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日本の歴史は、天皇のもと、すべての階層がひとつになって、自然災害から人々を守り、誰もが安全に安心して暮らせるようにしていくことができる国つくりを求めてきた歴史を持ちます。
これを、共産主義的階級闘争史観に無理やり当てはめようとしても、まともな解釈などできるはずもありません。
そして私達が日本の歴史を学ぶことは、とりもなおさず万古不易の日本の価値観を学び、将来に活かすことになるのです。この一点を抜きにして、歴史を語ることは、まさに画竜点睛を欠くのです。

20190228 知行地

(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています。
画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)

江戸時代の武士は、領地のことを「知行地(ちぎょうち)」と呼びました。
幕府や諸藩に所属する武士たちの俸禄(ほうろく、お給料のこと)は、大きく分けると、
藩主から知行地を与えられる「給足(きゅうそく)」と、
お米や金銭などを現物支給される「無足(むそく)」
とに分かれていました。
「給足」というのは、上と下を結び合わせて増やすという熟語で、要するにお上(かみ)としての武士と、領地に住む農民等の人々が互いに協力しあって財産や子孫を増やすことを意味します。
これを具体的に行う場所が「知行地」です。
「知行地」は、一般に音読みして「チギョウチ」と読みますが、訓読みすれば「知(し)らすを行う地」です。
「知」という字は、古事記の時代から、これを「しらす」と読みます。
古事記を学ぶとわかりますが、「知(し)らす」というのは、神々とつながり万民を「おほみたから」とするという意味を持つ言葉です。
具体的には、神々の直系のお血筋にあられる天皇が、国家の最高権威として万民を「おほみたから」とする。
そうすることで、人々は、権力者の私的な所有物(隷民)ではなく、権力者も、その下にある被権力者も、等しく天皇の「おほみたから」となります。
権力者が権力をふるう相手は、自分に権力を与えてくれている天皇の「たから」です。
そうであれば権力者の使命は、どこまでも民衆を慈(いつく)しみ、大切に育み、誰もが豊かに安全に安心して暮らせるようにしていくとになります。
これが「知らす」であり、武士や貴族がその「知らす」を行うことに責任を持つ土地が「知行地」です。

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ちなみに日本語は「一字一音一義」とされ、一音ごとに深い意味があるとされる言葉です。
そこで古代文字とされるカタカムナでこの「しらす」を解釈すると、
「し」=示す
「ら」=場
「す」=ひとつの方向へ進む
を意味し、つながると「ひとつの方向を示す場」という意味になります。
その方向が、万民の幸せです。
万民は、創生の神々が胎内に取り入れた神々の胎児(これを隱身といいます)ですから、胎児の幸せ、つまり万民の幸せが神々の幸せです。
そのために武士は(貴族も同じ)、お百姓(ひゃくしょう)さんから年貢を取ります。
この「百姓」という言葉は、近年では「差別用語」とされ、使ってはいけない言葉とされているのだそうですが、日本の文化を理解することができない半島系の狭い考え方の曲学者(きょくがくしゃ、曲がったりゆがんだりした考え方の学者)の妄想でしかありません。
「文武百官」という言葉がありますが、「百」というのは「数えきれないくらいにたくさんの」という意味を持つ言葉です。
そして我が国の人々の名字は、Chinaや半島人と異なり、田中、高橋、鈴木、斎藤など、ほとんどが漢字二字によって形成されていますが、これらの姓は、大化の改新の公地公民の戸籍つくりのときに、天子様(天皇のこと)から「地名や姓氏は、漢字二文字で記すこと」と御触れされたことによります。
こうして登記された姓は、天子様によって承認されたわけで、それらの姓を持つものは「天子様のおほみたから」ですから、全国にたくさんある姓は、天子様の民であることを示す姓ということになります。
つまり「百姓」という言葉は「天子様のおほみたから」であることを示す誇りある言葉であったのです。
その「おほみたから」である百姓が作った作物を、年貢として取り立てます。
お百姓さんは、お米だけではなくて、野菜も作りますが、税として収めるのはお米だけです。
なぜお米なのかというと、お米は備蓄ができるからです。
武士は「給足」のお殿様であっても、「無足」の俸禄取りの下級武士であっても、年貢として収めてもらったばかりの新米を食べることはできません。
年貢米は2年間備蓄され、これを「お蔵米(くらまい)」と呼びました。
そして3年経った古古米から、取り崩して俸禄や食事に用いられました。
なぜ2年分のお米を備蓄するのかの理由は明確です。
日本は、災害が多い国だからです。
地震、津波、水害などの自然災害や、そうした災害等によって発生する凶作時に、お蔵米を放出することで知行地の住民たちの命を守ったのです。
最大の問題は、そうした災害対策用の備蓄米が、江戸時代の初期の検地で確定した石高に応じて年貢として徴収されたことで、その後に新田が次々に開発され、人口も大幅に増えたわけです。
つまり災害時に必要となる米の量が、圧倒的に増えたわけで、ところが年貢米は一定のままであるわけです。
年貢を上げる、つまり増税は誰もが嫌がる。
ところが災害が発生したときに、それでは備蓄米が足りないわけです。
おかげで、災害や凶作の都度、大名たちは大阪商人に頭を下げて、米を借りることになったわけで、このため全国のほとんどの大名が、江戸中期以降は借金まみれになってしまいました。
逆に庶民の側、つまり年貢を納める側から見ると、年貢は、ただ税として収めるだけでなく、万一の災害時に自分たちの命を守る、いわば災害保険のような機能があったわけです。
ですから江戸時代から、その伝統が続いた昭和初期まで、納税期日にきちんと納税を行わない人は、ほぼ皆無であったといわれています。
こうした「知らすを行う地」としての知行のあり方は、実ははるか古代から続く日本の伝統です。
もともと米の備蓄は、神社がこれを担っていました。
ですから神社は、全国どこでも高床式です。
そして収穫の時期には、米や酒などの奉納が氏子さんたちから行われます。
神社が、いまのように、地元から独立した宗教法人となったのは、実は戦後のことでしかありません。
終戦までは、神社は地域の人々の共有財産でした。
その共有財産である神社に、大昔は、お米を備蓄していたのです。
ですから古い神社では、いまでもこの伝統が残っていて、2年分、奉納米が備蓄されています。
神社は、収穫期に地域のお米を預かり、保存し、次の田植えの際の苗の栽培をして、その苗を近隣の農家に配っていました。
また災害時には、神社が蓄えているお米を放出し、それでも足りなければ、親元にあたる一宮などに協力を要請して、なんとか地域の人たちが飢えることがないようにしていました。
これが崩れたのが、行基(ぎょうき)によって、仏教が民間に普及するようになってからで、仏教に帰依した庶民が神社へのお米の奉納を拒んだりするようになったことから、凶作や災害時に食料の備蓄がなくなり、世の中が混乱しはじめました。
これを新田の開墾百姓であった新興武士たちが、神社に代わってお米の備蓄をするようになったのが平安時代後期で、その後、武家政権が誕生することで、武士たちが知行地への責任を果たしていくようになったわけです。
日本の歴史は、天皇のもと、すべての階層がひとつになって、自然災害から人々を守り、誰もが安全に安心して暮らせるようにしていくことができる国つくりを求めてきた歴史を持ちます。
これを、共産主義的階級闘争史観に無理やり当てはめようとしても、まともな解釈などできるはずもありません。
そして私達が日本の歴史を学ぶことは、とりもなおさず万古不易の日本の価値観を学び、将来に活かすことになるのです。この一点を抜きにして、歴史を語ることは、まさに画竜点睛を欠くのです。
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03-02 見立てると成り成りて
03-03 ヒルコをめぐる三つの意味とは
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