
もう少しすると、水仙(スイセン)の季節がやってきます。
水仙といえば、冬に咲く花。
寒い冬に、美しい花を咲かせる水仙は、古来、多くの人々から愛されてきました。
水仙といえば、千葉県の房総半島、淡路島、そして福井県の越前海岸が、日本水仙三大群生地として有名です。
なかでも越前海岸のあたりに咲く水仙は、越前水仙と呼ばれ、福井県の県花にもなっています。
その越前水仙。
発祥伝説があります。
平安時代の終わり頃、暴政を極めた平清盛に対し、治承4(1180)年、ついに以仁王が全国に平氏打倒を命じる令旨を発します。
これを受けて立ち上がった木曾義仲(源義仲)は、翌治承5年、信濃国の佐久郡依田城で挙兵します。
そして寿永2(1183)年5月、富山県と石川県の境にある倶利伽羅峠(くりからとうげ)で、ここで義仲は、平氏の正規軍である平維盛率いる軍勢を破ります。
この戦いのときに、越前海岸のあたりにいた 山本五郎左衛門が、長男の「一郎太」と郎党を率いて義仲の軍勢に馳せ参じます。
留守は、次男の「二郎太」が守った。
その留守中のこと。
ある日、二郎太が居倉浦の海岸を散歩していると、 波間から助けを求める女の声がした。
すわったいへんと、次郎太は、女性を助けます。
稀に見る美しい娘だったそうです。
娘と二郎太は日増しに親しくなる。
いやらしいことを想像してはいけません。
プラトニックな関係です。
だからあとから問題が起こる。
春が過ぎ、夏も終わりに近づいたある日、 戦いで負傷した一郎太が父の戦死の報告とともに帰ってきます。
二人は戦いのこと、父の奮戦などを、夜を徹して語り合った。
とても中のよい兄弟だったのですね。
そんなある日、たまたま家にやってきた娘を見て、兄貴の一郎太が一目惚れしてしまう。
あまりにも美しい。
あまりにも可憐な女性です。
やがて二人は娘をめぐって争うようになる。
そしてどちらがこの女性にふさわしい男か、互いに戦って勝負を決めようということになった。
二人は、冬の冷たい越前の海岸で決闘をします。
冬の越前海岸は、風が強く、冷たく、波も荒い。
その冷たく荒れ狂う波間の中で対決する二人の姿を見た娘は、
「二人の仲を悪くしたのは私が原因です」と言って、
荒波に身を投げてしまいます。
そこは娘が助けられた時と同じ居倉浦の浜だったそうです。
翌年の春、居倉浦の浜に、見たこともない美しい花が流れ着きました。
人々は、この花はきっと、清楚で可憐なあの娘の化身に違いない、と噂しあいます。
そしてその花を、丘の上に植えた。
その花が、今も咲き誇る越前水仙の始まりなのだそうです。
いま、越前海岸は、日本海側唯一の水仙の自生地で、水仙観光の名所となっています。
栽培農家はおよそ230戸、栽培面積は 70ヘクタールに及ぶという。
そしてそこには、年間220万人にのぼる観光客が訪れる。
美しい少女は、こうしていまも人々から愛され続けています。
ボクはね、こういう古くからの物語を大切にする日本を復活させたいのです。
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