
「宇宙エレベーター」構想というのがあるんですね。
人工衛星から地球へ垂らしたケーブルを伝ってエレベーターで、人やモノが上下する。
これなら、大気圏突入時に高温に晒されることもないし、人々が自由に宇宙空間に遊びに行けます。
でも、ボールに割り箸を立てたら、ボールがひっくりかえってしまうのと同様、重たい物質で、エレベーターを作ったら、地球がヤバイ!
夢物語と思われていた構想なのですが、なんと日本の技術で、いまや実現可能段階に至っています。
どういうことかというと、宇宙ステーションから、地球に糸を垂らす。
まるで芥川龍之介の「蜘蛛の糸」ですが、その糸にエレベーターをつけて、上下する。
これなら、地球がひっくり返る心配がありません。
なんと、この糸を開発したのは、埼玉県越谷市の方です。
名前を、飯島澄男(いいじますみお)博士(NEC特別主席研究員、名城大学理工学部教授)といいます。
昭和14(1939)年生まれの方です。

発見したのは、平成3(1991)年。
発見した物質は、カーボンナノチューブといいます。
この名前をつけたのも、飯島博士です。
カーボンナノチューブは、直径0.5~10ナノメートルのチューブ状の形の炭素(カーボン)の結晶です。飯島博士は、この功績で、ノーベル賞候補のひとりとなっています。
発見したカーボンナノチューブは、なんと、アルミニウムの半分という軽さ、つまり、綿よりも軽く、強度は、鋼鉄の20倍です。繊維方向の引っ張り強度では、なんとダイヤモンドより硬い。
しかも、しなやかです。弾力があります。
加えて、銅の1000倍以上の高電流密度耐性があります。
高熱伝導特性は、銅の10倍です。
おかげで、いろいろな可能性が生まれてきた。
冒頭の宇宙エレベーター構想の実現もそうだし、1000GB以上のナノ光ディスクの開発、原子間顕微鏡の探針や、ナノピンセット、超伝導への応用等々、とにかくこのカーボンナノチューブによって、いろいろな未来の可能性が広がっています。
たぶん、機動戦士ガンダムのようなガンダムスーツは、カーボンナノチューブ素材が使われるのじゃないか。なにせ布よりもはるかに軽くて、強度はダイヤモンド以上で、しかもやわらかくて柔軟性がある!!
とまあボクのような素人から見ても、とにかくものすごい物質です。

上の図が、そのカーボンナノチューブなのですが、何かに似ていませんか?
そうです。
日本に古くからある「竹カゴ」です。
竹カゴは、細く切った竹ひごを、六角形に組み合わせたものです。
日本の竹カゴは、ものすごく丈夫で、いろいろなものに応用され、使われている。
その竹カゴを、飯島博士は、電子顕微鏡の中で発見したのです。
そしてその竹カゴが、将来、宇宙エレベーターになって、人々を宇宙に運ぶ!!

飯島博士は、少年時代、植物や昆虫の採集、魚釣りが趣味で、鳩やウサギ、カエルやカニの飼育などもされていたそうです。
都立上野高校を卒業後、電気通信大学に進み、そこから東北大学大学院で博士号をとり、米国アリゾナ州立大学の研究員として12年間を過ごしながら、物質構造を原子レベルで解明する高分解能電子顕微鏡技術を世界に先駆けて開発されています。
そのご縁で、電子顕微鏡を使った物質のナノメートルレベルの構造や物理現象の探求が専門となって、カーボンナノチューブの発見に至ったそうです。
博士はよく、「セレンディピティ(serendipity)」という言葉を使われるそうです。
「セレンディピティ」というのは、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力のことです。
ふとした偶然をきっかけに閃きを得て、幸運を掴み取る能力のことです。
しかし同時に博士は、そういうふとした偶然の幸運を得るには、そこに至る「過程」が大事ともいいます。
飯島博士は言います。
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先にも述べましたが、「人のやったことはやらない」というのがポイントだと思います。
でも、「人のやっていないことをやる」というのは、強いモチベーションに裏付けられなくてはなりません。
日本の若い皆さんにお願いしたいことは、「日本に誇れる研究成果を生み出して欲しい」ということです。
誇れるものがないことは、世界の中で伍していくとき、精神的ゆとりができません。
日本の文化を創造するんだ、というぐらいの自負が必要です。
例えば、私の専門である電子顕微鏡による研究や製造技術は、世界に誇れる技術だと思っています。
ぜひ、皆さんも世界に誇れる科学・技術を創造してください。
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博士は、ご自身のカーボンナノチューブの発見にすいて、
「何かの意思が働いていた」
「単なる偶然ではなかったように思う」と語られています。
博士はおそらく、そこに神仏のご意思というか、ご加護のようなものを感じたのではないか。
イチロー選手が以前、「神が降りてきた」と発言したことがありました。
そして神は、おそらく日ごろから真摯に生きる、まじめに取り組む、ひたむきに頑張り抜く、そうしたところに降りて来られるものなのかもしれませんね。
ご参考
≪まず読んでください≫
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