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【次回以降の倭塾】
第111回倭塾 2024年7月27日 12:30-17:00 富岡八幡宮/婚儀殿2F
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第112回倭塾 2024年9月14日 12:30-17:00 富岡八幡宮/婚儀殿2F
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| どうしようもないような現実に見えても、その中に、必ず大きな学びがあり、解決の糸口があります。人はそうやって生きていくものだし、人の社会もまた、そうやって改善を繰り返しながら、少しずつ良くなっていくのであろうと思います。あきらめることなどないのです。 |
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藤島恒夫の名曲『月の法善寺横丁』
♪ 包丁一本、さらしに巻いて
旅へ出るのも 板場の修行
待ってて こいさん
哀しいだろうが
あゝ 若い二人の
想い出にじむ 法善寺
月も未練な 十三夜
この歌のもとになっている物語が、織田作之助が昭和15年に発表した「夫婦善哉(めおとぜんざい)」であったといわれています。
「夫婦善哉」というのは、大阪の法善寺横丁で木文字重兵衛(きもんじじゅうべえ)が明治16年に開いた、ぜんざい屋「お福」のぜんざいのことで、ぜんざいを出すときに、お椀を二つに分けたら同じ値段でも豪華に見えるとのことから、一人前を椀二つで出すようにしたのだとか。
「なんで椀がふたつや?」
「めおとでんね」
というのが夫婦善哉のルーツだといわれています。
甘味のぜんざいに、善き哉(かな)を掛けた名前になっているわけですね。
ちなみに、大和言葉の「めおと」は、「妻(め)夫(おと)」で、本来は妻が先だった言葉です。
明治以降の戦争続きの時代に、西洋的男性優先型社会へと変化し、その過程で「妻夫」が「夫婦」になったのだとか。
このぜんざい屋の「お福」が、発展して、全国展開のファミレスになったのが「和食のさと」で、いまも全国のお店のメニューに「大阪名物・夫婦善哉」が載っています。
ちなみにこの「夫婦善哉」は、カップルで食べると円満になれるのだそうですが、カップルで2椀(1人前)を分けるのは縁起が悪いので、カップルでも2人前を注文するのが良いのだそうです。
さて、大阪・千日前にある浄土宗大龍山法善寺の北側の路地にあるのが「法善寺横丁」です。
ここは横に三人並んでは歩けないほどの細い路地で、両側に軒並みに飲食店が並んでいます。
ここで有名なのが「ドテ焼き」と呼ばれる豚の皮を味噌で煮詰めたものと、夫婦善哉。
歌にでてくる「こいさん」というのは、人の名前ではなくて、大阪は船場の商人の間で使われていた「舟場言葉」で、
「お嬢さん」が「いとさん」。
その妹さんが「小さいいとさん」ということで「小(こ)いとさん」が詰まって「こいさん」。
三姉妹や四姉妹の場合は、「なかいとさん」とか「こいこいさん」などと呼ばれていたのだそうです。
つまり「こいさん」というのは、二人姉妹の妹さんといった意味。
歌の歌詞は、やわらかな旋律とともに、板前になろうと一生懸命な若い男性と、その修業の帰りをじっと待っている新妻といった風情で、戦時中、戦場へと旅立つ若い兵隊さんと、その帰りを待つ女性たちの心がそのまま反映した内容になっていることから、戦前戦中戦後まで、大ヒット曲となりました。
曲の中の男性は、目標のために故郷を離れながらも一途に頑張り、凛々しく成長して帰ってくるといったイメージになっていますが、実は小説のほうの「夫婦善哉」の夫の方は、かなり残念な人物として描かれています。
大阪で持ち帰り専門の天ぷら屋をしていた種吉は、天ぷらは美味しいけれど商売下手。
そんな家に生まれた姉妹の妹が主人公の蝶子で、家が貧しいからと、小学校を卒業してすぐに女中奉公に出るのだけれど、縁あって芸者の下地っ子に出て、そこから17歳で芸者になります。
そんな蝶子が二十歳になった頃、毎日のように店に通ってくれていた化粧品問屋の若旦那の柳吉(31歳)と、結ばれて、二人は駆け落ちしてしまいます。
このとき柳吉には、しっかり者の妻があり、幼い女子もいました。
そんな具合ですが、柳吉は父親から勘当(かんどう)されてしまいます。
それでも二人で力を合わせて生きていけば、まだなんとかなりそうなところ、柳吉はしょせんはぼんぼんで、家がなければ稼ぎもないから、たちまち二人は貧乏になってします。
それでもなんとか晴れて夫婦になれる日を思う蝶子は、ヤトナ芸者(臨時雇いの安値の芸者)になって稼ぐのだけれど、結構な稼ぎも、すこし貯まると、そのカネを柳吉が持ち出しては遊郭でまとめて遣ってしまう。
そんな暮らし続いた二人の10年余の暮らしが語られた小説が『夫婦善哉』です。
一途に柳吉のことを想いながら、遊興に耽る柳吉に悔しく哀しく殴る蹴るする蝶子の気持ち、
蝶子の気持ちをわかっていても、妻子と離れ離れになってしまい、ついには体を壊して早逝してしまった妻を思う柳吉の心の動き、
そういった心の襞(ひだ)が、柔らかで読みやすい文章で伝える時代感が、とても澄(すず)やかで、しかもこの時代の現実を反映していたことが、ベストセラーとしていまも名を残す小説となったといわれています。
けれど、もしかすると、昔の人は、人が霊(ひ)の乗り物だと知っていた。
そして願兼於業(がんけんおごう)といって、霊(ひ)はこの世に生まれてくるときに、あらかじめ自分がする苦労を選んで生まれてくる。
だから、誠実に生きよう、幸せに生きようと、懸命に努力するのだけれど、気がつくと、好きな人とは結ばれない、好いた女房からは暴力を受ける、好きあって一緒になったら旦那がとんでもない浮気者で悔しくてたまらないなど、まさにこの世は試練の連続です。
けれどそうした試練は、自分で定めて生まれてきたのだからと知っていたから、こうした小説に感情移入し、自分の苦労もまた、形は違えど、柳吉や蝶子と同じなのだと感じ取っていたのかもしれません。
考えてみれば、人の世の様々な問題は、すべて人が作り出しています。
そうであれば、人の力で解決が可能なはずです。
どうしようもないような現実に見えても、その中に、必ず大きな学びがあり、解決の糸口があります。
人はそうやって生きていくものだし、人の社会もまた、そうやって改善を繰り返しながら、少しずつ良くなっていくのであろうと思います。
あきらめることなどないのです。
もともと日本では、縄文の昔から「人の身体は、霊(ひ)の乗り物」という考え方があります。
おそらくそれが真実であろうと思います。
霊(ひ)が本体、肉体が乗り物です。
人の身体に霊(ひ)がとどまっている状態、これを「霊(ひ)止(と)」といいます。
身体から霊(ひ)が抜け出ると、身体はただの物体になります。だから「からだ(空だ)」です。
人間は、霊(ひ)と空(から)だがくっついたものです。
霊(ひ)の状態であれば、なんでも思い通りにできてしまうのだそうです。
けれどそれでは訓練にならない。
そこで人がルールの決まったスポーツをして、身体を鍛えるように、霊(ひ)は、みずからをさらに鍛えるために、重たい肉体に入り込んで訓練をします。
つまり、この世は「期限付きの霊(ひ)の訓練場」です。
一定の訓練が目標を達成できないと、生涯を通じて何度でも同じ苦難に襲われます。
一生という期限内に達成できないと、生まれ変わって何度でも同じ苦難に襲われます。
つまり、霊(ひ)はこの世で、乗り越えるべき壁を乗り越えるために生まれてくるわけです。
こうした訓練に最も適した場所として、地球環境が生まれています。
物質文明は発達し、いまや快適な空間で年中人は過ごすことができるようにさえなりました。
けれどここは訓練場です。
いまよりも年間平均気温が3度上がると、夏の猛暑の日は外気温が50度を越えるようになります。
するとエアコンは効かなくなり、都心部のようなコンクリートジャングルで人は暮らすことができなくなります。
森の木々による蒸散作用がないと、人は暮らすことができなくなり、緑に覆われた中で暮らすようになります。
そもそも人々が緑のない灰色のコンクリートの林立の中で暮らすようになったのは、わずかこの百年のことでしかありません。
もしかすると未来予知のできる方の多くが言う、「灰色の誰もいない地球と、緑に覆われた地球のイメージ」を視ているというのは、そういうことを述べているのかもしれないと思います。
地球はなくなりません。
日本もなくなりません。
ただし、現状を常に改善する努力を続けること。
惜しみなく愛を捧げること。
その先に、本当に素晴らしい未来があるのだと思います。
※この記事は2022年7月のねずブロ記事のリニューアルです。
日本をかっこよく!
お読みいただき、ありがとうございました。
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