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『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人! 第二巻: 「和」と「結い」の心と対等意識』
■ねずさんの百人一首本は2015年3月発売予定です。
■【CGS ねずさん】第6話 植民地支配に反対した日本

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西洋では、歴史のことを「ヒストリー」と言います。
この言葉は紀元前5世紀の古代ギリシャのヘロドトスが著した歴史書『ヒストリア』に由来します。
ヒストリアというのは、直訳すれば「知っていること」もしくは「私がヒアリングして知ったこと」という意味です。それ自体は「歴史」という意味ではありません。
ところが事実上、これが西洋における最古の「歴史書」となり、これがもとになって西欧における歴史観が形成されました。
歴史は「人々が共有すべき価値観の源泉」です。
つまり西欧における価値観の源泉が、ヘロドトスの『ヒストリア』です。
では『ヒストリア』に何が書かれているかと言うと、
「ギリシャの国々が互いに奪い合ったり戦争しあったりしていたときに、東洋からペルシャの大軍がやって来て、次々とギリシャの小国が滅ぼされた。けれども最後はみんなで協力して強大なペルシャをやっつけた。めでたしめでたし」というストーリーです。
この文のギリシャを「地球」に、東洋を「火星」に、ペルシャを「火星人」に置き換えると、H・G・ウェルズのSF小説『宇宙戦争』になります。
「地球では各国が互いに対立し、戦争に明け暮れていた。そこに強大な軍事力を持つ火星人が攻めて来た。あわや人類滅亡となりかけたとき、勇者があらわれ、みんなで協力して火星人をやっつけた」
『宇宙戦争』は、トム・クルーズ主演で映画化もされていますから、ご存知の方も多いかと思います。
さらにこれを「西欧諸国」、「日本」と置き換えると、
「世界では西欧諸国が互いに植民地を奪い合ったり戦争しあったりしていたときに、東洋から日本の大軍がやって来て、次々と西洋諸国の植民地が滅ぼされた。けれども最後はみんなで協力して強大な日本をやっつけた。めでたしめでたし」
これが現在の国連秩序の源泉です。
日本が何を主張しようが、どこまでも日本は「敵国」であり、古代ギリシャにとってのペルシャです。
映画でも、文化でも、小説でも、ゲームでも、ナチスドイツと日本軍は、どんなに悪逆非道に描いても、どこからも抗議は来ません。
日本やドイツからさえも来ない。その日本やドイツ国内にさえ、自国を悪逆非道国と信じる者たちがいるくらいです。
日本は、ニワトリや古代ペルシャと同じ位置にある。
これが世界の現実です。
ところが、このこと自体に、とんでもない陥穽があります。
どういうことかというと、実は「協同するために常に共通の敵を必要とする」という思想は、諸国の「恐怖の総和」をきっかとしているということです。
「恐怖」がなければ、まとまることができないのです。
「恐怖」を煽らなければ、諸国がまとまれないのです。
そしてその恐怖は、ときどき大きな間違いを起こします。
その典型的な例が、中世ヨーロッパにあった魔女狩りであり、近世の奴隷狩りであり、そして植民地支配であり、第一次、第二次の世界大戦であったわけです。
国連(United Nations)というのは、戦争への反省から、平和のためにできた機構ではありません。
もともと第二次世界大戦を戦った植民地支配国が、みずからの支配する植民地を引っ張りこんで結成した戦争のために結成した連合国(United Nations)が、国連(United Nations)です。両者は同じものです。
ですから国家間の争いがあれば、まずは「話し合いをしよう」という建前ですが、話し合ってだめなら、即、武力行使をしていく、というのが国連(United Nations)です。
ひらたくいえば、話し合いそのものが、どの国を古代ペルシャに見立てるかということにしかなっていないわけです。
これに対して、日本的価値観では「共通の敵」どころか「恐怖」さえも必要としません。
「共通の敵への恐怖」があるから、みんなが協同するのではなくて、民衆こそが「たから」というのが日本的価値観です。
日本的価値観のもとでは、民衆こそが「たから」です。
領主は、その「たから」を守り育むためにこそ存在します。
つまり、「共通の敵がいるからまとまる」のではなくて、
まず「みんながまとまるということに価値観があって、その結果として共通の敵があれば戦う」というのが、日本的価値観です。
順序が西欧とは逆、国連秩序とも正反対なのです。
ではなぜ日本人が「まとまる」ことを大切にするかといえば、誰かが利得を独占するためではなくて、みんながともに豊かに安全に安心して暮らせるようになるためです。
つまり恐怖からではなく、価値観の共有化から出発しているわけです。
価値観の共有から出発してきた日本。
恐怖感の共有から出発した世界。
真の平和を築けるのは、そのどちらなのでしょうか。

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