■第三期日本史検定講座申込受付中
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-2003.html
■ねずさんのひとりごとメールマガジン有料版
http://www.mag2.com/m/0001335031.htm

人気ブログランキング
 ↑ ↑
応援クリックありがとうございます。

カレーライス

先日のことですが、どうにも体調不良というか、元気が出なくて集中力もなくて、熱があるわけでもないのに、おかしいなあと思いつつ、晩ご飯にカレーを食べたら、いきなり元気モリモリになりました(笑)。
いろいろなスパイスの入ったカレーは、いってみれば漢方薬膳食みたいなもので、きっとカラダに良いのでしょうね。
そのカレーですが、もともと生まれたのはインドのタミール地方です。
ちなみにタミールというのは、スリランカ島の対岸あたりの地域で、稲の発祥の地ともいわれています。
前にも書きましたが、古代タミール語と、日本語には、なぜか共通する単語が多く、たとえば稲は、ine です。 姉は ane 、兄は ani 、話すは fanasu などなどです。
おもしろいのがお祓(はら)いをする「祓(はら)う」で、これが「par-avu」、さらに「ya」が太陽で、「moto」が本、なので、「ya-moto」が、太陽の昇る東の方角のもととなり、これを漢字で書くと「日本」、そして読みが「yamato」、なにかつながりがあるのかもしれません。
そのタミール地方で使われていたソースが「kari」で、そのタミール地方を含む全域を英国が支配して英語の「curry」ができました。
日本に最初にこの「curry」を紹介したのが福沢諭吉で、諭吉は安政7(1860)年に「増訂華英通語」という英和辞典を出しているのですが、この辞書の「curry」に、「コルリ」とカタカナが付されています。
その「コルリ」を実際に食べて評釈を最初に残したのが文久3(1863)年に幕府の遣欧使節団のひとりだった三宅秀(みやけひいず)です。


この人は、のちに東大で最初の医学博士を務めた人で、のちの貴族院議員になっています。
ちなみに三宅秀のお父さんが、三宅艮斎(みやけごんさい)で、江戸の蘭方医ですが、手塚治虫の曾祖父の手塚良庵らとともに江戸の「お玉が池種痘所」の創立をした人です。
「お玉が池種痘所」は、神田岩本町2丁目7番にこの跡地の石碑が立っていますが、この種痘所がのちに医学所と名前を変えて、やがて明治にはいってから旧前田家藩邸跡地に移り、東京医学校となり、さらに東大医学部となって現在に至っています。
幕府の遣欧使節団といえば、エジプトに立ち寄り、スフィンクスの前で記念撮影した写真が有名ですが、この写真の中のひとりが三宅秀で、行きの船の中でインド人のシェフからこのカレーを出され、「飯の上ヘ唐辛子細味に致し、芋のドロドロのような物をかけ、これを手にて掻きまわして手づかみで食す。至って汚なし」と日記に書きのこしています。
その後、横浜の誰もいない静かな海岸に、突然、幕府の手によって貿易港と街並が建設され(一週間で街並ができたといわれています。ものすごい早さです)、そこに暮らす英国人を通して、日本にカレーライスが紹介されました。
カレーライスを実際に食べたことを紹介しているのが東大総長を三度勤めた元会津藩家老家の山川健次郎で、彼は、明治4(1871)年、米国に国費で留学に向かう船中で、ひどい船酔いのために何も食べられなくなり、無理矢理胃袋に詰め込んだのが、カレーライスであったと日記に書いています。
ところがこのときも、カレーのドロドロが視覚的に耐えられず、カレーだけ残して、お米のライスだけを食したか。
ちなみに冗談ですが、茨城県水戸市といえば、水戸黄門様が有名ですが、その水戸に名物「黄門カレー」があるとかないとか。もしあっても、たしかに食指は動かないかもしれません。
カレーのレシピを最初に残したのは、明治5(1873)年に出版された西洋料理のレシピ本、「西洋料理通」と「西洋料理指南」です。
おもしろいもので、このときのレシピは、味付けにカレー粉を用い、小麦粉でとろみを出すところまでは良いのですが、ネギは、タマネギではなくて、長ネギを使用、そして肉には、なんとアカガエルを使用しています。
ちょっと遠慮したいかもです。
ちなみにタマネギが使われていないのは、当時の日本では、タマネギがまだ栽培されていなかったことによります。
タマネギはもともと中央アジアが原産ですが、東ヨーロッパには伝播したものの、東洋にはほとんど伝わらず、日本には江戸時代にやってきましたが、なんと食用ではなく、観賞用植物として伝えられています。
タマネギのどこを鑑賞したのかまではわかりませんが、あのまるい姿が喜ばれたとも思えず、実際、その後、観賞用としても、食用としても、全く日本では広まっていません。
これが日本国内で広く流通するようになったのは、札幌大学でブルックス教授がこれを栽培し、「少年よ大志を抱け」で有名なクラーク博士が、これでカレーライスを広めたことによります。
当時の北海道大学では、米食は禁止とされましたが、「但し、らいすかれいはこの限りにあらず」と規則で定められていました。
なんかの未来小説に、世界中の人々が宇宙ステーションの中で暮らす中で、日本人だけが「米食わせろデモ」をして、世間を騒がせるという描写がありましたが、なるほど日本人から米をとると、とたんに寂しくなるのは今も昔も未来社会も同じで、北海道大学の学生たちも、米の飯が食いたい一心で、らいすかれいに飛びついたわけです。
そんなことから、カレーに使われるジャガイモにしても、タマネギにしても、北海道はいまでも産地で、特にタマネギについては、いまも国産タマネギの5割が北海道産です。
カレーライスが普及する最初のきっかけになったのが、明治6(1873)年のことでした。
この年、陸軍幼年学校が、食堂の昼食メニューに、カレーライスを採用したのです。
栄養満点のカレーライスが、陸軍幼年学校の子供たちに喜ばれたことはいうまでもありません。
ただ、当時の洋食レストランでのカレーライス1食の値段が、だいたいいまで言ったら8,000円くらいの超高級食で、食材は全部輸入品だったわけです。
いいかえれば、いかに旧帝国陸軍が子供たちの教育に熱心だったかがわかろうというものです。
海軍でも、明治41(1908)年には、レシピが公開され、艦船内での食事に正式に採用となります。
というわけで、明治時代には、たいへんな高給食品だったカレーライスですが、これが一般化しはじるきっかけを作ったのが、大正15(1926)年のハウス食品でした。
この頃になると、カレーに使う食材の多くが日本国内で生産されるようになっていたのですが、それでもまだ、カレーは庶民にはなかなか手が届かず、ごく一部のお金持ちしか食べられない食品で、国内での普及には至りませんでした。
これが大きく変化するきっかけとなったのは、実は、昭和11(1936)年に起きた二二六事件です。
この年の2月26日から29日にかけて、陸軍の青年将校ら1,483名の兵を率いてクーデターを起こしたのですが、このときの鎮圧部隊の陣営が、帝国ホテルの裏の空き地に張られました。
そして帝国ホテルにその部隊のための炊き出しの依頼があったのです。
最近は2月下旬でも暖冬で、比較的暖かですが、当時の日本は2月といえば、冬まっさかり。
この日も大雪が降って、底冷えのがしていました。
帝国ホテルのシェフは、すぐ食べられて体が暖まるものということで、カレーライスを作ることを思いつきました。
雪の中、明日は仲間と戦わなければならないかと緊張している鎮圧部隊の兵たちに、この熱いカレーライスは忘れられない味となります。
そしてこれを食べた兵たちによって、東京の洋食屋さんにあったカレーライスが全国に広まっていったわけです。
こうして陸軍によってカレーライスは全国に広がり、いわば国民食のような姿になっていくのですが、ところが昭和16(1941)年には、大東亜戦争が勃発します。
国内で英語を使うことが禁止され、カレーライスはこの時期「辛味入汁掛飯(からみいりしるかけめし)」と呼ばれるようになります。
もっとも海軍は、そんなことにおかまいなく、相変わらず「海軍カレー」で通していました。
ところが戦時中のことです。
カレー粉を作るために必要なスパイスがなかなか手に入らない。
そこでヨモギの粉などで代用したり、生薬を配合したり、様々なカレーの代用食が「辛味入掛飯」として登場したのが、この時期でもありました。
戦争が終わっても、物資の不足はいかんともしがたい状態が続きます。
これに変化が起きたのが、昭和30(1955)年で、カレーのメーカーがカレー教室を全国各地で開いて、主婦にカレーを教え、さらに昭和35(1940)年には、テレビでのCMがはじまり、カレーの生産と消費が急速に高まりました。
小学校の給食にもカレーが採用されるようになり、カレーライスは、いわば国民食となって、おおいに発展しています。
ちなみに、台湾の方もカレーライスが大好き。
ついでにChineseもKoreanも、カレーライスが大好きだそうです。
いずれも日本が伝えた食文化です^^
そういえば、ライスカレーが正しいのか、カレーライスが正しいのか。
昔、ククレカレーのCMで、「ライスが多けりゃライスカレー、カレーが多けりゃカレーライス」ってやってたけど、ほんとかな(笑)
カレーライスひとつにも、歴史があります。
私たちは、木の股から生まれたのではない。
まして日本は、神話の時代から脈々と続く世界最古の歴史と伝統と文化を持った国です。
元気を出していきましょう!!
人気ブログランキング
 ↑ ↑
応援クリックありがとうございます。
励みになります。

【メルマガのお申し込みは↓コチラ↓】
ねずさんのひとりごとメールマガジン有料版
最初の一ヶ月間無料でご購読いただけます。
クリックするとお申し込みページに飛びます
↓  ↓
ねずブロメルマガ

コメントは受け付けていません。