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ピラミッド

明治時代に世界的ベストセラーになった本としては、新渡戸稲造「武士道」が有名です。
この本は、はじめ明治32(1899)年に米国で「BUSHIDO , THE SOUL OF JAPAN」の題で出版され、その後、世界中の言語に翻訳され、今も読み継がれています。
他に、古い時代に世界的ベストセラーになった本としては、杉本鉞子(すぎもと えつこ)の「武士の娘」がありますが、この本は、いまでも日本を知る本として、世界中で読まれていますが、こちらは出版されたのが大正14(1925)年ですから、すこし後の時代になります。
ところで、実は明治の頃、新渡戸稲造の「武士道」以上の世界的な大ベストセラーになった本があります。
それが今日ご紹介する、桜井忠温(さくらいただよし)著「肉弾」です。
ずいぶんと物騒な名前の本ですが、出版されたのが明治39(1906)年のことで、本の題材は日露戦争の旅順要塞攻城戦のことを書いた本です。


著者の桜井忠温は、明治12(1879)年に愛媛県松山市で生まれた方で、日露戦争のとき、松山の歩兵第22連隊に所属し、乃木大将の下で小隊長として第1回旅順要塞総攻撃の際に参加しました。
この戦いで桜井忠温は、この戦闘中、体に8発の弾丸と無数の刀傷を受け(全身蜂巣銃創)、右手首まで吹き飛ばされました。
余りの重傷だったために死体と間違われ、火される寸前に生きを吹き返して、命を永らえました。
著作の「肉弾」は、入院中の病院で執筆した著作です。
右手首から先が吹き飛ばされてないので、左手で書いたそうです。
戦場の極限状態の中で、部下や親友の安否を気づかい、日本の家族を思いやる兵士達を描いた感動作で、出版にあたっては乃木大将が題字を書いてくださっています。
この本は、発売と同時に日本国内で大ベストセラーとなり、さらにイギリス・アメリカ・フランス・ドイツ・イタリア・ノルウェー・スウェーデン・スペイン・China・ロシア・ギリシャなど当時の世界15カ国語に翻訳されて世界中で大ベストセラーになりました。
なかでもエジプトでは、アフマド・ファドリーが明治42(1909)年にこの本を翻訳出版すると、この本はアラビア語に翻訳された最初の日本の本だったのですが、その影響力はすさまじく、この本がもととなってナイルの詩人」とうたわれたハーフェズ・イブラヒームが「日本人の乙女」という詩を書くと、今度はその詩がアラブ諸国で大評判となり、ラジオで繰り返し何度も朗読されただけでなく、教科書にまで載って、アラブ諸国の知識人の間で暗唱されるくらい記憶される詩となりました。
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「日本の乙女」が掲載されたレバノンの教科書
日本の乙女

【日本の乙女】
砲火飛び散る戦いの最中にて
傷つきし兵士たちを看護せんと
うら若き日本の乙女 立ち働けり
牝鹿にも似て美しき汝なれ
危うきかな!
戦の庭に死の影満てるを
われは日本の乙女
銃もて戦う能わずも
身を挺して傷病兵に尽くすはわが務め
ミカドは祖国の勝利のため
死をさえ教え賜りき
ミカドによりて祖国は大国となり
西の国々も目をみはりたり
わが民こぞりて力を合わせ
世界の雄国たらんと力尽くすなり
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イランでは、ホセイン・アリー・タージェル・シーラーズイーは「ミカド・ナーメ(天皇の書)」という本を書きました。
そこには次の記述があります。
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東方から太陽が昇る
眠っていた人間は
誰もがその場から跳ね起きる
文明の夜明けが日本から拡がったとき
この昇る太陽で
全世界が明るく照らし出される
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イラクでは、詩人のアルーフ・アツ=ルサーフイーが「対馬沖海戦」を翻訳しました。
レバノンでは詩人アミール・ナースィル・アッ=ディーンが、「日本人とその恋人」を書きました。
なぜそこまでしてこの本の影響力が広がったのでしょう。
理由は3つあります。
ひとつは「日露戦争の勝利」です。
日本が大国ロシアを破ったという事実が、世界に激震を走らせ、なぜ勝ったのか、どうして日本が強いのか、日本に学べという気運が世界中で盛り上がったのです。
二つめは、日本人の「思いやりの心」です。
上の命令と支配によって「戦わさせられている」戦士ではなく、自らの愛と良心に従って、互いに協力しあい、励ましあいながら、男も女も勇敢に戦う。
その強さは、ただ腕力が強いとか、射撃の腕前が良いとかいうことではなく、ひとりひとりが内地にいる家族や仲間たちを気遣う、その思いやりの心によってもたらされる責任感と、くじけない勁(つよ)さです。
この「勁(つよい)」という字は、「疾風(しっぷう)に勁草(けいそう)を知る」というときの「勁(つよ)い」です。
どんなに激しい嵐の風を受けても、雑草たちは倒れずに生きる。
民衆のことを「民草(たみくさ)」ともいいますが、その民衆の勁(つよ)さ、人々が互いを思いやる心こそが、史上最強とうたわれた旅順要塞さえもくじき、文明の夜明けを開くことが人類史に燦然と刻まれたのです。
三つ目は「ミカド」です。
なぜ日本が勁いのか。その理由が「ミカド」にあることを、この本を通じて世界の多くの人が知ったのです。
ミカドは、政治権力者ではありません。
ミカドは、政治権力者の上位におわす存在です。
そして民衆がそのミカドの民となることによって、民衆は政治権力者の私有物とならない、つまり自由を手に入れているのです。
そしてその自由が、ただの放縦とならないのは、民衆の間に、そのミカドに対する感謝の心があるから。
日本では、浄土宗であれ禅宗であれ、法華宗であれ、明治以降解禁されたキリスト教であれ、さまざまな宗教への信仰の自由が認められているにも関わらず、宗教上の対立が、民族や宗派ごとの戦乱の理由になりません。
なぜなら、信仰とは別に、そうした信仰の自由さえも与えてくれているミカドへの感謝の思いがあるからです。
だから、大正10(1921)年3月には、アラビア、インド、エジプト、トルコのイスラム教徒がメッカでイスラム教徒世界代表者会議の席上において、日本のミカドを盟主と仰ごうと決議までしています。
あいにく日本には、そこまでの国力はないからと、この申し出を丁重にお断りしていますが、当時のイスラムの人々は、宗教を超える人智があるということを、当時、はっきりと知ったできごとでした。
日本は、世界で一番長く続いている国です。
日本は、開闢から2673年、世界第二位のデンマークが約千年、三番目に古い英国が約900年です。
その他の国の多くは、いずれも200年に満たない歴史しかありません。
いま世界で唯一「Emperor(エンペラー)」の称号が認められ、世界の権威の最上位におわすのが、我が国の天皇陛下です。
私たち日本人は、だからといって、誇らしげに「どうだ顔」をする必要はありません。
日本人として、誇りを胸にしまい、普通にしているだけで、偉大な国の偉大な民となれる、というより、そういう民として、生まれてきています。
世界には、いわゆる反日国というのが4つあります。
ひとつはChina、ひとつは韓国、ひとつは北朝鮮です。
では、4つめの国はどこでしょう。
日本です。
おかしな話です。
日本に生まれ育ち、日本の民として、上下の支配や隷属、私物化されるという悲哀を味わずに済み、言論その他の自由を享受し、飢えや暴力による苦しみや悲しみを得ずに生きて行けるという幸せを享受していながら、そのことへの感謝の気持ちをもてない。
哀れなものです。
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