
1980年代、まさにバブルの絶頂期、ワンレン、ボディコン、お立ち台、ルンルン気分。
企業は求職者を求め、学生の青田買いのために学生のコンパに何百万円ものお金を出し、多くの日本人がはじめての海外旅行を体験した華やかな時代。
そして平成元(1989)年12月29日、日経平均株価は38,957円44銭という、日本経済始まって以来の史上最高値をつけ、日本経済は、まさに我が世の春を謳歌しました。
けれど、バブルが崩壊し、あれからもう24年です。
4分の1世紀を経過して、日本はいまだに、先の見えない不況の中に沈んでいます。
世界経済が沈滞しているからと言う人がいます。
とんでもない話です。
世界はそれなりに経済を発展させている。
この24年、ひとえに転落し続けたのは、日本です。
あれだけの繁栄を謳歌した日本が、なぜ、ここまでひどく落ち込んでしまったのでしょうか。
バブルを崩壊に導いた直接的きっかけは、橋本龍太郎内閣が行った「不動産短期譲渡所得税」の課税です。
これによって活気の溢れていた不動産市場はいっきに急ブレーキをかけることになり、前のめりになった市況は、不動産だけでなく、株価までも一気に崩落させ、日本は底知れない不況の時代へと突入したのです。
橋本内閣の、この「不動産短期譲渡所得税」は、いわゆる「土地ころがし」による利益追求に待ったをかけたものです。
不動産価格がうなぎ上りに急騰し、そのことに対して大手メディアを中心に、多くの民意がNOを政治に求めました。
その結果、不動産市場に急ブレーキがかかったのです。
当時、金融マンとして市場経済調査を担当していた私は、この短期譲渡所得税に対し、行き過ぎた政策であり、やるべきでないと主張させていただき、また、法案成立後も、できるだけ早期にこの法の執行を停止すべきであるとレポートし、会社を通じて陳情させていただいた覚えがあります。
おそらく、バブル退治(なんていう言葉さえもありました)に躍起になっていた大手メディアや、左翼系政治家、左翼系経済評論家などは、まさにこの法律に「してやったり」と満面の微笑みを浮かべたことでしょう。
その一方で、多くの経済人たちが、この新税を通じて、当時の橋本内閣に怒りをあらわにしたものです。
けれど、西村幸祐さんのこの本は、実はもっとずっと深いところで、まさに日本がそのバブル経済の絶頂期を迎えていたときに、その後の四半世紀におよぶ長く暗い日本経済衰退の要因が発生していたという事実を、私たちの前に、つきつけます。
実は、バブル崩壊の原因は、橋本内閣がどうのではなかったのです。
もっとずっと深いところに、その崩落の要因が、静かに進行していた。
その要因とは、一体何なのか。
私たちはいま、20年前なら考えもつかなかったような不況のまっただ中にいます。
この不況から脱出するためには、この不況の根っこにある最大の要因をしっかりと見極め、取り除かなければなりません。
なぜなら、これまで20余年、不況対策のための政策は、これでもかというくらい沢山の施策がなされ、結果、なにひとつ、経済の活性化に役立っていないからです。
本質を見誤り、小手先の改革にどんなに走っても、日本経済不況の本質的原因が放置されるならば、いつまでたってもこの不況は終わらない。
もっといえば、これまで20余年、日本経済活性化のための対処療法は、やりつくしてきている。
ここまできたら、根治療法を施さなければ、いつまでたっても何も改善されない、ということです。
西村先生は、この本の中で、その原因を、はっきりとご指摘されています。
この本は、私たち日本人が、明るい未来を築く上で、これから何が必要なのかを、はっきりと示してくれているように思います。
難解なことを、非常にわかりやすく、誰にでもわかる言葉で平易に書いてくださる方というのは、案外と少ないものです。
いつもながら、西村幸祐先生の、わかりやすい語り口には、感嘆します。
ご一読をお勧めします。
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