
以下は、日心会メルマガ、6月13日(月)号に掲載したものです。
原稿は、Uさんからいただきました。
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【ヒゲの隊長大震災を語る】
去る6月上旬、日本世論の会神奈川県支部による参議院議員佐藤正久氏の「東日本大震災と危機管理」と題した講演会がありました。
佐藤正久氏は、平成16年、自衛隊のイラク派遣において、隊長を務められた方です。
口ひげをたくわえたその風貌から、「ヒゲの隊長」と言われました。
サマワの現地では、部族長や住民から厚い信頼を得た人です。
ある時、「日本軍を守れ」という住民のデモが起こり、米軍をして前代未聞と言わしめました。
平成19年に退官し、参議院議員選に出馬、当選を果たしました。
去る5月20日、参議院予算委員会で質問し、菅首相に向かって、「原発はあなたの人災だ、そしてまだ続いている」と激しく攻めました。心熱い人です。
その講演の要旨を以下に紹介させていただきます。
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●この度の大震災では、国会議員として、何度も被災地に赴きました。
福島原発から20km離れたところにある東電の活動拠点Jビレッジには、100人ほどの隊員が駐在し、放射線の除染作業などを行っています。
自衛隊はまずは壁に、自衛隊の生みの親、吉田茂元首相の訓辞を貼りました。
「君達は自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終えるかも知れない。
(中略)
しか自衛隊が、国民から歓迎され、ちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて、国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し、国家が混乱に直面している時だけなのだ。
言葉を換えれば、君達が日陰者である時の方が国民は幸せなのだ。
どうか耐えてもらいたい。」
自衛隊の一番の任務は国土防衛です。
災害派遣で感謝されるのは本筋ではありません。
国際貢献や民政支援を主としたら、弱い軍隊になってしまいます。
国土防衛のために、厳しい訓練をするから、災害派遣で応用が効くのです。
被災地での過酷な作業に、精神的に、肉体的に耐えうるのは、厳しい訓練をしているからです。
厳しい訓練をしているから、人に優しくなれるのです。
「全てを被災者のために」と自己犠牲を果たすことが出来るのです。
しかし、生身の人間としては現実は厳しい。
遺体を扱う隊員は、精神的に折れてきます。
そのため毎晩、車座になって、気持ちを吐き出させていたりしています。
よく自衛隊を「災害派遣隊」にしたらよいという政治家がいますが、災害派遣隊としての訓練では、この度のような過酷な活動は出来ません。
実務が分かっていない人の言うことです。
●3月17日、白煙をあげる福島第一原発3号機に向けて、ヘリから放水が行われました。
放射線量が最も高くなっているのは、原発の建物の真上です。
放水することによって水蒸気爆発を誘発するかも知れません。
死を覚悟する任務でした。
隊長は誰に行かせるか悩みました。
そして全隊員を集めて問いました。
「お前たち行けるか」
すると全員の手が上がりました。
「自分が行きます」と。
自衛官は入隊する時に、宣誓書に署名します。法律で決められていることです。
「強い使命感をもって専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって職務の遂行に務め、もって国民の負託ににこたえることを誓います。」
これが現実に精神の基本にあるのです。
●日本の国土の面積は世界で61位、しかし排他的経済水域は世界で6位、これが日本の防衛域です。
自衛隊は、この広大な防衛域の防衛に当たっているのです。
それではクイズです。
「北海道、本州、四国、九州を除いて、大きな島を上から3つあげて下さい。」
クイズ2です。
「尖閣諸島は石垣市に属しますが、それでは尖閣諸島は石垣市の東西南北のどの方向にありますか。」
クイズ3です。
「地理的に言って沖縄県の隣は東京都です。これは正しいでしょうか。」
クイズ1の答えは、1位は択捉島、2位は国後島、3位は沖縄島です。
クイズ2の答えは、北です。
クイズ3の答えは、正しい。小笠原諸島は隣に位置し、東京都です。
学校の教室には、日本地図が貼られていません。
子供達は領土について教えられていませんから知りません。
国会議員でも、分かっていないのが現実です。
●菅首相は、真っ先に自衛隊の派遣を決めました。
しかし自衛隊の本来の任務は何か、分かって判断したとは思えません。
本来は安全保障会議を緊急に招集して、北方領土、尖閣諸島の守りを初めとした国家の安全を踏まえて判断すべきでした。
しかも今だ安全保障会議を開催していません。
菅首相は、国防や国家の安全について、全く分かっていない人物と言わざるを得ません。
●今回、「想定外」と言う言葉が出てきました。
危機管理においては、考えられないようなことも考えて、それを「想定内」として、必要な準備しておくことが大事です。
自衛隊は平成20年、防災関係機関や自治体も参加して、「みちのくアラート2008」という、大規模な震災対策訓練を実施していました。
想定は「宮城県沖でマグニチュード8.0の地震が発生、三陸沿岸部に大津波が来襲」です。
当時としては最悪の想定でしたが、今回はそれを超えました。
しかしこの訓練が大いに活かされました。
●被災地での救助活動は、平時の法律の枠組で行なわれました。
平時では、自衛隊の活動は全て「支援」になります。
これにより現実に被災者救援が遅れました。
政府は災害対策基本法により、「緊急事態の公布」をすべきでした。
国会で「なぜ公布しないのか」と質問しましたが、のらりくらりとした返事でした。
緊急事態においては、政府は民間企業等に対して、強制力を発揮することが出来るのです。
国民の支援物資が、被災地を直前にしながら、滞留することはなかったでしょう。
ガソリンの供給が停滞することも避けられたでしょう。
遺体を発見し、警察に連絡をし検死する手続きも、非常事態対応になり、自衛隊はより救助活動に時間を割くことが出来たでしょう。
自衛隊は自己完結性の組織です。
権限を与えられたら主体的に何でも出来る組織です。
その訓練もしています。
岩手県大槌町では、町長自身が亡くなり、役所の機能が麻痺しました。
このような場合、「自衛隊に全てを任せる」としてら、より救助活動が進んだはずです。
政府の果たすべきそのような機能は働いていませんでした。
原発もそうですが、後の被災の広がりは、人災と言うべきです。
●岩手県陸前高田市を訪れました。
鳥羽市長は、地震発生直後から、不眠不休で復旧の指揮に当たり、毎日避難所を廻って市民を勇気づけていました。
しかし、自宅に残した奥様とは連絡が取れないままでであったにもかかわらず、警察に捜索願を出していませんでした。
「その余力があったら市民の捜索に廻して欲しい」との考えでした。
奥様は亡くなっていました。
市の職員達は、市長の奮闘振りも、そのような事情も全て知っています。
自己犠牲の精神に溢れ、市民のために全てを捧げるリーダーの姿がありました。
その話を聞いた自衛隊の指揮官達は、「自分達はさらに頑張らなければならない。」と気持ちを新にしました。
市民と市長、市長と自衛隊との信頼関係、そのような信頼関係が前向きの力を生んでいくのです。
●被災地の現場を廻っている時、女の子が流された自宅の跡で、ガレキをどけ、思い出の品を探していました。
一寸時間があったので、黙って一緒に探しました。
そして話しかけてはいけないことを話しかけてしまいました。
「大変だね。何か欲しいものある?」
女の子はぽつりと答えました。
「お母さんが欲しいの」
思わず女の子を抱きしめ、黙って一緒に泣いてしまいました。
●福島原発の警備は、ほとんどなされていません。
今、2000人以上の人が、派遣を含めて働いていますが、身元チェックはなされていません。
出入りのチェックもなされていません。
外国の工作員が入り込んでも分かりません。
テレビは、原発の構造を図で示し、安全上の弱点を解説しています。
テロリスト達に次のテロのターゲットをばらしていると言うべきです。
20km範囲内に誰でも入り込めます。
国の安全上これでよいのか、大変危ない状況にあります。
作業員の食事、睡眠などの生活環境は、少しは改善されましたが、劣悪のままです。
被災地以上のことをするなという発言が政府筋からあったそうですが、とんでもないことです。
2000人の人が危険作業に従事していながら、医者が一人もいないことも問題です。
テロ対策を含めて、2000人の現場の安全マネジメントは、東電ではムリです。
自衛隊なら出来ます。
自衛隊に任せるという政府の判断があるべきです。
●菅首相の言うべきことは、本当はただ1つです。
「政府が全て責任を持ちます。被災地の皆さん、安心してください。」
鳥羽市長に見るような信頼関係が、政府との間には全くないのが現状なのです。
以上、講演の要旨でした。
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