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本来、寺社は宗教法人法で管理すべきものではなく、貴重な文化財として、文化財保護法で管理すべきものです。そうであれば、人々の共有財産であるといった上古の昔からの我が国の制度が破壊されずに済んだし、税制面での優遇もまた、文化財保護法で行えば良かったことです。
いま、時代は、個人中心の時代に多くの人達が限界を感じ、あらためて共同体の重要性が求められる時代に移行しつつあります。私たち日本人は、明治以降の様々な「ゆがみ」に対し、あらためて根治療法を行うべきときにきています。

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20240630 寺


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戦後の日本がGHQによって解体されたものに「我が国の共有財産という思想の破壊」があります。
たとえば、神社はもともとは氏子さんたちの共有財産でした。それが戦後には独立した宗教法人になりました。
同様に家族の形も、たとえば家の田畑は、家族の共有財産と考えられていたものが、個人の所有物という形に変えられました。
この家族の共有財産という形は、先日も「家族制度の変遷に見る世界の形、日本の形」(https://nezu3344.com/blog-entry-5961.html)という記事の中で、
「家とはいわば法人であり、土地は家族みんなの財産され、戸主はその代表者であった」という大化の改新以来1200年以上続いた我が国の形が、
明治民法で「家長である旦那の個人財産」化され、
戦後民法ではさらに「登記上の所有者個人の財産」
とされたことを述べました。
実は寺社も同じで、もともとは1200年以上にわたり、氏子さんや、檀家さんたちの共有財産であったのです。
このことは、いまでも制度ではなく慣習として多少は意識の中に残っていて、たとえばお寺さんや神社が土地の一部を売ろうとするときには、檀家さんたちや、氏子さんたちに集まってもらって、ちゃんとみなさんの承認をとってから売却を行うと行ったことが、行われています。
けれども、制度上は明治以降、お寺の土地はご住職のもの、神社の土地家屋は宮司さんの個人所有となり、そのことが戦後に宗教法人法によって明確化されたわけです。
このことにより、戦後およそ80年が経過しようとしているいま、というか戦後、ご住職や宮司さんの考えひとつで、お寺や神社の土地が売却され、処分されてマンションになったりするケースが多発しました。
はなはだしいものになると、お寺や神社自体が何十億という金額で売却され、その土地がいまではホテルやマンションになっているといったケースが、多発するようになりました。
このことは、単にご住職や宮司さんの欲得といった意味だけではなくて、共有財産という思想そのものが失われることによって、現実の寺社の運営が難しく、やむなく土地を処分するに至ったというケースも、多数見受けられますが、中には、個人的贅沢のために売却されたといった残念なケースもあります。
このことの問題の根幹にあるのが、宗教法人法です。
なるほど、人々の信仰のための施設を「法人」とみなすことは、それはそれで正しいといえるのですが、そもそも「宗教」という概念自体が、西洋から輸入された概念であって、我が国には江戸の昔には「宗教」という用語自体がありませんでした。
というのは、「宗教」という用語は、そもそも幕末に英語の「Religion」の訳語として生まれた造語です。
我が国には、もともと「宗門」とか「宗派」といった用語はありましたが、「宗教」という用語はなかったのです。
つまり「宗教法人法」という法律は、ある意味、むりやり日本に古くからある仕組みを、西洋式の型にはめ込もうとしたものであって、そこに文化の違いが厳然と存在していることが、実はまるで考慮されていなかったといえるのです。
ここに「ゆがみ」が生まれます。
我が国の「共有財産」という文化を、無理やり西洋式の「個人財産」という文化に当て嵌めようとした結果、寺社は檀家さんや氏子さんたちの共有財産であり、ご住職や神主さんは、いわば檀家さんや氏子さんたちに雇われた管理人といった位置づけだったものが、立場が逆転。
管理人さんが、所有者になってしまったのです。
このことは、わかりやすく例えるならば、分譲マンションが雇用している1Fの管理人さんが、突然、法律によってそのマンションのオーナーさん(所有者)になってしまったようなものです。
もちろん、そうなったとしてもほとんどは、ちゃんとした日本人の管理人さんです。
あくまでもその分譲マンションは、居住しているみなさんのもの、という考え方を崩さなかったのですが、残念なことに、数ある中には、その分譲マンションが、突然「自分のもの」になったのだからと、勝手にマンションを売却してしまった、といったケースが、戦後、多発したのです。
おかげでいまでは、歴史ある街において、栄えある伝統を持つお寺さんや神社が、いまでは影も形もなくなり、そこが大型ホテルやマンションになっているといったケースが、多数あります。
さらに歴史ある寺社の場合、墓苑を持たないことと、檀家さんや氏子さんが高齢化し、後継ぎの人たちが大都市に出ていってしまった関係で、運営自体が難しくなってしまい、やむなく売却に至ったというケースも多数発生しています。
また、大変残念なことですが、一部の寺社において、その土地や施設が個人所有になったのを良いことに、土地や施設が売却され、その売得金で、繁華街の高級クラブ等の遊興費に遣われてしまったというケースもごく一部に散見されます。
本来、寺社は宗教法人法で管理すべきものではなく、貴重な文化財として、文化財保護法で管理すべきものです。
そうであれば、人々の共有財産であるといった上古の昔からの我が国の制度が破壊されずに済んだし、税制面での優遇もまた、文化財保護法で行えば良かったことです。
いま、時代は、個人中心の時代に多くの人達が限界を感じ、あらためて共同体の重要性が求められる時代に移行しつつあります。
私たち日本人は、明治以降の様々な「ゆがみ」に対し、あらためて根治療法を行うべきときにきています。
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