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昭和天皇1021

ふりつもる
深雪(みゆき)にたへて いろかえぬ
松そを々しき 人もかくあれ
(通解)
降り積もった深い雪にも耐えて色を変えない松の木は雄々しい。
人もかくあれ。
これは昭和21(1946)年元旦の昭和天皇の御製です。


この日、「新日本建設ニ関スル詔書」が発せられました。
この詔書は、その後、教科書などで「天皇人間宣言」の発布、などと書かれました。
では、実際にそうなのでしょうか。
今日は、この日の詔書を読んでみたいと思います。
原文は、下段に示します。
先に、口語訳を載せたいと思います。
念のため申し上げておきますが、この詔書に「人間」とか「宣言」という文言はまったくありません。
要するに、「人間宣言」という名称はマスコミや出版社が勝手に付けたものでしかない。
そんなくだらないことよりも、もっとはるかに大事なことを、この日、陛下は述べられています。
なお、この詔書には、もともとは題名は付けられていません。
ですから、冒頭に示した「新日本建設に関する詔書」という語も、通称ですし、「人間宣言」、「天皇人間宣言」、「神格否定宣言」なども、同じく通称です。
いちおうオフィシャルなものとしては、
【官報目録】
新年ニ当リ誓ヲ新ニシテ国運ヲ開カント欲ス国民ハ朕ト心ヲ一ニシテ此ノ大業ヲ成就センコトヲ庶幾フ
【法令全書】
新年ヲ迎フルニ際シ明治天皇ノ五箇条ノ御誓文ノ御趣旨ニ則リ官民挙ゲテ平和主義ニ徹シ、新日本ノ建設方
とされていますが、どちらも長い題名なため、あまり用いられることはありません。
ここでは、内容との整合性から「新日本建設に関する詔書」という呼称を採用したいと思います。
繰り返しますが、この詔書が発布されたのは、昭和21年の元旦です。
つまり、大東亜戦争が終結して、最初の年の元旦の詔書です。
当時の日本は、まさに焼土と化し、人々は貧困にあえぎ、外地には、まだまだ多くの軍人さんや軍属の方々が抑留され、巷には米兵が銃を持って走り回る、そんな環境下にあった。
その中で、陛下が年頭にあたり発せられた詔書です。
~~~~~~~~~~~~~~
【新日本建設に関する詔書】
ここに新年を迎えました。
かえりみれば明治天皇は、明治のはじめに国是として五箇条の御誓文を下されました。
そこには、次のように書かれています。
一、広く会議をおこし、万機公論に決すべし。
一、上下心を一にして盛んに経綸(=経済活動)を行うべし。
一、官武一途庶民に至るまで、おのおのその志をとげ、人心をしてうまざらしめんことを要す。
一、旧来の陋習を破り、天地の公道に基づくべし。
一、知識を世界に求め、おおいに皇基を振起すべし。
明治大帝のご誓文は、まことに公明正大なものです。これ以上、何をくわえるのでしょうか。
朕は、ここに誓いを新たにして、国運を開こうと思います。
私たちはもう一度、このご誓文の趣旨にのっとり、旧来のわるい習慣を去り、民意をのびのびと育て、官民あげて平和主義に徹し、教養豊かに文化を築き、もって民間生活の向上をはかり、新日本を建設するのです。
大小の都市が被った戦禍や、罹災者のなやみや苦しみ、産業の停滞、食糧の不足、失業者の増加・・・。
現在の状況は、まことに心をいためるものです。
しかし、私たち日本人が、いまの試練に真っ向から立ち向かい、かつ、徹頭徹尾、文明を平和の中に求める決意を固くして、結束をまっとうするなら、それは、ひとりわが日本人だけでなく、全人類のために、輝かしい前途が開けることです。
「家を愛する心」と「国を愛する心」は、私たち日本人が特に大切にしてきたものです。
いまや私たちは日本人は、この心をさらに押し広げて、人類愛の完成に向かって、献身的な努力をしていきましょう。
私たちは、長かった戦争が敗北に終わった結果、ややもすればいらいらと焦ったり、失意の淵によれよれになって沈んでしまいそうになります。
だからといって、過激な言動に流され、道義心を喪失し、思想を混乱させてしまうのは、心配にたえないことです。
しかし、朕は、常に汝ら臣民とともにあります。
朕は、常に皆さんと利害を同じくして、喜びも悲しみも一緒にわかちあっています。
そして、朕と汝ら臣民との間のきづな(=紐帯)は、終始相互の信頼と敬愛とによりて結ばれているものです。
それは、単なる神話と伝説によって生じているものではありません。
そしてそのことは、天皇をもって現御神とし、かつ日本国民をもって他の民族に優越せる民族として、ひいて世界を支配すべき使命を有するなどという架空の観念に基づくものではありません。
朕の政府は、国民の試練と苦難とを緩和するために、あらゆる施策と経営とに万全の方策を講じます。
同時に朕は、わが国民が、当面する難題に対処するため、心を定めて行動し、当面の困苦克服のために、また産業および学問、技術、芸術などの振興のために、ためらわずに前進することを希望します。
わが国民がその公民生活において団結し、互いに寄り合い、援けあい、寛容で、互いに許し合う気風を盛んにするならば、からなず私たち日本人は、至高の伝統に恥じない真価を発揮することができます。
そうすることで、私たちは人類の福祉と向上とのために、絶大な貢献をすることができます。
一年の計は元旦にあり、といいます。
朕は、朕の信頼する国民が、朕とその心を一にして、みずから奮い、みずから励まし、もってこの大業を成就することを願います。
御名 御璽
昭和21(1946)年1月1日
~~~~~~~~~~~~~
陛下は、最初に明治大帝の五カ条のご誓文を挙げられました。
そして、平和国家建設のために、国民が団結して、日本の持つ至高の伝統に恥じない真価を発揮しよう、と語りかけておいでになります。
そしてその中で、陛下は政府とともに、国民の試練と苦難とを緩和するために、ありとあらゆる施策と経営とに万全の方策を講じるとお約束なされています。
そして国民も、困苦克服のために、産業や学問、技術、芸術などの振興のために、心を定めてためらわずに前進しようとおおせられています。
「然レドモ朕ハ爾等国民ト共ニ在リ、常ニ利害ヲ同ジウシ休戚ヲ分タント欲ス」
陛下は、朕は、常に汝ら臣民とともにあり、常に私たち国民と利害を同じくして、喜びも悲しみも一緒にわかちあうと、おおせられています。
そして、その陛下と、私たち臣民との絆(=紐帯)は、「相互の信頼と敬愛とによって結ばれているものだ」とおっしゃられている。
以前、ボクは、陛下は、日本人にとっての本家の中の総本家だと書きました。
≪参考:日本は日本人のもの≫
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-734.html
計算上は、800年前の鎌倉時代のひと組のカップルから、いまの日本の人口が誕生するのだそうです。
まして日本は、皇統2700年の歴史のある国です。
すごくもったいなくて、口にするのははばかられることだけれど、鈴木さんも、高橋さんも、斉藤さんも、どこのご家庭でも、代々日本人の家なら、その祖先をずっとずっと辿っていったら、みんな陛下に行きつく。
家系図のあるなしに関わりなく、すべての家が、です。
ですから陛下と私たち日本人の関係は、他国のような王様と家来という上下関係や、収奪者と被収奪者という収奪関係などとは根本的に違う。
むしろ、本家と分家の関係に近い。
本家で法事があるといわれれば、特段それが命令や示達、あるいは社会契約でもなんでもなくても、私たちは普通に、本家に集う。
だからこそ、陛下と私たち臣民の関係は「紐帯」なのです。
これはもう「血」としかいいようがない。
ですから陛下と私たちの関係は、単なる神話や伝説に依拠するものではないし、陛下もって現人神とするとかいうような理屈の問題ではない。
まして神国日本だから、日本国民は他の民族に優越するなどというたわごとや、だから日本人が世界を支配するんだ、などという卑しいものでは決してない。
この詔勅で、陛下がおっしゃられているのは、そういうことなのだろうと、ボクは思います。
自分の家の、田舎にある本家をつかまえて、神だなどと言ったら、笑われてしまいます。
まして、本家が神だから、俺は世界を征服するのだ、などと言ったら、もはやキチガイの領域です。
陛下は、戦前も戦後も、ずっと「人」であられる。
そして私たち日本人の魂の故郷、本家の中の総本家であられる。
その総本家の家長が、自ら率先して、みんなで一緒に国家を再興しようよ、と、この詔書は、そうおっしゃられているのです。
これほどまでにありがたいお言葉をいただいて、それを「天皇が人間宣言した」などとはしゃぐのは、まさに見下げ果てた行為です。
どこをどう取ったら、そういうひねくれた言葉が出てくるのか、ボクには、さっぱり理解できません。
恥を知れ!といいたくなります。
陛下は、このあと、自ら全国を回られ、人々を励まし、当時戦乱によって失われた日本の森林資源(なんと森林資源の30%が失われていた)再興のために、自ら植樹もして回られました。
さらに陛下は、私たち庶民に向けて「紐帯(ちゅうたい)」とまでおっしゃってくださっています。
「紐帯」というのは「ひも」と「帯(おび)」です。
転じて、二つのものをかたく結びつけるものをいう。
そこから、地縁、血縁など、社会を形づくる結びつきを指します。
陛下は、私たち庶民と、切っても切れない固い結びつきがあるとおっしゃっているのです。
そして陛下と私たち庶民が、紐帯で結びつけられているなら、私たち日本の庶民同士も、紐帯で結ばれた国民です。
いま日本は国難のときにあります。
しかし、ピンチは、変わるためのチャンスでもあります。
目先の政治課題は、大事なことです。
しかし、吉田松陰は、言われました。
~~~~~~~~~~~~~~
天壞無窮の神勅相違なければ日本は未だ亡びず。
日本未だ亡びざれば、正気重て発生の時は必ずある也。
只今の時勢に頓着するは、神勅を疑の罪軽からざる也。
~~~~~~~~~~~~~~
日本がある限り、日本はかならず正気を取り戻す。
陛下がこの日本におわす限り、必ず日本は正気を取り戻す。
私たちにとっての戦いは、その日まで、これからも長くずっと続く戦いなのだと思います。
原文は、以下の通りです。
~~~~~~~~~~~~~~
茲ニ新年ヲ迎フ。顧ミレバ明治天皇明治ノ初国是トシテ五箇条ノ御誓文ヲ下シ給ヘリ。
曰ク、
一、広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スヘシ
一、上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸ヲ行フヘシ
一、官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメンコトヲ要ス
一、旧来ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシ
一、智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ
叡旨公明正大、又何ヲカ加ヘン。朕ハ茲ニ誓ヲ新ニシテ国運ヲ開カント欲ス。須ラク此ノ御趣旨ニ則リ、旧来ノ陋習ヲ去リ、民意ヲ暢達シ、官民拳ゲテ平和主義ニ徹シ、教養豊カニ文化ヲ築キ、以テ民生ノ向上ヲ図リ、新日本ヲ建設スベシ。
大小都市ノ蒙リタル戦禍、罹災者ノ艱苦、産業ノ停頓、食糧ノ不足、失業者増加ノ趨勢等ハ真ニ心ヲ痛マシムルモノアリ。然リト雖モ、我国民ガ現在ノ試煉ニ直面シ、且徹頭徹尾文明ヲ平和ニ求ムルノ決意固ク、克ク其ノ結束ヲ全ウセバ、独リ我国ノミナラズ全人類ノ為ニ、輝カシキ前途ノ展開セラルルコトヲ疑ハズ。
夫レ家ヲ愛スル心ト国ヲ愛スル心トハ我国ニ於テ特ニ熱烈ナルヲ見ル。今ヤ実ニ此ノ心ヲ拡充シ、人類愛ノ完成ニ向ヒ、献身的努カヲ効スベキノ秋ナリ。
惟フニ長キニ亘レル戦争ノ敗北ニ終リタル結果、我国民ハ動モスレバ焦躁ニ流レ、失意ノ淵ニ沈淪セントスルノ傾キアリ。詭激ノ風漸ク長ジテ道義ノ念頗ル衰へ、為ニ思想混乱ノ兆アルハ洵ニ深憂ニ堪ヘズ。
然レドモ朕ハ爾等国民ト共ニ在リ、常ニ利害ヲ同ジウシ休戚ヲ分タント欲ス。朕ト爾等国民トノ間ノ紐帯ハ、終始相互ノ信頼ト敬愛トニ依リテ結バレ、単ナル神話ト伝説トニ依リテ生ゼルモノニ非ズ。天皇ヲ以テ現御神(アキツミカミ)トシ、且日本国民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル観念ニ基クモノニモ非ズ。
朕ノ政府ハ国民ノ試煉ト苦難トヲ緩和センガ為、アラユル施策ト経営トニ万全ノ方途ヲ講ズベシ。同時ニ朕ハ我国民ガ時艱ニ蹶起シ、当面ノ困苦克服ノ為ニ、又産業及文運振興ノ為ニ勇往センコトヲ希念ス。我国民ガ其ノ公民生活ニ於テ団結シ、相倚リ相扶ケ、寛容相許スノ気風ヲ作興スルニ於テハ、能ク我至高ノ伝統ニ恥ヂザル真価ヲ発揮スルニ至ラン。斯ノ如キハ実ニ我国民ガ人類ノ福祉ト向上トノ為、絶大ナル貢献ヲ為ス所以ナルヲ疑ハザルナリ。
一年ノ計ハ年頭ニ在リ、朕ハ朕ノ信頼スル国民ガ朕ト其ノ心ヲ一ニシテ、自ラ奮ヒ自ラ励マシ、以テ此ノ大業ヲ成就センコトヲ庶幾フ。
御名 御璽
昭和二十一年一月一日
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