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| 「感動したのは歌を通じて語られる日本の姿にありました。」 |

画像出所=https://www.machirakurashi.com/feature/vol65/
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)
長いこと連絡をとりあっていなかったある友人からお電話をいただきました。
彼は、学生時代国文を専攻し、卒論も万葉集であったのだそうです。
その彼が、ねずさんが万葉集の本を出したということで、さっそく買って読まれたのだそうです。
それで電話をくださいました。
開口一番、
「いままで出たどの本よりも、
もっとも美しく万葉集の歌を解釈した本で
とても感動した」と言われました。
とてもうれしく思いました。
読む前までは、万葉集の本など世にたくさんあるし、自分でもかなりの本を読んでいるし書いてもいるので、せいぜいその内容は「屋上屋を架す」ようなものであろうくらいに思っていたのだそうです。
けれどあいつの本だからと、とりあえずは読んでみようと購入し、一読して、従来あった解釈とは、まったく異なる目線で、本当に万葉集の歌の素晴らしさを再現した本だと感じた。
また、歌を通じて語られる日本の姿にとても感動したと言っていました。
まさに著者冥利に尽きた瞬間でした。
「どうしてこんなことができたの?」
と聞かれました。
どうしてもこうしても、原文に書かれていることを忠実に再現しただけですとお答えしたのですが、もしかすると視点の違いがあったかもしれません。

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視点の違いというのは、古代の人はオクレた存在だ、オクレた知識しか持ち合わせていなかったのだ、という先入観で万葉集を読むのか、同じ日本人としての血のつながったご祖先の偉大な功績として、尊敬の気持ちを持って読むのかの違いです。
どんな先生に従ったとしても、どんな古典や現代文学に接したとしても、それらはすべて人のすることですから、100%正しいということはないです。
ですからその正しくないところをとりあげて、「そこは正しくない、ここは間違っている」などとばかり主張したとしても、その「正しくない、間違っている」と感じた側が、実は間違っているのかもしれない。
それならばむしろ、万にひとつでも良いから、そこから良いところをありがたく吸収させていただくほうが、よほど建設的です。
我が国の古典文学について、ご専門に研究されている先生方の中にも、自分の読み込みの浅さを棚に上げて、批判を先行させる方もおいでになります。
たいへんに残念なことだと思います。
尊敬と敬意を失い、上から目線でものを見るということは、実は、幼稚園児が大学生を上から目線で見るようなものです。
1+1の整数の足し算程度の知識では、微分積分がわからない。
あるいは知識があっても、目が曇っていたら真実は見えない。
そして感動する心がなければ、美しさが見えない。
本にも書きましたが、古語では「をかし」と「おもしろし」は区別して用いられていました。
吉本漫才のような瞬間芸を見て「あはは」と笑うようなものが「をかし」です。
悲しい映画を観たあとでも、「今日の映画おもしろかったねえ」というときに用いられるのが「おもしろし」です。
後者は感動をあらわします。
最近では、日本人のような顔をして日本語を話す日本人でない人が増え、そういう人たちがメディアを牛耳っているために、日本語の表現がかなり不自然なものになっています。
単語がまったく異なる使われ方をするのです。
そしてその異なる使われ方の視点で、我が国の古典を読んだら、それは違った解釈になって当然です。
たとえば「子供達(こどもたち)」という表現があります。
「供」は複数を表す接尾語で、「達(たち)」もまた数を表す接尾語です。
これでは「子たち、たち」と言っているようなものです。
正解は「子たち」あるいは、単に「子供」で良い。
加えて近年では、批判をすることが正しいことであるような錯覚があります。
けれどもそのことが結果として1+1しかわからない幼稚園児が微分積分を解いている高校生を批判するような不自然さを招いています。
『万葉集』は、目下の危機をあおるものではありません。
ですが、重要なことを私達に教えてくれます。
たとえば世の中には、
緊急のこととそうでないこと、
重要なこととそうでないこと
があります。
下の図です。

出典:https://innovarth.co.jp/mind/dai2.html
ネットでも、目下の時事問題が人気です。
それは「緊急かつ重要なこと」だからです。
しかし大事なことは、そうした目先の問題に振り回されるのではなく、本来もっとも大切なことを、しっかりと伸ばしていく(図でいえば第二象限を膨らませていく)ことであろうと思います。
そしてそのために、日本とは何か、取り戻すべき日本の形とは何かを『万葉集』を通じて学んでいく。
そこに日本再生のヒントがあるように私は思います。
『ねずさんの奇跡の国 日本がわかる万葉集』
お読みいただき、ありがとうございました。

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