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 3月6日 小名木善行

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日本と台湾の絆

日本書紀の物語のあらましは、単に日本書紀の表面だけを総花的になぞっても、実は出てきません。深く読み込んでいったときに、なるほど!とわかるものです。
そこで新刊の『ねずさんの日本書紀(仮題)』では、物語を深く読むことと、全体像を把握することという二つのことを同時に実現できる工夫を凝らしています。


20200318 仁徳天皇
画像出所=https://jinja.dr-leather.com/nintokutennnou/
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画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)


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いまのところ4月の出版で、3月下旬先行予約開始の予定で進めさせていただいているのが、新刊の日本書紀です。
本のタイトルは、まだ内緒です。
すごい名前になります。
『日本書紀』を脱稿して思うのは、とにもかくにも、日本書紀がおもしろいということです。
というか、現代日本にまで通じる日本の形というのは、やっぱり日本書紀によって形成されてきたのだなあと、つくづく感じます。
それもそのはずです。
日本書紀は元正天皇に献上された翌年から、すぐに貴族の子女たちの教科書として使われるようになったのです。
そしてこのことは、全国の豪族たちの教育につながり、さらに一般庶民の教育にまで発展していきました。
つまり日本書紀こそが、実は日本を形作る基礎となった書なのです。
世に出てからの日本書紀は、師匠が一行づつ、漢字で書かれた文章を和訳して生徒たちに話して聞かせ、生徒たちはそこから自分自身が当事者となって、そこから様々な事柄を学んだといわれています。
つまり、日本書紀は、ただ書かれていることを丸暗記するのではなく、そこから感じること、考えることが教育の柱とされました。
そしてこれこそが、実は、我が国の独特の教育スタイルとなりました。
とにもかくにも、日本の形の原点は、日本書紀にあり、です。
しかも、千年以上にわたって、我が国で正規の教科書として用いられ続けてきた書です。
それだけに、内容が実に論理的だし、筋道が通っているし、おもしろい。
たとえば有名なところで、仁徳天皇のお話があります。
仁徳天皇といえば、民のカマドの煙の逸話で有名ですが、これは日本書紀におさめられています。
ところがその仁徳天皇、天皇にご即位されたときの評判は必ずしも良くなかったのです。
なぜかというと、いまでもそうですが、天皇の御即位となると、恩赦といって、罪人の罪が一等軽くなったりします。
でもそれって、メリットを受けることができるのは罪人たちだけなのでしょうか。
そうではないのです。
古代において、天皇が御即位されるたびに、遷都が行われたことは皆様よくご存知の通りです。
実はこの遷都が、いまでいう公共工事のようなもので、農閑期に公共工事のために農家の旦那が働きに出ると、当時はまだ貨幣経済はありませんから、代わりに一週間働いたら絹一反とかの報酬をもらえたのです。
すると、いつも麻の服しか着ていないウチの女房や娘たちに、絹の着物のひとつやふたつを作ってやることができる。
これはとっても誇らしくて嬉しいことです。
つまり遷都は、民衆への富の還元の意味があったのです。
ところが仁徳天皇は、この遷都を行わない。

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当時の気分としては、
「なんだよ、今度の新天皇は、ケチな天皇だなあ」
などと陰口されてしまうわけです。
ところがこの時期、実際には凶作続きで、農家に余裕がない。
そこで、「民のカマドの煙」の話になるわけです。
貧(ひん)すれば鈍(どん)するで、はじめのうちは民衆は、自分の生活(食べていくこと)に追われていますから、まるでありがたみを感じない。
そこへもってきて遷都の公共工事もないから、不満もあるわけです。
ところが仁徳天皇は、向こう三年間の税を免除したのみならず、さらに三年免除期間を延長されました。
幸いなことに、この6年間、豊作が続きます。
民衆の間にもようやく笑顔が戻ってくるし、生活にゆとりがでるようにもなっていきます。
でも、それだけではないのです。
実は、この6年間の税の免除によって、民衆の中に、2年分の食料の備蓄が生まれるのです。
計算してみたらわかりますが、備蓄ゼロからはじめて、2年分のお米の備蓄ができるまでには6年かかるのです。
そしてその後に仁徳天皇は、朝廷の空になったお蔵にも、食料の備蓄を開始されます。
2年の備蓄というのは、これはいまの人たちには、解説を加えないと、理由がわからないことです。
そもそも天然の災害が多発する日本において、いざというときの食料の備蓄がどれだけ大切なものかは、自給自足経済を前提に考えたら、すぐにご理解いただけることと思います。
そして冷蔵庫がなかった時代において、常温で2年以上の備蓄に耐える食料は、お米しかありません。
ですから我が国では、ほんの近年まで、もっと詳しくいうと昭和40年代(1970年頃)まで、新米は食べるものではありませんでした。
新米と、去年のお米である古米は、災害などのいざというときのためにとっておくべきもので、食べてはいけないものとされていたのです。
食べるのは古々米から。
つまり、二年分の収穫高は、いざというときのために備蓄したわけです。
仁徳天皇の、都合6年の非課税措置は、逆にいえば、民衆の間で空なった米蔵が、ちゃんと2年分の食料備蓄ができるようになるまでの期間だったのです。
そして民衆の間に食料の備蓄ができ、朝廷のお蔵にも備蓄食料が、たっぷりと整えられた後に、仁徳天皇が始められたのが、大阪から堺にかけての広大な湿地帯の埋め立て工事です。
そのために、奈良に秩父湖という、日本最初のダム湖なども建設しています。
これによって広大な農地が拓け、我が国は食料が大増産になります。
これは古代においては、超好景気と高度経済成長が、いちどにやってきたようなものです。
またたく間に日本は大金持ちの国となり、”東洋における最大の超大国”になっていくのです。
すると世界中の国々から様々な人たちが日本にやってくるようになりました。
このことは儲かっている企業や、上手にできている教育現場に、いろいろな人が視察に行くのと同じです。
成功している日本に、世界中から、その秘訣を学びに人が集まってくるのです。
そして来てみれば、人々の人柄が良い。
食料も豊富で豊か。
日本は、世界の国々から、まさに東洋の楽園とみなされるようになります。
そしてなんと魏蜀呉の三国志で有名な呉の国まで、日本に朝貢しにくるようになりました。
憧れの国となった日本には、さまざまな外国人が住み着くようになりました。
けれどそれは良いことばかりではありませんでした。
争いを好まず、武器を持たない日本人に対し、外国からやってきた人たちのなかには、武器さえあれば何をやっても良いと犯罪に走る者もたくさんいたのです。
こうして、武器があれば、強ければ、何をやっても良いという気風が、仁徳天皇が崩御された後の日本に蔓延します。
そしてついには、御皇族のなかでさえも、武力によって地位が簒奪されるという悪しき風習が生まれてしまうのです。
このことを憂慮されたのが雄略天皇で、雄略天皇は、自ら「大悪天皇」と呼ばれながらも、次々と悪を蹴散らして行かれるのです。
それは、ときに間違って、まともな人を間違えて誅殺してしまうということまで行われましたけれど、これによって日本はきわめて短期間のうちに、治安を取り戻すのです。
そして雄略天皇が、なぜ自ら大悪天皇と呼ばれる道を選んだのか。
そのことが、雄略天皇の最期のときの遺言で明らかにされます。
それが、「すべてはおほみたからためであった」です。
この雄略天皇のご遺言は、ほんとうに感動的です。
現代語訳しながら、何度も涙がでてきてしまいました。
こうした物語のあらましは、単に日本書紀の表面だけを総花的になぞっても、実は出てきません。
もともと漢語で書かれたものなのですから、ひとつひとつの使われている漢字の意味も含めて、しっかりと、深く読み込んでいったときに、はじめてわかるものです。
そして、このことを理解しなかったら、日本書紀を読んだことに、実はならない。
だからこそ、昔は師匠が、一語ごとに和訳し、解説をしていったのです。
ただ「漢字で書いてあるから」ではないのです。
こうしたことを踏まえて、新刊の『日本書紀』では、物語を深く読むことと、全体像を把握することという二つのことを同時に実現できる工夫を凝らしました。
「はじめに」に書いた一文です。
****
日本書紀は、我が国の国柄や我が国国民のアイデンティティの基礎となった書ということができます。
いまを生きる私たちは、私たち自身がいかに生きるかだけでなく、未来を生きる子や孫や、その後も続く命(いのち)のためにより良い未来を築いていく責任があります。
その未来は、いきなり降って湧(わ)くものではなく、常に、過去と現在の延長線上にあるものです。
より良く現在を生き、より良い未来を築くために、私たちの祖先が、どのような国家を目指してきたのかを学ぶことには、大きな意義があるものと思います。
第一章 よろこびあふれる楽しい国を目指して〜神々の時代
第二章 稲作と産業育成、そして自立自存〜葦原中国(あしはらのなかつくに)の時代
第三章 民衆こそが国の宝〜日本建国の時代
第四章 危機をチャンスに!〜日本形成の時代
【特別掲載】声に出して読みたい十七条憲法《全文と解釈》
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いかがでしょうか。
私は、日本書紀をあらためて書かせていただいて、これこそが生涯のこの一書、という気がしています。
乞うご期待です!!
お読みいただき、ありがとうございました。

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2020/6/20(土)13:30〜第73回倭塾(於:富岡八幡宮婚儀殿)
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