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画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)
日進月歩のことを、別な言葉で「日々是新(ひびこれあらた)」と言います。
Chinaの『三国志演義』には、
「男子、三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ」
という言葉があり、これはいまではすっかり日本語の慣用句になっていますが、もともとは、
「士別れて三日、即ち更に刮目して相待すべし」
という記述から生まれている慣用句のようです。
要するに、日々成長だということです。
ですから自信をもって世に出した自説であっても、それを世に出した時点で、そこが新たな出発点になります。
そこから出発して、さらに奥深くに研究を重ねていくのです。
すると、もっと深い事実がわかったりします。
そうなれば、過去の自説は、捨てざるを得ない。
はじめから全部わかっている人などいないのです。
みんな誰もが、わからないことを、いま、一生懸命知ろうとし、すこしでも成長しようとしています。
およそ学問に、これで完成、などというものはないのです。
クルマのデザインと同じです。
昔、ハコスカと呼ばれたクルマがありました。
当時はもう、ため息が出るほどかっこいいと思ったものです。
けれどいま見れば、やはりかなりデザインが古い。
おそらくいま、これが完成形だろう、これ以上かっこいいクルマなんて、きっと出ないに違いないと信じているクルマでも、あと30年もしたら、もう古臭いデザインのクルマでしかなくなっているかもしれません。
学問も同じです。
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とりわけ日本文化に関わる学問は、学べば学ぶほど、どんどん深い底があらわれてきます。
金田一君の「ナゾはすべて解けた!」なんてないのです。
すべて解けたと思ったところが新たな出発点となって、そこからさらに深掘りができる。
これが日本文化の底知れない魅力です。
日本文化は、間口が広くて奥行きが深いのです。
お茶を飲むだけなら、離乳のはじまった赤ちゃんにだってできます。
けれど茶道を極めようとすれば、一生かかっても追いつかない。
剣術などの武道に至っては、剣聖の域に達することができるのは、何百年にひとり、あるかないかです。
このことは、古典文学になると、さらに一層はげしいものとなります。
とにかく奥行きが深い。
それもそのはずです。
人類が猿と違って言語を発達させてきたのは、集団の規模が大きくなったからなのだそうです。
だいたい50頭未満の集団だと、「ウッキー」とか「キーキー」で意思疎通ができてしまうのです。
ところが百人くらいの集団になると、集団を維持するために男たちが何日も狩りに出かけるようになります。
そのと村に残された女性たちにとって、一番のきがかりが旦那の浮気なのだそうで、そのために井戸端会議の情報交換が進み、結果、複雑な情報交換のための言語が生まれたのだそうです。
おかげで現代社会にあっても、女性の方が言語能力に長けていて、口喧嘩で男性は、まず女性に勝つことができません。
さらに集団の規模が150人を越えるようになると、どうして自分たちが集団をなしているかというアイデンティティの共有が必要になるのだそうです。
これがつまり、神話のはじまりです。
集団の規模がこのレベルに達すると、集団の内部で職業的分業が行われるようになる・・・ニワトリが先が卵が先かみたいな議論ですが、逆の言い方をすると、職業的分業を行うためには、食料を得る人、食事を作る人、食料を得るための道具を作る人などのような社会的分業を行うためには、集団の規模が150人以上にならないといけないのだそうです。
こうして自然石を利用するだけだった人類が、人の手によって使いやすいように加工した磨製石器を用いるようになります。
つまり、磨製石器の登場と、神話の登場は、ほぼ時期をひとつにするといわれています。
その磨製石器の登場は、西洋ではおよそ8千年前のことであったとされています。
ですから西洋の神話は、だいたい8千年の歴史があるわけです。
ところが日本における磨製石器の登場は、なんと3万年前にさかのぼります。
つまり日本神話は、3万年という途方もない歳月を生き延びてきた、様々な知恵が込められているのです。
言い換えれば、日本神話を研究する、学ぶということは、日本人3万年の歴史の知恵を学ぶことになります。
しかもその多くが、いまや断片になっている。
その断片を、まるで数万ピースのジグソーパズルを作り上げるように、調べ上げ、その知恵を学んでいく。
人の一生なんて、しょせん、7〜80年です。
その短い一生の中で、どこまで神話を深掘りしていくことができるか。
そのように考えれば、一度示した自説にこだわり、それ以外に目をそむけることは、実にもったいないことです。
日々是新(ひびこれあらた)に。
毎日が研鑽の積み重ねです。
そして、それはとっても面白くて楽しいことです。
お読みいただき、ありがとうございました。

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