| 推譲(すいじょう)は、「稼ぐためにお金を動かす」のではなく、「稼いだものを世のため人のために使う」という経済モデルです。 どちらもお金は動きます。 ただ違いは、前者の場合、お金は、単にお金持ちのお蔵に吸い込まれていきますから、上の人は、どこまでも大金持ちになり、吸われるだけの庶民はいつまでも貧しいままに置かれます。 後者は、お金をみんなが使います。たくさん稼ぐ人はたくさん使うし、そうでない人もそれなりに使います。 要するに年貢米と同じです。年貢米は、通貨が利用期限付きで発行されているようなものです。使っても使わなくても失われてしまうのですから、使わなければもったいない。 |

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小名木善行です。
二宮金次郎は、江戸時代後期の経世家、農政家、思想家で、自ら社会に実績をあげて貢献しただけでなく、「至誠・勤労・分度・推譲」という報徳思想を唱えた人として知られます。
「至誠・勤労・分度・推譲」を簡単にまとめると、
「至誠」
道に沿った心を誠といい、我が心を誠・徳・仁の状態に置くこと。
生きる上での第一となるもの。
「勤労」
至誠に基づいて日常生活を送ること。
至誠が心の状態を指すのに対して、勤労は至誠に基づく行動を指す。
「分度(ぶんど)」
心に至誠を起き、日々勤労に励み、贅沢を慎むこと。
「推譲(すいじょう)」
分度して残った利益を他に譲ること。
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我が国では、長い間、お米が税金であり、給料もお米で支払われていました。
このことをもって、
「お金は政府の信頼に基づくもので
信頼のおけない政府のもとではお金は信頼されない。
だから日本では近代になるまで
信頼される政府がなかったから
お金が普及しなかったのだ」
と述べる学者の先生もおいでになります。
しかし日本では708年の和同開珎の時代から通貨が発行され、秀吉が黄金の小判の発行を開始すると、小判はまたたく間に日本中に普及していきました。
信頼されない政府どころか、日本では古来、政府や行政は、もっとも民衆から信頼されるお役所だったのです。
また、信頼されない政府というなら、いま米国でも英国でも、世界中の先進国では、中央銀行が通貨の発行を行っています。
政府が通貨を発行したら何をしでかすかわらかない(笑)から、機構を別々に分けているのですから、そういう意味からしたらむしろ現代世界の政府のほうが、かつての日本よりはるかに民衆の信頼がないことになります。
また室町後期に日本にやってきた朝鮮通信使は、
「我が国は旅行の度に衣食のための様々なものを持参しなければならないが、日本ではお金というものだけを持っていればどこにでも泊まることができるし食べることにも困らない」と、日本を絶賛した記述をしています。
要するに日本では古い時代から、貨幣経済が見事に実現していたわけです。
ところがそうであるにもかかわらず、ではどうして年貢も俸禄もお金ではなく、お米だったのかというと、これが非常に簡単な理屈です。
つまりお米は、「貯め込むことができない」のです。
お蔵に山積みしていても、何年かしたら傷んでしまいます。
つまり使わなければならないのです。
二宮金次郎の「推譲(すいじょう)」というのは、そういうことをいいます。
つまり、お金は、ただ貯め込むばかりではなく、積極的に世のために使えと、二宮金次郎は述べている。
これがどういうことかというと、一般に、経済というのはお金の流れのことをいいます。
経済が発達するということは、お金が動き、その動くお金の量が増えることをいいいます。
現代社会は西洋の論理を取り入れていますから、お金を稼ぐこと、それを貯め込むことに価値があり、たくさん稼ぎ、たくさん貯め込んだ人が、いわゆるお金持ちです。
そしてお金持ちになることが、庶民の夢とされています。
現代社会は西洋の論理を取り入れていますから、お金を稼ぐこと、それを貯め込むことに価値があり、たくさん稼ぎ、たくさん貯め込んだ人が、いわゆるお金持ちです。
そしてお金持ちになることが、庶民の夢とされています。
一方、二宮金次郎がいう経済の「推譲(すいじょう)」は、働いて稼いだら、その稼いだお金は世のため人のために積極的に使いなさいというものです。
推譲(すいじょう)は、
「稼ぐためにお金を動かす」のではなく、
「稼いだものを世のため人のために使う」
という経済モデルです。
どちらもお金は動きます。
ただ違いは、前者の場合、お金は、単にお金持ちのお蔵に吸い込まれていきますから、上の人は、どこまでも大金持ちになり、吸われるだけの庶民はいつまでも貧しいままに置かれます。
後者は、お金をみんなが使います。
たくさん稼ぐ人はたくさん使うし、そうでない人もそれなりに使います。
要するに年貢米と同じです。
年貢米は、通貨が利用期限付きで発行されているようなものです。
使っても使わなくても失われてしまうのですから、使わなければもったいない。
そうすることで社会にお金が回ります。
生産が増え、お金が増えれば経済規模が拡大し、みんなが豊かになっていきます。
そしてそのお金が公益のために使われれば、社会インフラが整い、国民は豊かさだけではなく、安全と安心を手に入れることができます。
これが二宮金次郎の唱えた報徳思想を経済から捕らえた考え方です。
そんなものは理想論にすぎないと言う人がいるかもしれません。
しかし、これは江戸時代までの年貢米で実際に行われてきたことだし、社会の発展とは、人々の理想に現実を近づけていくことをいいます。
そういう意味では二宮尊徳の「推譲」の思想は、古いけれど、現代の世界において最先端に立つ思想であるということができると思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
歴史を学ぶことでネガティブをポジティブに
小名木善行でした。

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