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なずな
20180130 なずな
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画像は単なるイメージで本編とは関係のないものです。)

ナズナは、旧仮名遣いでは「なづな」と書きました。
 古畑や
 薺(なづな)摘み行(ゆ)く
 男ども

と詠んだのは松尾芭蕉ですが、もともとナズナは食用草です。
だから「な(菜)」で、夏には枯れてなくなる”な(菜)”だから「なつな(夏菜)」という説もありますが、どちらかというと、次々と小さな花を咲かせるので、「撫でたいほど可愛い食用菜」だから「撫づ菜」と呼ばれるようになったという説の方が、なんとなくそれらしい気もします。
漢字の「薺」は、ナズナの花部の象形文字です。
芭蕉の句には、他に、
 よく見れば
 なずな花咲く
 垣根かな

という句があります。


ナズナは、ともて地味な花です。
けっして、大輪の美しい花ではありませんし、ペンペン草と呼ばれるくらい、どこでも生える草です。
けれどそのナズナは、実はビタミンやミネラルが豊富で、人々に豊かな栄養を届けてくれます。
決して目立つ花ではないから「よく見れば」です。
そして家の垣根という身近にあります。
目立たないけれど、地味かもしれないけれど、いつもそばにいて私たちを支えてくれる。
人の上に立つことばかり、上か下かとそればかりな人たちには、まるで意中にないかもしれない。
けれど、そのナズナのおかげで、私たちは生かされています。
そういうことをしっかりと踏まえるのが、日本文化です。
戦時中、大量の食料を戦いのために外地に送らなければならなかった日本では、食料が売買ではなく配給制になりました。
けれどその配給も、だんだん量が減りました。
ごくわずかな配給食料では、生きていく栄養が足りません。
そんな折、内地にいる母たちは垣根に生えているナズナなどの雑草をご飯に混ぜたり、水炊きにして、なんとか子供たちの栄養を維持してくれました。
空襲で、多くの命が失われました。
けれど、ふと目をやると、道端にまたナズナが可愛らしい花を咲かせてくれました。
どんなに頼もしく思えたことでしょう。
ナズナだけではないけれど、そのおかげで命がつながり、いまの私たちの命があります。
ナズナの花言葉は、
 あなたに私のすべてを捧げます。
 (I offer you my all.)
です。
あたりまえに思っているようなことが、実は全然あたりまえではなくて、本当はとっても大切な、貴重な、最も愛すべきことなのです。
それはとても大事なことです。
そして日本人の持つ文化の根幹だと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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