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20151129 vitamin_th

生物の生存に必要な栄養素には、有機物と無機物があります。
無機物の代表がミネラルです。
有機物の代表が炭水化物・タンパク質・脂質で、これ以外の有機化合物を総称したものが「ビタミン」で、現在、ヒトに必要なビタミンとしては13種類が認められています。
ビタミンという名称は、ポーランドの生化学者であるカシミール・フンクが命名です。
フンクといえば、15人の子持ちの絶倫家としても有名ですが、それはまた別のお話。
彼は脚気(かっけ)の原因を研究し、明治44(1911)年に、米ぬかに含まれる化学物質が欠乏すると脚気が起こることを発見します。
そしてその物質には、アミンの性質があることから、それに「生命に必要なアミン」という意味で「ビタミン(vitamine)」という名称をつけています。


ちなみに脚気というのは、古来人類をたいへんに悩ませた病気でした。
手足のしびれから始まり、全身の虚脱感、倦怠感が起き、足のつま先さえ上げられなくなります。
だから、つまずいて転びやすくなり、さらに動悸、息切れ、低血圧、むくみ、頻脈、食欲不振、吐き気が起こり、これがさらに進行すると歩行困難に陥って、最終的には心不全で死に至ります。
主に都市部での生活者や、軍隊などにこの症状が出ることが多く、日本でも江戸時代には江戸の風土病の一種と考えられていて、「江戸患い」とも呼ばれていました。
また奈良、平安時代の都でも、貴族たちなどの病気として猛威をふるったりしています。
なぜ都市部に多かったのかというと、たとえば日本なら、都市部では糠を削ぎ落とした白米を主食にしたからです。
一方、蕎麦はビタミンを豊富に含みますので、蕎麦好きの江戸っ子は脚気になりにくい。
農村部では、雑穀米や玄米を食べましたが、江戸ではこれをぬか漬けや蕎麦で補っていたわけです。
庶民の生活の知恵というのは、すごいものです。
さて、フンクが発見したビタミンが、実はいまでいうビタミンB1だったのですが、ところが実際には、フンクが発見する1年前の明治43(1910)年6月14日に、鈴木梅太郎が同じく米ぬかからビタミンB1の抽出に成功し、その論文を発表しています。
この論文は、「白米の食品としての価値並に動物の脚気様疾病に関する研究」という名称で、
1 ニワトリとハトを白米で飼育すると脚気様の症状がでて死ぬ
2 糠と麦と玄米には脚気を予防して快復させる成分がある
3 白米にはいろいろな成分が欠乏している
という内容です。
さらに鈴木梅太郎は、同年12月13日には、「糠中の一有効成分について」を発表し、糠に含まれる有効成分にオリザニンとという名称を付けています。
日本語で発表されたこの論文は、翌年にはドイツ語に翻訳されて世界の研究者に紹介されるのですが、このとき、「オリザニンは新しく発見された栄養素である」という一行が、なぜか翻訳されなかったのです。
理由はわかりません。
ただ、当時の世界は、まだまだ人種差別全盛の時代だったこと、日本人は欧米人たちからみて、黄色い猿でしかなかったことなどから、有色人種ごときに新しい発見などできる筈がない、とされたのかもしれません。
このため鈴木梅太郎の研究は、世界の学者達から注目されることなく埋もれ、翌年フンクが米ぬかから抽出した同じ物質に「ビタミン」と名付け、それが世界初の発見とされ、結果としていまでもビタミンという名称が世界に普及しています。
ちなみに、その鈴木梅太郎、大正7(1918)年には合成酒の商品化に成功しています。
合成酒というのは、それまで世界になかったものです。
要するに発酵させてお酒を作るのではなく、アルコールにアミノ酸などを加えてお酒みたいにしたのが合成酒ですが、これはボクなどのような庶民にはたいへん重宝なお酒です。
おもしろいのは鈴木梅太郎の、合成酒の開発動機です。
第一次大戦のあとの戦勝景気のあとに襲った不況と米不足の中にあって、食糧難時代でもお酒が飲みたい!という庶民の渇望に、彼は自分の知識経験をなんとか活かそうとしたというのです。
要するに、みんなのために自分ができること、を追求した結果が、合成酒だったわけです。
鈴木梅太郎にとって、オリザニン(ビタミンB1)の発見も同じ動機です。
脚気や壊血病に悩む多くの人々を、なんとかして救いたい。多くの人々に貢献したいという、心が、彼の研究への情熱となっています。
自分のため、自分の欲望のための研究ではなく、社会公共のためにいかに貢献するか、真心を捧げるか、その思いが世界に名を馳す大偉業を実現したのです。
江戸時代の日本が、たいへんに争いの少ない日本だったこと、明治大正昭和初期、いわゆる近代の日本が、さまざまな分野でたいへんな偉業を遂げた人物を輩出したこと、あるいは戦後の日本が目覚ましい高度成長経済を遂げたこと。
こうしたことを、すごい!と評価する人と、あたりまえのように思う人がいます。
なかには少し前までの日本を、いわゆる収奪社会であり暗い社会だったと規定して、素晴らしい日本などどこにもなかったことにしようというすさまじい人たちも国内にいるようです。
ただひとついえることは、戦前の、たとえば東南アジア諸国をみれば、そのほとんどは欧米の植民地でした。
国ごとまとめて支配され、民衆は人として扱われない、そんな情況でした。
その東南アジア諸国は、戦後、それぞれに独立を果たしました。
けれども、そのほとんどが、戦後、軍事政権下におかれたり、事実上の社会主義化したり、あるいは共産主義化したり、あるいはいまだに、国内で爆弾テロが頻発する不安定な政情が続いています。
それはなぜでしょうか。
政府のない国に、新たに政府をつくるのは簡単かもしれません。
一定の人物やグループに資金と武器を提供してあげれば、それぞれが政府を名乗ることができるようになります。
通貨の発行権まで与えれば、完璧かもしれません。
ところが、その政府が国を維持運営しようというとき、民間が育っていなければ、民衆の中には意見は様々ですから、当然にそんな政府に反発する者も出てきます。
とりわけ政治は「線引」ですから、一定のところで政府が線をひけば、それによって不満を持つ人達も出てくるわけです。
これによって何が起きるかといえば、民衆の暴発です。
これは東南アジア諸国に限りません。
フランス革命後のフランス、あるいは独立後のアメリカにおいても、大規模な内戦が起きていますし、アフリカ諸国はいまもその内戦が続いていますし、東亜諸国もきわめて不安定な政情にいまも置かれています。
こうした内乱を政府が鎮圧するためには、結果として政府は軍事政権にならなければならなかったし、あるいは近現代史ならば、共産主義政府による大粛清が起きているわけです。
ところが日本は、明治維新にしても、戦後にしても、明治維新には戊辰戦争や佐賀の乱、西南戦争、あるいは戦後なら60年安保や70年安保、あるいは学生運動や連合赤軍事件などの事件はあったものの、国も政府も国際的にみれば、きわめて安定的といえる情況で推移しています。
日本と、諸外国と何が違ったのか。
その最大の理由は、日本には「天皇」の存在が常にあり、またその天皇によっておおみたからとされる「民」が育っていたという点にあります。
民が、天皇のたからものとされる日本では、政府は常に、その民のためのサポート役です。
戦後もそうですが、たとえば戦後に発達した自動車産業にしても、民間主導であったからこそ成功しています。
政府が主導した自動車会社といえば、国内の小規模な自動車会社を統合して政策的に作った日産がありますが、その日産は、組合活動の巣窟となり、結果、外国人に社長を委ねなければならない会社になってしまっています。
トヨタやホンダ、あるいはソニーやマツシタにしても、政府保護によって成長した企業ではありません。
むしろ、政府の圧力に負けないで頑張った結果として、世界の大企業に成長しています。
政府主導で築いた大きな組織としては、かつての満州国がありますが、いまは跡形も残っていません。
要するに、日本では、「天皇とおおみたから」という大原則のもとに、政府はその民をサポートする。
また、天然災害等があったときに、民衆の難儀を救い、復興をサポートする。
政治や政治が民間のサポートに徹したときに、その分野が成長しています。
政府主導、政治主導ではないのです。
そして民間に発展出来るだけの活力があるからこそ日本は発展してきたし、偉大な先人をも生んできたのです。
いま、政治を変えようという人たちがいます。
政治が変われば日本が変わると思う人達もいます。
では、日本も軍事政権下して、反対派を大粛清すれば、その後の日本は発展するのでしょうか。
私にはそのようなことよりも、日本人が日本人としての根幹である天皇の存在と、天皇あっての民であることを、しっかりと思い出すこと。
それを必要と思える人を増やすことによってのみ、本当の未来の日本の発展があるように思えるのです。
※ この記事を書いたのは、2012年2月の記事のリニューアルです。
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