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第115回倭塾 2024年12月7日(土)16:30-20:30 タワーホール船堀2F蓬莱
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| この歌は額田王の作とされている歌ですが、実は斉明天皇が詠まれた哀傷の歌と書かれています。夫と訪れた道後温泉で平穏な日々を懐かしみつつ、今は若者を戦地に送らねばならない悲しみが表されています。日本文化は流行に左右されず、本質的な価値を重んじるものです。目先の利益を追うだけでは真の繁栄は得られません。現代日本に必要なのは、深い知恵と文化の精神「大和心」を取り戻すことです。 |
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熟田津(にぎたづ)に 船乗りせむと 月待(つきまて)ば
潮(しほ)もかなひぬ 今はこぎいでな
この歌は百済有事による朝鮮出兵に際して、額田王が詠んだ歌として、学校の教科書でも数多く紹介されている歌です。
万葉集を代表する一首といえるかもしれないし、美人と言われる額田王を代表する和歌ともいえるかもしれない。
歌の解釈にあたっては、初句の「熟田津(にぎたづ)」がどこの場所なのかが議論になったりもします。
それほどまでに有名な和歌といえます。
けれど、そうした見方は、実は、この歌の本質を見誤らせようとするものでしかありません。
どういうことかというと、この歌の原文は次のように書かれています。
【歌】熟田津尓 船乗世武登 月待者
潮毛可奈比沼 今者許藝乞菜
【補記】右検山上憶良大夫 類聚歌林曰 飛鳥岡本宮御宇天皇元年己丑九年丁酉十二月己巳朔壬午天皇 大后幸于伊豫湯宮後岡本宮馭宇天皇七年辛酉春正月丁酉朔壬 寅御船西征始就于海路 庚戌 御船泊于伊豫熟田津石湯行宮 天皇御覧昔日猶存之物。当時忽起感愛之情所以因製歌詠為之 哀傷也 即此歌者天皇御製焉 但額田王歌者別有四首。
現代語訳すると次のようになります。
特に「補記」のところが重要です。
【歌】
熟田津尓 篝火の焚かれた田んぼのわきの船着き場に
船乗世武登 出征の乗船のために兵士たちが集まっている
月待者 出発の午前二時の月が上るのを待っていると
潮毛可奈比沼 潮の按配も兵たちの支度もいまは整った
今者許藝乞菜 さあ、いま漕ぎ出そう
【補記】
右の歌は、山上憶良大夫の類聚歌林(るいしゅかりん)で検(しらべ)てみると、この歌は第三十七代斉明天皇が詠まれた歌であって、このたびの伊予の宿所が、かつて夫である第三十四代舒明天皇とご一緒に行幸された昔日(せきじつ)のままであることに感愛の情を起されて、哀傷されて詠まれた歌であると書かれています。つまりこの歌は、本当は斉明天皇が詠まれた御製で、額田王の歌は他に四首があります。
要するにこの歌は、実は女性の天皇であられる第37代斉明天皇(さいめいてんのう)が読まれた御製だと万葉集に補記されているのです。
つまり本当は、額田王が詠んだ歌ではないと書かれています。
しかもこの歌は「出征兵士を送る歌」のような勇壮な歌ではなく、「哀傷歌(かなしみの歌)」であると書かれています。
「熟田津」とは、田んぼの中にある水路の横で炊かれた松明(たいまつ)のことを言いますが、その歌われた場所は、今の四国・松山の道後温泉のあたりであったとされています。
昔日(せきじつ)のある日、後に皇極天皇となられた宝皇后(たからのおほきさき)は、夫の舒明天皇(じょめいてんのう)とともに、(おそらく)道後温泉に湯治(とうじ)にやってきたのです。
そのときは、まさに平和な旅で、大勢の女官たちらとともに、明るく皆で笑い合いながらの楽しい旅であったし、地元の人たちにも本当によくしていただくことができた。
誰もが平和で豊かな日々を満喫できた、行楽の旅であったわけです。
そしてそれは夫の生前の、楽しい思い出のひとつでもありました。
ところがいまこうして同じ場所に立ちながら、自分は大勢の若者たちを、戦地に送り出さなければならない。
あの平穏な日々が崩れ去り、若者たちを苦しい戦場へと向かわせなければならないのです。
もちろん戦いは勝利を期してのものでしょう。
けれども、たとえ戦いに勝ったとしても、大勢の若者たちが傷つき、あるいは命を失い、その家族の者たちにとってもつらい日々が待っているのです。
それはあまりに哀しいことです。
だからこの歌は、哀傷歌とされているのです。
けれど、時は出征のときです。
若者たちの心を鼓舞しなければならないことも十分に承知しています。
だから皇極天皇は、そばにいる、日頃から信頼している額田王に、
「この歌は、おまえが詠んだことにしておくれ」
と、この歌をそっと手渡したのです。
これが日本の国柄です。
平和を愛し、戦いを望まず、日々の平穏をこそ幸せと想う。
そして「私が詠んだ」という「俺が私が」という精神ではなくて、どこまでも信頼のもとに自分自身を無にする。
そのような陛下を、ずっと古代からいただき続けているのが日本です。
この歌が詠まれた「後岡本宮馭宇天皇七年」というのは、斉明天皇7年、つまり西暦661年のことです。
いまから1359年の昔です。
日本人の心、そして天皇の大御心は、1400年前の昔も今も、ずっと変わっていないのです。
ちなみに初句の「にぎたづに」は、大和言葉で読むならば、「にぎ」は一霊四魂(いちれいしこん)の「和御魂(にぎみたま)」をも意味します。
和御魂(にぎみたま)は、親しみ交わる力です。
本来なら、親しみ交わるべき他国に、いまこうして戦いのために出征しなければならない。
そのことの哀しさもまた、この歌に重ねられているのです。
このような読み方は、万葉集に関するどの本を見ても書いてありません。
学校の教科書にも、この歌は額田王の歌としてだけしか紹介されていません。
けれど、上に述べた【補記】を含めてこの歌を鑑賞するならば、以上のような解釈しか成り立ち得ません。
近年は情報化社会といわれ、ちゃんと調べず、「ちょっと知っている」だけで、すべてわかったような気になることができる時代です。
けれど、本当に大切なことは、単に「知っている」ところにあるのではありません。
知ろうとして「チャレンジすること」に意義と価値があります。
そして同様に「チャレンジ」するにしても、ただちょっとカジってみたというチャレンジもあれば、深く追求するというチャレンジもあります。
申し上げたいことは、単に額田王の歌に「異なる解釈がある」ということではありません。
先人たちに深い知恵があり、深い知恵があるからこそ、千年の時を超えて、この歌が生きているということです。
日本の文化は、ただ流行に流される、そのような底の浅いものではありません。
衣装にしても同じです。
西欧の文化は、その年の流行を追いますが、日本では、曽祖母の晴れ着が、孫の晴れ着となる、そういう文化です。
時代を越え、歳月を越えて通用する本源的価値を求めてきたのが、日本の文化です。
ビジネスでも同じです。
その瞬間瞬間の勝利は、ビジネスでは不可欠です。
けれど同時に、その勝利を不動のものにするために、いまの繁栄が成長となり、安定し継続できるようにしていくための、様々な工夫があればこそ、何百年の歳月を生き残る会社が、日本に多数残っているのです。
中今(なかいま)に生き、継続し、繁栄する。
その試練の時が、いま日本に迫っています。
2025年から2040年にかけて、日本経済は大波乱の時代を迎えると言われています。
高齢化によって産業が衰退し、地方経済はほぼ壊滅するであろうという人もいます。
けれど日本人が、目先の利益を求めて商売に精を出すようになったのは、貨幣経済が価値を持つようになった江戸時代以降のことです。
先日、400年続く老舗の料理屋さんでお食事をいただく機会を得ました。
出される料理も美味しかったけれど、ご飯がまた絶品でした。
どうしてこんなに美味しいのだろうと思い、「どんなお米を使っているのですか?」とお伺いしたところ、「その時々で色々なお米を使っています」との答えでした。
それでわかりました。
そのご飯の美味しさは、お米の銘柄の問題ではなく、実は炊き方にあったのです。
そのお店では、ご飯は昔ながらの炭火を使った釜炊きでした。
翌日、料理研究家の方に伺いましたら、実は料理の味は、時代とともに落ちてきているのだそうです。
理由は火です。
昔は炭火でした。
炭火は、炭が赤く燃え、料理の表面をカリッと焼き上げるとともに、遠赤外線が料理の中まで浸透して温め効果を出すのだそうです。
ところが、近年ではガスの炎を用いる。
もちろんその方が、楽に料理を作ることができますが、青い炎では遠赤外線効果は発揮されず、結果として料理の味を落としているのだそうです。
私たちは近代化、スリム化、時短、効率化といった、ひとつの時代の流れの中で、多くのものを失ってきたのかもしれません。
歌も同じで、ひとつの歌を深く鑑賞し、そこに込められた深い思いを察するという和歌の文化が、いまでは「ちょっと知ってる」というだけの、あまりに簡明なものに置き換えられてしまっています。
もちろん、それで生きるということも有りです。
けれど、それではイソップ物語の「アリとキリギリス」のキリギリスと同じです。
いま、アメリカは、そんな「キリギリス文化」が、崩壊しかけています。
トランプ氏が、これをなんとかして復興しようとされていますが、文化の本質が「キリギリス文化」にあっては、おそらく、長続きはしない。
一方で、「アリ」のように働いてきた日本は、キリギリスに何もかも奪われていく、そんな状況でもあります。
このままでは、日本は他の植民地支配された多くの国や民族がそうであったように、まさに南米のインカ同様、日本文化が遺跡と化してしまう結果となりかねない。
そんな状況にあります。
それを取り戻すには、私たち自身が大和心を取り戻していくしかない。
そのように思います。
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お読みいただき、ありがとうございました。
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