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1934年7月22日、アメリカの無法者ジョン・デリンジャーがFBIによって射殺されました。悪名高い銀行強盗だった彼は、皮肉なことに“英雄”として称賛されました。なぜでしょうか?日本にも、鼠小僧や石川五右衛門といった「義賊」と呼ばれる人物がいましたが、社会の彼らへの評価は根本的に異なっていました。本稿では、アメリカにおける「ロビン・フッド症候群」と、日本独自の道徳的価値観──「筋(すじ)」の重視──を比較しながら、本当の正義とは何かを考えます。

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20250722 ジョン・デリンジャー事件


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1934年7月22日、シカゴのバイオグラフ劇場前で、ジョン・デリンジャーはFBIによって射殺されました。当時、彼はアメリカで最も指名手配されていた人物で、狡猾な銀行強盗として、その名は全国に知れ渡っていました。
精巧な計画と大胆な脱出劇で知られるデリンジャーは、生前からすでに伝説的存在となっていました。ある事件では、彼が警察車両──フォードV8──を盗んで逃走し、その性能を称える手紙をフォード社に送ったとまで言われています。また、石鹸を削って作った偽の拳銃に靴墨を塗り、それで看守を脅して脱獄に成功したという話もあります。こうした逸話は、彼を「巧妙で大胆な反逆者」として神話化する要素となりました。
ではなぜ、犯罪者であるデリンジャーが人々から称賛されたのでしょうか?
その答えは、当時の社会的背景にあります。1929年の株式市場崩壊に端を発した大恐慌は、アメリカに前例のない苦難をもたらしました。失業率は25%を超え、無数の家庭が家を失い、生計を立てられなくなったのです。
銀行は、強欲と不正義の象徴として、庶民から憎まれる存在となっていました。デリンジャーが銀行を襲い、一般市民には手を出さなかったことで、彼は「民衆の仇を討った」存在としてロマン化されたのです。
こうした感情的投影によって、「ロビン・フッド症候群」と呼ばれる現象が生まれました。これは、社会に不満が渦巻く中で、無法者を英雄化してしまう心理現象です。
日本にも、いわゆる「義賊」とされる人物がいます。たとえば鼠小僧(ねずみこぞう)こと次郎吉や、石川五右衛門などがその代表です。彼らは裕福な者、あるいは悪徳官僚などから盗みを働き、民衆の間で人気を集めました。歌舞伎や民話の中でもよく描かれています。
しかし、彼らが称賛された理由は、単に「権力に逆らったから」ではありません。
日本文化においては、「筋(すじ)」と呼ばれる道徳的な一貫性が非常に重視されます。これは「原則を貫くこと」「人としての道を踏み外さないこと」を意味します。
こうした義賊たちが支持されたのは、次のような要素を備えていたと感じられたからです。
 ・ 弱きを助けた
 ・ 不当な権力に立ち向かった
 ・ 庶民の情を忘れなかった
 ・ 私利私欲に走らなかった
つまり、彼らの行動には「筋が通っていた」と感じられたからこそ、違法であっても人々に物語として受け入れられたのです。
この「筋」の思想は、武士道(ぶしどう)の中に深く根づいています。
たとえば、江戸時代の武士は、道で不正を見かけた場合、その場で相手を斬り捨てる「斬捨御免」の権利を持っていました。しかし、それは気軽に振るわれるものではありませんでした。
なぜなら、もし不当な理由で斬ったと判断されれば、その武士は切腹をして責任を取らなければならなかったからです。
つまり、
 ・ 本当に斬るべきか
 ・ 自分の行為に筋が通っているか
を、常に自らに問い続ける倫理観が必要とされたのです。
武士道において、「悪を罰すること」が正義なのではありません。
「筋を通すこと」が重んじられたのです。
現代は、SNSやメディアによって、「ヒーロー」や「悪者」が一瞬で生まれる時代です。
怒りや不満が渦巻くなかで、「敵」を叩くことで一時的な正義感が満たされることもあるでしょう。
でも私たちは、忘れてはならないのです。
・ 叩いたからといって、それが正義になるわけではない
・ 叩かれたからといって、その人が悪とは限らない
・ 法律を超えてでも守られるべき「人の道」がある
ということを。
いま本当に大切なのは、「敵を作ること」ではなく、「共に立て直すこと」ではないでしょうか?
そのためには、どのような「いま」を私たちが紡ぎ、次の世代に手渡すのかを考えなければなりません。
私たちは、次の世代にどんな物語を手渡していくのでしょうか?
それは、「体制に逆らったから英雄になったという物語」でしょうか。
それとも、どんなに厳しい時代であっても「筋」を通した人々の物語でしょうか。
これはアメリカ文化への批判ではありません。
むしろ、正義や英雄、道徳的勇気をどう定義するか──
異なる社会の視点を見比べてみよう、という呼びかけです。
本当の正義とは、怒りや人気で決まるものではなく、原則によって判断されるべきものです。
その原則は、とても静かな、個人的な問いから始まります。
「たとえ誰にも見られていなくても、自分に恥じない生き方ができているか?」
派手さや反応がもてはやされる現代において、日本の「筋」の文化は、静かで確かな羅針盤です。
それは、正義と不正のあいだを航海するための、控えめであたたかな灯です。
これは単なる文化の違いではありません。
それは、私たち一人ひとりに問われている「選択」なのです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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