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| 広島原爆の日にあたり、戦争とは何か、虐殺とは何かを問い直します。米国による原爆投下の本当の目的と、日本が歩んだ誇りある道を振り返りながら、私たちが果たすべき役割を考えます。 |
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■ 「記念日」ではなく「忌日」として
8月6日は、昭和20年に広島に原爆が投下された日です。
このときの爆弾は、どうやら原子爆弾ではなかったのではないかという説を林千勝先生が唱えており、私もこの説を支持しています。
理由は、実際に爆心地近くの「被爆樹木」が今もなお元気に生きているからです。
原子爆弾ならば、地上600メートルという低空に太陽が現れたのと同じです。
しかも風速440メートル/秒の爆風が襲ったはずなのです。
立木が燃えもせず、飛ばされもせずに生き残ることは、物理的にありえないのです。
当時の日本政府も、この爆弾を「新型爆弾」と表現しています。
ですので、本稿では以後「新型爆弾」と表記します。
さて、この日を「広島原爆記念日」と呼ぶ方がおられますが、間違いです。
正しくは「広島平和記念日」もしくは「広島原爆忌」です。くれぐれもお間違いのないようにお願いします。
ただの言葉の問題ではすまされないのです。20万人以上の命の犠牲があるのです。
今朝の8時15分には、毎年恒例、黙祷を捧げさせていただきたいと思います。
■ 昭和天皇の御英断
米国が投下した新型爆弾が、果たして原子爆弾なのか疑わしい一方で、日本は昭和20年の1月の時点で、原爆を完成させていたという話があります。
この完成を昭和天皇に奏上にあがったとき、昭和天皇は、
「敵がこの爆弾を用いる可能性はあるのか」と御下問されました。参謀長が「もともとはドイツの技術であり、米国がドイツを占領している以上、その可能性はあります」と答えますと、昭和天皇は、
「そのような事態になったとき、朕はどのように国民にあやまれば良いのか。皇祖皇宗にどのように謝れば良いのか。答えよ」と杉山参謀長に御下問されました。参謀長が答えに窮していると、昭和天皇は
「新型爆弾の開発は即刻中止せよ。使用もまかりならん」と仰せになられたといいます。
勝利よりも、誇りと未来を選ばれたそのご英断は、文明のあり方そのものを問うたご英断であり、我が日本の誇りとすべきものです。
■ 「戦争」の終わりはいつか
一般的に「終戦記念日」とされるのは8月15日です。けれど私は、8月6日こそが「戦争の終わりの日」であると申し上げています。
なぜなら、新型爆弾投下の瞬間から、「戦争」が「虐殺」に変わったからです。
戦争とは、国家の行う外交の最終手段であり、「交戦国の正規軍同士が戦うもの」であって、一般市民を無差別に殺すことは、戦争行為とは国際法上、認められていません。それはただの「犯罪行為」です。
広島の原爆について、トルーマン大統領は「軍事施設を攻撃した」と言い訳しましたが、現実には、市街地への威力の高い新型爆弾投下によって、子どもや高齢者、妊婦さんまでもが一瞬で命を奪われています。
これは明らかな、無差別殺戮であり、戦争の枠を超えたものです。
つまり、この日を境に、戦争は終わったのです。
これ以降の戦闘は、たんなる虐殺であり、殺戮(ジェノサイド)であり、犯罪です。
■ 日本はなぜ「選ばれた」のか──原爆投下の背景
広島と長崎に投下された2つの爆弾は、それぞれウラン型とプルトニウム型でした。
ロスアラモス研究所は後に、「史上初めて、人間の都市に対して2種類の原爆の実験が成功した」と述べました。
「実験だった」と述べているのです。
では、なぜ日本が選ばれたのか?
答えは単純です。
この時点で日本は、「絶対に報復してこない国だったから」です。
当時、日本はすでに制海権も制空権も失っており、アメリカ本土に攻撃する手段も残されていませんでした。つまり、実験によってどれだけ非難されても、アメリカは痛くも痒くもないという状況でした。
人類の未来を左右するような兵器の「実験場」にされた日本──その現実の重さに、私たちはしっかりと向き合わなければならないと思います。
■ 日本は「誇り」を選んだ
アメリカの攻撃は明らかに非戦闘員を狙った虐殺でした。
しかし日本は、捕虜に対して人道的な処遇を施し、国際法に則って行動していました。
終戦を決意された昭和天皇は、終戦の詔勅の中で、日本のことだけではなく、「人類の未来と文明の存続」にまで思いをはせておられました。
「未来に生きる人々が、これ以上地獄を見ないように」
その心が、8月15日のご詔勅なのだと、私は思います。
■ 戦争の反対は「平和」ではない
戦争の反対語は、平和ではありません。「虐殺」です。
戦争というのは、正規の軍隊同士がルールをもって戦うものです。
ルールが崩れれば、それはただの虐殺であり、無差別殺戮という地獄絵図です。
新型爆弾投下の瞬間から、日米の戦争は終わりました。
以後はただの虐殺者と、これへの日本側の抵抗活動だけの状態です。
広島と長崎で犠牲となられた方の数は、およそ35万人です。
彼らは、現代の私たちに何を思うのでしょうか。
それは報復でしょうか。
違うと思います。
お亡くなりになられた皆様のお気持ちは、等しく、
「決して私たちの死を無駄にしないでくれ。
俺達の子孫が、平和で豊かで安全で安心な国を、絶対に築いてくれ。
それは、生きているお前たちにしかできないことなのだ」
というものではないでしょうか。
■ 生きているからこそできること
私たちは生きています。
食べることができて、寝ることができて、笑うこともできます。
その命を、奪われずに今日も生きているということ──それだけで、実は本当にありがたいことです。
だからこそ、生きている私たちには役割があります。
それは「平和と繁栄と安定安心という役割」です。
新型爆弾が投下された日だから、沈鬱な顔で話さなければならないという人がいます。
気持ちはわかります。
けれど、私たちはいま、生きています。
そして何より、私達自身が、そして子どもたちが、孫たちが、笑顔で安心して生きていくことができる国つくりをすることができるのは、御霊となった人たちにはできないことなのです。
私たち自身が、行わなければならないことなのです。
8月6日を、ただ「悲しいね」「かわいそうだったね」と言うのではなく、しっかりと歴史を見つめ直し、しっかりとした今を生きることで、すこしでも良い未来にやってきてもらえるように努力する。
それが、私たち日本人が、お亡くなりになられた方々の思いと共鳴し共震しながら、未来を拓くということなのではないかと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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