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権威という言葉は、幕末に英語のオーソリティを翻訳してできた言葉です。しかし日本的な意味での権威を英語に訳すときには、これを英語の辞書に従ってオーソリティと書くと、意味がゆがみます。ですから、日本人が日本的価値観に目覚め、それを正確に、わかりやすく外国に向けて情報発信できるようになったときに、世界は、はじめて権力による支配に「待った」をかけることができるようになるといえるのです。これはものすごく重要なことです。

20210422 笑顔家族
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権力(パワー、Power)は、三つの構成要件で成り立つといわれています。
 情報(インフォメーション)
 資金(ファンド)
 暴力(ゲバルト)
この三つです。
人の集団内において、この三つのうちどれかひとつを握れば、かなりの力を発揮できるようになります。
二つ握れば、その集団における実質的な権力者になることができます。
三つとも手にしたら・・・それはまぎれもない権力者です。
西洋における世界観(これは宗教観と言っても良いのだけれど)は、世界には「主」がある、というものです。
そして、世界は「主」が所有しているといいます。
「主」はオーナーであり、最高権力者であり、人類とは異なる偉大な存在であり、人類は、その主のもとにあるとされます。
ですから、西洋社会では、「主」のもとにある者だけが「ヒューマン」です。
主のもとにない、他の神を信じる者は「ヒューマン」ではなく「異人」です。
ヒューマンの語源はラテン語の「humus」で、これは「大地」を表す印欧祖語の接頭語「hu-」に由来しているとされます。
「主」はすべてのオーナーですから、大地もまた当然に「主」のものであり、そこに「異人」がいても、その土地は「異人」のものではありません。
ですから「主」のもとにある「ヒューマン」が自由にして構わないとされます。
このことは我々日本人の感覚からいえば、自分の所有地にサルが縄張りをもっていても、その土地はサルの土地ではないと考えることに近いともいえます。
さらに、「ヒューマン」であっても、神に近い「ヒューマン」と、「ヒューマン」のままの者が存在します。
労働は、神に与えられた人類の原罪ですから、労働をしない者、しなくても良い者が、神に近い「ヒューマン」です。
神から遠くなるほど、きつい労働が課せられます。
このことから、「ヒューマン」の社会に階層が生まれます。
トップにあるのが、「主」のもとにあって労働をしない者。
次にあるのが、「主」のもとにあって労働をする者。
その下にあるのが、主のもとにない、つまり「ヒューマン」ではない者たちです。
これが原点になり、ここから社会の細かな階層が生まれます。
そして社会は、完全にピラミッド型の社会となります。
ピラミッド型社会では、上位の者が、より大きな権力を持ちます。
つまりこの世は、一握りの「情報、資金、暴力」を支配した者によって、支配されることになります。
そしてそうした社会構造にあっては、下の者たちは、上の階層の者たちのために働く、ただの働き蜂となります。
以前にも書きましたが、世の中はすべて「ないものねだり」です。
民主主義を理想とする社会は、実は少数の大金持ちに支配されていて、多くの民衆は隷属させられています。
支配と被支配の関係ですから、そこに民主主義はありません。
ないから「欲しがる」のです。
同様に、自由主義を理想とする社会に自由はないし、共産主義を理想とする社会に、平等な共産は存在しません。
ここから、支配する側にとっては、いかに主義の内容を「あるかのように、みせかけるか」が課題になります。
こうして世の中は、虚飾に満ちた世の中になっていきます。
日本がやや特殊だったのは、日本が災害が多発する国土を持つ国であったことによります。
毎年台風はやってくるし、干ばつや大雪、大雨、地震に津波に雷に火山の爆発と、これでもかというほど、日本には天然の災害が襲いかかります。
権力者、支配者を気取ってみても、天然の災害は、誰に対しても平等に襲いかかります。
災害を克服するためには、誰もが「みんなの幸せが我が身の幸せ」と考え、災害時のための食料備蓄をみんなで行ない、さらに地域を超えた災害救助体制を整え、また共同して復興を営み、さらにいつ災害がやってきても良いように備え万端怠りないように日頃から準備することが必要になります。
すると権力というのは、単に「役割」であって、支配者ではない、という思考が生まれます。
日本人は、いつだって「一寸の虫にも五分の魂」なのです。
そこから日本人は、「役割」を果たすために必要なことを「情報、資金、暴力」ではなく、
「共同、協調、智慧、人柄、合意の形成」に求めるようになりました。
そしてそのためには、いざというとき「この指とまれ」という中心核が必要になります。
これが、中心核としての「権威」です。
やっかいなのは、英語の「オーソリティ(authority)」を「権威」と翻訳してしまっていることです。
これは幕末に英語の「オーソリティ(authority)」は、「主」である神(GOD)は「何でもできる存在」という意味を持ちます。
けれど日本語の「権威」には「GOD」の意味は含まれませんから、英語の語彙にある「なんでもできます」という意味が含まれません。
ですから日本人に向けて、「天皇は国家最高権威です」と説明することは、それはそれでご納得いただくことができるのですが、英語圏の人たちに「天皇は国家最高のオーソリティです」と説明すると、要らぬ誤解を生むことになります。
なぜなら聞いた外国人は、「天皇は何でもできる人なの?じゃあオリンピックで優勝狙えるね」となってしまうのです。
「オーソリティ(authority)」の意味が違うのです。
同様に、日本の天皇を「エンペラー(Emperor)」と訳すのも間違いです。
エンペラーの語源は、ラテン語の「imperator(インペラトル)」で、「命令権を持つ者」という意味です。
古代ローマでは、大将軍という意味です。
なぜなら「インペリウム」はなら、日本語に訳せば「命令権」だからです。
各国の王に命令権を持つ大将軍がエンペラーなのです。
英語の将軍は「ジェネラル(General)」ですが、これは一定の範囲に命令権を持つ者という意味で使われます。
軍の中のジェネラルは、軍の中では命令権を持ちますが、それ以外の一般社会での命令権は持ちません。
これを持つのが「王(KING)」であり、その「KING」の中の大キングが「エンペラー」です。
ですから、エンペラーは、いわば「主のもとにあって、王に命令する権限を与えられた者」といった語感になります。
ですから不用意に日本の天皇を「エンペラー」と訳すと、外国人は、
「天皇は権力者なのか!
 世界中の国家を支配しようとしているのか!!」
と、あらぬ誤解をすることになるのです。
さて、権力というものが、情報、財力、暴力の三要素によって構成され、いまの世界がこの三要素を抑えたごく一部の権力者によって支配され、その支配を完成させるために、現在行われているのがグレートリセットであるとするならば、これに対抗する方法はどのようなものと考えたら良いのでしょうか。
実は、情報、財力、暴力の三要素によって構成される権力を押さえる方法は、ただひとつです。
権力よりも上位に、権力でないものを置くのです。
それが、日本語で言うところの「権威」です。
この場合の「権威」とは、英語の「オーソリティ」から「で言うなら、「何でもできる」という意味を引いたものということになります。
言い換えれば、英語にその概念はありません。
日本における、日本語的な意味での国家最高権威は、天皇です。
ただし天皇は、何でもできる存在ではなく、
「権力者を任命し、
 民衆を大御宝とする」
ご存在です。
権力者の任命は、神々の代理人として天皇が親任します。
神が選んだ権力者なのです。
天皇は人ですから、親任した天皇に罷免権はありません。
ただし(ここが重要なのですが)、次の天皇が、次にだれを権力者に親任するかは、次の天皇が決めることです。
明治以降、主に長州閥によって、この部分が変更され、天皇が終身制になりました。
これはいけないことです。
そのようなことをしたら、天皇による権力者の否定ができなくなってしまうからです。
そして天皇は、民衆を「大御宝」とします。
こうすることで、天皇の部下である権力者の最大の仕事は、常に、「民衆が豊かに安全に安心して暮らせるようにすること」になるからです。
これはまさに「究極の民主主義」といえるものです。
日本人が日本的価値観に目覚め、それを正確に、わかりやすく外国に向けて情報発信できるようになったときに、世界は、はじめて権力による支配に「待った」をかけることができるようになります。
これは必ず起きることです。
※この記事は2021年4月の記事のリニューアルです。
日本をかっこよく!
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