨大帝国を築きました。
なぜヒッタイトがそれだけのエリアを攻略したかというとについて、これをただの権勢欲だとすることには無理があります。
なぜなら、そんな欲望が千年も続くわけがないからです。
むしろ、鉄鋼軍団を保持するために大量の木材を必要とし、そのために森の木樹をことごとく伐り倒してしまった結果、隣の土地の森まで制圧せざるを得なくなり、この結果、征服域が広がったと見るべきなのです。
実は同じことをローマ帝国も行っています。
古代ローマ帝国は、周辺地域を次々と制圧していきました。
なぜか。
鉄器を得るために、大量の木材を必要としたからです。
結果、ローマが制圧した地域では、森の木樹が壊滅しています。
とりわけひどいのが、イスラエルからエジプト、シリアの一帯で、このあたりの文明は古く、もともとは緑の大地だったのですが、いまではすっかり砂漠化しています。
鉄を得るために軍と木こり、鍛冶屋たちを派遣し、辺り一帯の森を刈り取り、歯向かうものは軍によって滅ぼしていったからです。
実は日本も火を使いました。
日本にあるタタラ製鉄は、西欧のものと比べても一度に大量の鉄を得ることができる施設です。
しかも施設が大きいことによって、鉄のなかからごくわずかに採れる玉鋼(たまはがね)と呼ばれる上質な鉄を得ることができます。
これによって、我が国では日本刀という芸術的なまでに進化した真刀が誕生しています。
ところが、かつてタタラの名所であったところでさえ、日本ではいまでも緑が残っています。
なぜかというと、木を燃やせば、その分、ちゃんと植林をし、再び木を育てるということを、しっかりと行ってきたからです。
ただしひとこと付け加えるならば、戦時中に石油のなかった日本では、大量の木材を燃料に用いました。
また終戦後においても、焼け野原となった都市部の住宅復興のために、やはり大量の木材が使われ、このため当時、森林資源の20%を失いました。
もちろん、植林は日本古来の文化ですから、伐採と同時に植林がなされ、瞬く間に森林資源はもとの姿に戻りました。
ただし、このときに「少しでも早く成長する木」、「まっすぐに成長して住宅建築用の木材になりやすい木」ということで杉が大量に植えられ、それがいまの花粉症のもとになっています。
問題はその後です。
もともと林業は国家事業として、上古の昔から我が国では手厚く保護されてきました。
天武天皇から持統天皇、元正天皇の飛鳥〜奈良時代にかけて、都つくりや、大型寺院建築のために千年以上の樹木が大量に伐採されましたが、緑が失われていないのは、ちゃんと植林がなされ、やはり千年の木材がそこからまた育てられたからです。
ところが戦後の国土省の制作は、もっぱら米国やオーストラリア等の戦勝国から木材を買うというものでした。
空気の乾燥した外国と、高温多湿の日本では、あまりに住宅事情が違います。
日本に輸入された乾燥した地域の木材は、日本の湿気を多く含んだ空気がよほど美味しかったのでしょう。
水分をどんどん吸い込み、木材は濡れ、腐り、シロアリの餌食になりました。
このため、シロアリ駆除の薬剤を塗布する技術が開発されましたが、外壁と壁紙によって見えない木材は、住宅内部で腐食を早め、これによってカビによる室内空気の汚染が深刻になり、今度は空気清浄機が馬鹿売れするという情況を招いています。
また、外材の輸入に頼るようになったために、国内の森林を守る林業従事者の保護が行き渡らずに、森は放置され、本来、遠目に観ても整然としていたかつての山々の人手の入った針葉樹林は、いまでは遠目に観ても、山面に広葉樹が顔を出し、森は人の入らない、ほとんど青木ヶ原のような原生樹林になっています。
こうなると、森の生態系が変わり、そこに外来のヒアリなどの殺人蟻や殺人性の蚊が潜むようになると、それを自然が駆除することはおよそ不可能になってしまう危険もあるわけです。
そしていま、日本の森林は、戦前と比べてすでに30%が失われているといわれています。
つまり戦災で焼かれ、石油に替わる燃料としてお風呂を沸かすにも焚き木が用いられ、あるいは戦後の住宅復興のために大量に木材が刈り取られた時代よりも、現代日本のほうが、実ははるかに森を壊し続けているわけです。
つまり、1万年以上にわたって私達の祖先の手によって手厚く保護されてきた我が国の森林を、いま、私たちはさしたる目的意識もなしに、失いつつあります。
このことは、ある意味において、国家や民族としての目的をもって自然を破壊したヒッタイトや、古代ローマを笑えないことです。
彼らは目的をもって行動し、森林資源の枯渇や砂漠化をいざないましたが、いまの日本人は、何の目的意識もないままに、自然を失いつつあるからです。
森が滅びれば、日本列島は真水を失います。
そして、水がなければ、人々は生きていけないのです。
英国の歴史学者のトインビーは、「神話を失った民族は例外なく100年以内に滅びる」と説きました。
トインビー博士の英国は、神話を「根拠のない作り話」という語彙のある「Myth」と呼ぶ言語エリアの人です。
だからトインビーは、「作り話」であってさえも、失ったら100年以内に民族が滅ぶと述べているのです。
我が国にとっての神話は、神語(かむかたり)です。
これは私達と血の繋がったご先祖の物語であり、2万年以上にわたってこの日本列島で過ごしてきたご先祖たちからのたいせつなメッセージです。
それを失って、失ったことにも気づかない今の日本人というのは、はっきりいって、ChinaやKorea以下の民族劣化を招いていると言っても良いかもしれません。
なぜなら彼らは、歪みがあるとはいっても、神話を持ち、また民族意識を持ち、そして愛国心を持っているからです。
だから強い。
果たしてこれでよいのか、と思います。
いま、わたしたちが取り戻すべきもの。
それは、私達が日本人であるということの再確認なのではないでしょうか。
お読みいただき、ありがとうございました。

↑ ↑
応援クリックありがとうございます。


ねずさんのひとりごとメールマガジン有料版
最初の一ヶ月間無料でご購読いただけます。
クリックするとお申し込みページに飛びます
↓ ↓


