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| 初期の言語は無声化音(子音)がなく、母音だけであったと考えられます。それが長い歳月と地域差の中で、子音が生まれ、次第にそれぞれの地域や民族に合った形となることで世界の言語がバラバラになっていったとするならば、元々の言語はどこにあったのかという疑問が起こります。そしてもしかすると、古代の知恵をそのまま残す日本語の中に、人類の始祖からの言語の形態が温存されているのかもしれないのです。 |
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画像出所=https://wired.jp/2020/09/18/google-egyptian-hieroglyphics/
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画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)

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有名なシンガーソングライターの谷村新司さんの曲は、世界中の言語に翻訳されて歌われています。
その関係から谷村さんは世界中の音楽祭などに招かれ、そこで現地の人の言葉で歌われる「昴(すばる)」や、「群青」、「いい日旅立ち」などを聴き、またご自身でも歌われました。
こうした経験を経て、氏は、
「あらためて日本語の美しさを感じた」
と述べられています。
実は日本語は、とても美しい言語です。
美しいだけでなく、世界中の言語と互換性を持つ包容力があり、世界中の言語や文化を日本語の中に取り入れることができます。
このことについて、これまでは、
「日本列島がユーラシア大陸の東の果てに有り、文明は西から東へと流れて日本にやってくるものだ。
日本の向こうは太平洋で、それ以上先へ進むことができないから、
気がつけばなんとなくこの日本列島で人々が同化し、
日本人を形成していったのだ」などと説明されてきました。
あるいはもうすこし過激なものになると、
「日本列島にはそもそも文化も言語も存在しなかった。
日本人が野生の猿同然の暮らしをしていたところに、
チャイナからコリアを経由して文明がもたらされた。
したがって日本文化は、チャイナ・コリアの模倣文化である」
などといった説もあり、多くの教科書が後者の説をとっています。
これに対しては、
「近世に至るまで野生の猿同然の暮らしをしていた国に言われたくない(笑)」
というところですが、このことは少し考えたら誰にでもわかることです。
そもそも古代において我が国で数多く作られた古墳はチャイナに存在しません。
日本の古墳は2世紀から形成されますが、コリアの古墳は4世紀のものです。
チャイナに高度な文明が花咲いたといいますが、世界最古の土器や漆器は、日本で見つかっています。
日本文明は、およそ3万8千年前からずっと継続していて、時代ごとの変遷を現代までたどることができますが、コリア半島には、いまから1万2千年前から7千年前まで人が住んだ痕跡を示す遺跡さえもありません。
日本は3千年前(あるいはもっと以前)から鉄器が用いられましたが、日本で作られた鉄器は、鍬や鎌などの農機具ばかりです。
ところがこれが大陸に渡ると、武器にばかり用いられることになりました。
「人々が生きるための生活道具が、人を殺す武器になる」
これはとても残念なことです。
けれど、そういうところが「民族性」なのです。
ちなみに「武器」と「凶器」は異なります。
最初から人を殺傷する目的で作られるのが「武器」。
他の生活用品として用いられているものが、たまたま殺人に用いられると、これを「凶器」と呼びます。
さて、このあたりのことが、西洋やチャイナの歴史観と、日本の歴史を考えるときの、実は大きな違いになります。
まず、西洋がわかりやすのですが、西洋の科学技術は、基本、軍事力の強化のために開発され、発展したものといわれています。
(もちろんそうでないものもありますけれど、全体に、その傾向があるという話です。)
このことは東洋も同じで、技術は、農機具や人々の生活用品の工夫や開発が主軸ではなく、すべて軍事技術が基になっています。
ところが日本では、軍事技術よりも、人々の民生品として技術が発達しています。
たとえば鉄器は、もちろん刀剣にもなっていますが、それはずっと後の時代の話でしかありません。
もともとは鋤や鍬、鍋や釜などに用いるために開発されました。
その伝統を引き継ぐものに南部鉄器や、精巧な大工道具があります。
こうした文化的伝統は、実はいまも続いています。
世界最先端の半導体を、海外の大国諸国は、ことごとくこれを最先端軍事に用いています。
けれど日本では、NASAや米軍よりはるかに進んだ最先端の半導体を、プレステなどのゲーム機に使われ、人々の楽しみに貢献しています。
そしてこうした文化の違いが、言語そのものにも現れるのです。
西洋においても、中世までは言葉や文字はそのまま魔力を持つものとされ、魔法は呪文で行われるし、文字も、もともとは呪術道具として用いられてきました。
このため文字や言葉を操る者は、そのまま魔術師や魔法使いと呼ばれ、そこから魔女狩りなどというものも派手に行われました。
同じことは東洋にもあります。
方士(ほうし)と呼ばれる人たちは、仙術を用いて敵を籠絡するものとされてきました。
ところが日本では、西洋や東洋がまだ中世社会であった千年前に、紫式部のような女流文筆家が登場し、さらに8世紀に成立した万葉集では、一般庶民のおじさんやおばさん、娘さんや息子さんたちが、歌を詠み、それを文字にしています。
それらはすべて「人々の楽しみ」や「よりよく生きるための学び」として用いられています。
シェパートといえば、警察犬としての活躍が有名ですが、あるブリーダーさんによると、米国で生まれたシェパードで、訓練士の言うことをまったく聞かず、とにかく性格が悪くて乱暴者のシェパードが、いらない犬だからということで、日本に送られて来るのだそうです。
ところがそんなシェパードが、日本で暮らして半年も経つと、どの子も実にあたたかで思いやりがあり、訓練士の言うことをよく聞く良犬になってしまうのだそうです。
そのブリーダーさんは、
「これはおそらく日本語が持つ特殊性にあるのではないか」
と述べておいでになりました。
日本語は、世界的に孤立した特殊な言語なのだという説があります。
日本語は撞着語といって、名詞や動詞を「てにをは」でつなぐ言語で、語順も「SOV型」です。
これが「特殊な言語だ」と言うのです。
Sは(主語)、 Vが(動詞)、 Oが(目的語)です。
英語は「SVO型」、日本語は「SOV型」です。
だから日本語は、世界の中で孤立した言語だというのです。
ところがどうもそうとばかりはいえないのです。
まず言語の発達を考えてみます。
はじめに猿人から進化したばかりの人類の初期の頃の言語は、「あ〜」とか「う〜」とかいった母音だけの原始的なものであったであろうと考えられています。
上を向いて青い広大な空を見上げて声を発すれば、自然に「あ」の音が声に出るし、びっくりすれば「え〜」になります。
びっくりに関心が入ると「お〜」になります。
これらは人類の喉の構造から、自然にそうなります。
そこから日本語は、「あ」は広大な天であり、その広大な天の中に生きる自分という意味で、古語の一人称が「吾(あ)」となります。
また人に話しかけるときの「なあ、なあ」が転じて、二人称が「汝(な)」となりました。
自分が「あ」、相手が「な」で、「あ」と「な」がようやく出会うと「ふ〜」とため息が出て、そこから誰かと誰かの出会いが「あ」が「ふ〜」で、「あふ」となります。
こうして単語が生まれ、単語がさらに組み合わさって、複雑な言語が形成されていきます。
このように考えると、最初に誕生した単語の多くは、名詞や動詞であり、それらをつなぎ合わせることで、言語が形成されていったと考えられます。
つまり人類の始祖の言語は、撞着語であった可能性が高いのです。
西洋における最古の文明といわれる古代シュメール文明の言葉が、日本語と同じ撞着語であったことによって確認できることです。
ところが言語というものは、長い歳月の間に省略化という現象が(必ず)起きます。
日本語でも、たとえば「教(おそ)わった」という言葉は、いつの間にか短縮されて「おさった」に変わったりします。
ローマ字で書くと
O SO WA T TA(おそわった)
O S A T TA(おさった)
で、ここでは「OW」が省かれるのです。
アニメや漫画がお好きな方なら、「ふざけんな!」という言葉が、「ざけんな」となったり、
軍隊の号令の「撃て〜!」が省略されて「て〜!」となったりすることは、御存知の通りです。
これらを総称して言語の「無声化」と言います。
母音が無声子音に挟まれたり文末に来たりすると、声帯の振動がなくなって、母音が聞こえなくなる現象が起こるのですが、そうすると、徐々に無声部分が言語から省かれて、異なる言葉になっていく、というわけです。
たとえば「洋服(ようふく)」は、「ふ」が無声化して、「よう〜く」のように聞こえます。
わかりやすいのが文末で、「〜です」、「〜ます」の「す」も無声化して「です(DESU)」が「DES」に変化します。
方言でも、「わかりました。そのようにいたします」なら、「わかりっした。そのようしまっ」なんて変化します。
これらは無声化したものが、ついには省略されてしまっているわけです。
つまり言語の発生、単語の生成と、言語化による無声化現象を考えてみると、もしかすると撞着語の方が歴史が古いのかもしれないという仮説が成り立つのです。
実際、諸国の言語は、「Know」のように先頭の子音が無声化したり、末尾の母音が省略されて単語の末尾が子音で終わるものがたくさんあります。
無声化したもの、つまり聞こえない音がはじまりの言語になることは可能性として「ありません」。
ということは、もともとは、しっかりと省略しないで全部が発声されていたのに、長い歳月と、地域の移動によって、次第に無声化し、それが定着することで、別な言語になってしまったと考えられるわけです。
実は語順も同じで、文法上は、たとえば日本語では「私は(S)、東京に(O)、行きます(V)」のように「SOV型」ですが、これはあくまで文章の話。
日常会話では、
「行くぜ(V)、東京に(O)、俺(S)」のように「VOS型」になることもあれば、
「行くぜ(V)、俺(S)、東京に(O)」のような「VSO型」にもなり、
「俺(S)、行くぜ(V)、東京(O)」のような「SVO型」になることもあるわけです。
英語においても、文法的には「I am going to Tokyo.」ですが、実際の会話では「Go to Tokyo,I」となったり、「Go I Tokyo」になったりします。
要するに話し言葉であれば、身振り手振りも加わりますので、どの国の言語でも、語順はかなり適当です。
また、軍事を中心とする言語であれば、「いつ」が非情に重要な事柄になります。
ですから言語内に時制が入るのは、これは必要から生まれます。
一方日本は平和ですから、言語に時制を求めません。
そうした社会的背景もまた、言語に影響を与えていくわけです。
要するに、初期の言語は「無声化音(子音)がなく、母音だけであった」と考えられるのです。
それが長い歳月と地域差の中で、子音が生まれ、次第にそれぞれの地域や民族に合った形となることで世界の言語がバラバラになっていった。
そうであるとするならば、古代の知恵をそのまま残す日本語の中に、人類の始祖からの言語の形態が温存されているのかもしれないのです。
さらにいうと文字についても、日本の神代文字は、世界中の古代文字(ヒエログリフ)と共通であったりします。
神代文字をご専門に研究されている方は、世界中の古代文字で書かれた文がちゃんと解読できるのだとか。
タイムマシンでもない限り、実際はどうであったのかはわからないことです。
しかし7300年前のアカホヤの大噴火のときに、日本列島から多くの人々が世界各国へと流れ出したこと、ちょうどそれと時を同じくしてシュメール文明が起こり、またチャイナにおいては長江文明が起きていることなどを考えますと、これまたもしかすると日本は、世界の文明の基礎を築いた国であった、といえそうです。
ちなみに何万年も前や、アカホヤが噴火したときの7300年前のことは、タイムマシンでもない限り、誰も行くことができないのですから、これらはあくまで考古学的証拠やDNAの解析等から、文化の流れを論理的な整合性があるように推理していくほかないわけです。
従って現時点では「こうなのだ!」と決めつけるのではなく、あくまで仮説として事実に基づいて過去に起きたことを論理的に考え、再現していくしかありません。
これはほとんど犯罪の科学捜査に似ていることでもあります。
※この記事は2022年7月の記事の再掲です。
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