人気ブログランキング
↑ ↑
応援クリックありがとうございます。
(それぞれの画像はクリックすると当該画像の元ページに飛ぶようにしています)

20150820 あさがお

清少納言というのは、もう、ほんとうにスッキリさわやか、まさに爽快感を持った女性です。
千年前の女性ですけれど、すごい!と思います。
清少納言といえば『枕草子』が有名ですが、その270段に「人の噂」に関するお話があります。
いつものねず式で現代語訳してみます。
*********
【他人の噂】
他の人に、なにかと悪口を言われて腹を立てる人っているけれど、それってワケわかんないわ。
他人の噂なんて、言わずになんていられわけないじゃない。
だって、自分のことは棚にあげて、他人のことをとやかく言んでしょ?
それってすごく楽しいし、言わないとなんだかムズムズしてきちゃうわ。
だけど、良くないことだとも言われるわね。
なぜなら噂って、けっこうその本人の耳に入る。
それで本人に恨まれちゃったりすることもあるでしょ?
恨む側も恨まれる側も、つまらないことだわね。
(原文)
人のうへ言ふを腹立つ人こそいとわりなけれ。いかでか言はではあらん。身をばさしおきて、さばかりもどかしく言はまほしきものやはある。されど、けしからぬやうにもあり。また、おのづから聞きつけて恨みもぞする、あいなし。
(枕草子270段)
*********


清少納言は、とても頭の良い女性でしたし、女性はひらがなが書ければ良いとされた時代に、漢籍にも通じていました。
しかも、女性だけに、男では立場上言えないようなことも、ニッコリ笑いながらポンポンいうし、第66代一条天皇の皇后の定子に仕え(定子はほんとうに美人だったと伝えられています)、しかも定子にものすごく可愛がられていましたから、表立っては誰も清少納言に文句を言えません。
それだけに、陰口を言われたりすることも、きっとあったのだろうと思います。
上に紹介させていただいた段が、そんな自分に対して行われた心ない中傷に対してのものであったのかどうかまでは、わかりませんが、ただ面白いと思うのは、清少納言は、ここで他人のウワサ話を「いかでか言はではあらん(どうして言わないでいられましょう)」と、むしろ積極的に肯定してしまっているところです。
こういうところが、実に清少納言らしいところです。
つまらないウワサ話など歯牙にもかけない。
だから清少納言は、そもそも人はウワサ話をするものなのであって、それは誰もが行う楽しいことなのだから、「そんなことに腹を立てる方がむしろどうかしている」と書いています。
しかも、それで恨みを買うのも、恨むのも、どちらも「つまらない」と書いています。
清少納言は、一条天皇の皇后の定子に仕えているわけで、天皇の信頼も厚く、影響力も大きい。
清少納言を敵にまわしたら、まわした側が哀れなことになるという背景も、もしかするとあったかもしれませんが、昔から言われることに、天に向かってツバをはけば、結局は自分にそれが帰ってくるのです。
最近では、ネットで行う匿名のウワサ話が流行しています。
「2ちゃんねる」などは、まさに、自分のことは棚にあげた、ウワサ話のための巨大掲示板です。
そこには、ありとあらゆるウワサ話が書かれています。
しかも匿名ですから、誰がしているのもわからない。
わからないから、そこには、ありとあらゆることが書き込まれ、なかには無責任な中傷も「個人のお楽しみ」として書き込まれたりしています。
最近では、愛国心に目覚める方が急速に増えてきて、これを政治的意図的に潰そうとする人たちが、悪口を言いふらしたりしているケースも目立ちます。
その中には、愛国者を装った悪魔もいれば、ほんとうの愛国者でありながら、釣られて悪に染まってしまった人もいます。
日本を愛するということは、対立や違いをことさらに煽り立てたり、他人を中傷することではなくて、どこまでも和を求めていくために努力し続けるというこなのだと思っていますが、そうではなくて、保守の中にさえも敵をつくり、対立することを、自己を目立たせるための手立てだと勘違いしている人も散見されるようです。
よく見受けられるのが、「◯◯問題」と称する暴露的な中傷で、「◯◯問題」をでっちあげて「火のないところに煙は立たないから、怪しい」とするウワサをまき散らすものがあります。
実は、これは実に巧妙な工作テクニックです。
なぜなら、「ないことの証明」というのが、実は一番むつかしいことだからです。
これを「悪魔の証明」といいます。
A. お前、悪魔だな?
B. 違いますよ。
A. 嘘付け。じゃあ「悪魔じゃないと言う証拠」を見せてみろ!
B. えぇ……ッ!
A. 悪魔ではないと言う証拠が無いんだから、お前は悪魔に決定だッ!!
B. えぇ……ッ!!
(出典:http://okwave.jp/qa/q5004059.html)
このようなものを「言いがかり」といいますが、このようなものを相手にしてもはじまりません。
まして、趣味が「他人の悪口を吹聴すること」である人たちを相手に、まじめに怒ってもせんないことです。
そのことを清少納言は、なんと千年前に書いています。
「人のうへ言ふを腹立つ人こそいとわりなけれ」です。
清少納言をはじめ、中世の日本文学は、ある意味、世界の最先端を行く精神美学です。
ところが、そうであるがゆえに、その中世の日本文学が、ただの「仕事もしないで男女の仲にうつつをぬかす貴族たちの愚痴話」に、戦後は置き換えられてしまっている節があります。
百人一首もその典型で、歌に込められた様々なメッセージを紐解くことが、まさに「明察功過」で楽しいことなのですけれど、表面上の語句の文法的な解釈だけで、わかったような気になったり、あるいは軽蔑したりされているようです。
皆様には、『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』をオススメします。
平安貴族の凄味がわかります。
人気ブログランキング
↑ ↑
応援クリックありがとうございます。
ねずさんの日本の心で読み解く「百人一首」
 http://goo.gl/WicWUi
「耳で立ち読み、新刊ラジオ」で百人一首が紹介されました。
 http://www.sinkan.jp/radio/popup.html?radio=11782
ねずさんのひとりごとメールマガジン。初月無料
 http://www.mag2.com/m/0001335031.html



【メルマガのお申し込みは↓コチラ↓】
ねずさんのひとりごとメールマガジン有料版
最初の一ヶ月間無料でご購読いただけます。
クリックするとお申し込みページに飛びます
↓  ↓
ねずブロメルマガ

コメントは受け付けていません。