
今日は、とある国の物語を書いてみようかと思います。
あくまでも、架空の国の物語です。
その国は、大陸の片隅にある小さな、けれども国民は勤勉で良心的でまじめなヤポンという、四方を海に囲まれた国です。
ヤポン国は、かつて悠久の大義のために大きな戦争を戦い、国土はめちゃめちゃに破壊されてしまいます。
ヤポン国の国民は、一生懸命国土を復興させ、経済的にも奇跡といえるほどの大復興を遂げます。
そして世界各地の貧しい国のために、海外協力金を供出するようになります。
海外協力金というのは、簡単にいえば国民から集めた税金を、ただ外国政府にくれてやる、というものです。
これには途方もないカネが動きます。
たとえば毒ガス兵器の処分対策費として1兆円を払いだします。
1兆円といえば、みなさんが一日100万円の小遣いを休みなく毎日遣っても、遣いきるまでになんと2740年もかかるという途方もない大金です。
過去のあるとき、この大金に目を付けた政治家がいました。名前をカックー氏といいます。
土建屋出身で、内閣総理大臣をも勤めた大物です。
彼は、海外協力金の話をつけてあげるかわりに、相手国政府から、20%のキックバックを取るという方法を考案します。
要するに、外務畑に土建屋方式を持ち込んだのです。
相手国にしてみれば、ただカネをくれるわけです。
20%の手数料がかかろうが、どうしようが、もらえるものならもらいたい。
そうしてカックー氏は、莫大な財源を手にし、政界を牛耳ります。
なにせ、海外協力金は巨額です。
民間から、チマチマと政治献金してもらうよりも、はるかに早くてカネになる。
ヤポン国政府は、相手国政府の、首都支店にお金を振込ます。
相手国の大使館は、そこから20%相当額を引き出して、キャッシュでバックします。
領収書のいらないカネだし、おカネは海外流出していないから、外為法の影響も受けず、処罰の対象にもなりません。
この利権を開発したカックーオヤジは、ラッキード事件で政界を引退します。
そのあと、資金基盤を受け継いだのが、カナマール卿です。
そして、カナマール卿の急逝によって、その基盤を引き継いだのが、当時政権や党の幹事長をしていた、オッサワ卿です。
オッサワ卿にしてみれば、海外協力金利権から比べれば、東西松建設の2000万円なんて、屁みたいなものです。
なにせ1兆円動けば2割の2000億円、おとなりのチューキョン王国に黄砂対策費の名目で1兆7000億円動かせば、2割の3400億円がポケットにはいる。
どこの国でも、政治家というのは、カネのかかる職業です。
すこし考えれば、誰にでもわかることです。
選挙に出るだけで、○千万円。
お世話になっている支持者の子女の結婚式に出れば、○万円のお祝儀。
支持者のご家族で葬式が出れば、香典で○万円。
そんなことが毎日複数続くのです。
にもかかわらず「政治家への企業献金を規制しろ」という政治家がいます。
要するに企業献金よりももっとカネになる道筋を持っているから、彼らは、平気でそううそぶいているのです。
それだけのことです。
ただ、ヤポン国にとって不幸だったのは、基盤を引き継いだオッサワ卿が、政権与党を飛び出したことです。
当時、オッサワ卿は、自身が幹事長を勤める政権与党を巨額な資金を持って飛び出せば、多くの政治家はなびく、と思ったのです。
ところが残念なことに、オッサワ卿は、資金力と政治力はあったけれど、人望力がなかった。
やむをえず彼は、万年野党と連立を組むことで政権を奪取します。
奪取しなければならなかったのです。
政権与党でなければ、巨額の海外協力金からのキックバックを受取れない。
しかし連立政権は、内部の意見の対立が激しく、あっという間に崩壊してしまいます。
そしてもともと政権与党だったGMN党は、なんとオッサワ卿が担ぎあげた野党第一党のSYA党を逆に担ぎあげ、政権復帰を果たします。
そのときの党首が、ドラゴン・ハッシー卿です。
ドラゴン・ハッシー卿は、それによってGMN党を政権与党に復活させるけれど、これが実はとんでもないことだった。
総理に担ぎあげたSYA党党首のソンザン卿は、なんと、自国の正義の戦いを否定する談話を発表したのです。
これに小躍りして喜んだのは、お隣の暴力国家のチューキョン王国です。
一方、これに怒ったヤポン国の庶民は、この連立政権をあっという間に崩壊させてしまいます。
まあ、あたりまえといえばあたりまえのことです。
困ったのは、オッサワ卿です。
政権与党であれば、海外協力金をほしいままに利用することができる。
ところが、自分の政党が野党に転落してしまったために、カネの成る木がない。
そこでオッサワ卿は、禁じ手を遣います。
ヤポン国を貶めることを国是としている、お隣のチューキョン王国と、カーンミン国に媚び、ヤポン国を売ることで、その二カ国からの資金援助を得たのです。
古来、大事なものや誇りを売ることは、カネになります。
売春など、その典型でもある。
まして経済力のある国家国民を売るとなれば、そりゃあ大金が動く。
何度かの選挙の後、オッサワ卿は大勝負に出ます。
政権交代のために、再度、新党であるMNS党を結成し、GMN党内閣に挑んだのです。
ところが、MNS党は新党だから、全国的な党員組織がない。つまり集票力がない。
そこで彼は、国民に空手形を乱発します。
投票してくれたら、子供ひとりにつき、月27000円、年額324000円をあげましょう、とやったのです。
不況にあえいでいたヤポン国の住民は、これに狂喜します。
そりゃあ誰だって、もらえるものはもらいたい。
ムードが高まってきたら、今度は候補者です。
候補者がいなければ、議席はとれないからです。
そこで彼は、SM譲や破産者、カーンミン国やチューキョン国からの帰化人などまで、候補者に仕立てます。
もちろん、ほとんどみんな、選挙も政治も素人です。
選挙をどう闘っていいかもわからないし、支持組織もない。
オッサワ卿は、彼らのために、莫大な選挙費を調達します。
そして、候補者ひとりにつき、月200万円を配った。
毎月です。
選挙を求めたときから、実際に選挙が行われるまで、10カ月です。
300人の候補者に、毎月200万円配ったら、それだけで60億円。
さらにテレビコマーシャル代が、30億円。
都合90億円という巨額の費用を、選挙対策費として調達した。
選挙に勝てば、例の海外協力金で返済は可能です。
いわばこれは背水の陣だった。
そしてオッサワ卿は、見事に選挙に勝利します。
彼が起てた泡沫候補も、次々当選した。
SM譲は、前歴がバレたけれど、まあ可愛いからいいじゃん、てなことになったし、破産者も、ごにょごにょと適当にゴマカシて議席を守った。
そうなのです。議席確保の「都合」で立てただけの候補者なのです。
議席を失うことがなにより困る。
彼は、政権与党となったMNS党の代表に、ルピ卿をたてます。
そしてルピ卿が内閣総理大臣となった。
実は、ルピ卿には、オッサワ卿の持っていたカーンミン国の利権パイプを委ねてあったのです。
実は、カーンミン国は、ヤポン国から大金を借金しており、その返済期日が迫っているだけでなく、国家財産は完全に破たんしてもはや国家破産寸前だったのです。
なんとかしてヤポン国からの借金を帳消しにしたかったし、ついでにヤポン国からもっともっとたくさんのカネを出してもらいたかった。
実は、そういう申し出を、カーンミン国は、実際にヤポン国にしているのだけれど、当時与党だったGMN党には、センターリバー卿というイキのいい大臣がいて、これを一笑に付して断っています。
そのためセンターリバー卿は、酔っ払い会見を捏造された挙句、奇跡的にどこかの国にまことに都合のよいタイミングで命を失ってしまった。
その死は、いまでもナゾに包まれているとされています。
カーンミン国にしてみれば、自分たちが選挙資金の面倒を見てあげたMNS党が政権与党になってくれれば、借金も帳消しになるし、さらに追い金まで出る。
そりゃあ、大金をルピ卿に渡します。
ただ、頭がよくて優秀なスタッフの揃ったオッサワ卿と異なり、なにせルピ卿は人物が軽い。
秘書もロクなのが揃っていません。
せしめた大金を、故人から献金受けたの、母親からもらったのと、いい加減な処理をしていたのがバレて、慌てて口先でいい加減な言い訳をしたものだから、ヤポン国の国民から、怪しまれてしまいます。
これは、あまり問題が大きくならないうちに、はやいとこ総理を引退したほうがいい。
そんな矢先に、こんどはカーンミン国が、対立関係にあるションイル王国と、あわや戦争という事態が起こってしまいます。
実はヤポン国は、先の大戦で敵対国だったオパーマ共和国に軍事的保護を受けています。
ルピ卿が、オッサワ卿と一緒に、んなものはイラネエなどとやったものだから、ションイル王国内部に、オバーマ共和国の脅威がないなら、カーンミン国を制圧しちまえ、ってことになって、これにびっくりしたカーンミン国が、ルピ卿に、オマエのせいだ。セキニントレ!と言ってきたのです。
自分で巻いた種で、隣国からミサイル攻撃を受けただけなのに、それすらもヤポン国の「せい」にしてしまう。
すごい国柄です。
やむなくルピ卿は、突然総理を辞任する。
カーンミン国との利権パイプをとるか、それとも国民に対する責任をとるか。
ルピ卿は、迷うことなく利権をとったわけです。
あとを引き継いだのが、ナオトン卿です。
ナオトン卿は、議会といえば、朝から晩まで、よくぞこれだけよく寝れるものだと思われるほど、よく寝る男です。
議会の最中でも、寝るのが忙しくて、質問など聞いていない。
ですから会議の中継を見ると、いつも寝起きのような声でしゃべります。
誰がどう見ても非礼そのもの、大臣や総理にあるまじき態度なのですが、なぜかヤポン国のメディアは、それを素晴らしいと絶賛した。
彼らも寝不足だったのかもしれません。
ナオトン卿は、カンホー長官にセンイシ卿を起用します。
ところがこの二人、オッサワ卿のおかげで政権与党になり、オッサワ卿のおかげで総理やカンホー長官に就任させてもらったのに、いったん権力の座に座るや否や、いきなりオッサワ卿が、長年作り続けて海外協力金のパイプを、オッサワ卿からもぎ取って、自分たちのものにしてしまおうと画策します。
ことは簡単です。
ホーム大臣や、国家コーアン委員長に、反オッサワ卿で権力さえ手に入るなら国や恩人を売ることなどなんとも思わない人物を起用し、前々から黒いウワサのたえないオッサワ卿を逮捕しちまうことにしたのです。
これに気がついたオッサワ卿は、愕然とします。
飼い犬に手を噛まれるとはこのことです。
あれだけ俺に世話になっておきながら、総理やカンホー長官の椅子に座れたのは、いったい誰のおかげだと思ってるんだ!
カンカンに怒りますが、そもそも、彼らはそういう連中なのです。
だいたい国を売ること自体、なんとも思わないような連中なのです。
まともな常識など通じない。
オッサワ卿は、乾坤一擲、ここで大勝負に出ます。
なんと、MNS党の代表選に出馬したのです。
これを知ったナオトン総理は、恐怖します。
負ければ、あのオッサワ卿を敵に回すのです。
もはや政界に居場所はない。
なんとしても、総裁の席を守り、逆にオッサワ卿を葬らなければならない。
そこでナオトン卿は、とんでもない奇策を思いつきます。
なんと、代表選には、2000円払えば、日本にいる人なら、誰でも、つまり外国人でもなんでも、党員として代表選に1票を投じることができるとしたのです。
そしてチューキョン王国から、1600万人を招きいれるという約束をします。
もっとも、期間が短いから、実際には、その3分の1くらいしかヤポン国にこれなかったけれど、彼らは本国に家族を人質に取られています。
チューキョン王国政府の言うことを聞いて、言う通りに動かなければ、家族を危険な目に遭わされてしまう。
来日したチューキョン人たちは、続々とMNS党の党員になります。
そして本国政府に指示に従い、全員がナオトン卿に票を投じる。
見事に代表選に勝利したナオトン卿は、ふたたび総理の座を射止めます。
そしてその足で、すぐにオッサワ卿の逮捕に動く。
もっとも、チューキョン王国にしてみれば、まだオッサワ卿の方が信頼に値する人物です。
ナオトン卿だのセンイシ卿だのというのは、人物からしてまるで信用に値しない連中であることは、ハナからお見通しです。
そこでチューキョン王国は、ナオトン卿が、100%、自分たちの言うことを聞く政権かどうか、試金石を与えます。
ヤポン国の領海内に、チューキヨン王国の漁船を、侵入させ、ヤポン国の海上警備の船に激突させたのです。
これは国際的にみて、明らかに犯罪です。
当該国内で犯罪を犯した者は、当該国内で取り締まるのが世界の常識です。
そうでないなら、治外法権を認めることになる。
これは国家主権の放棄に等しい行為です。
その国家主権の放棄を、チューキョン王国は、ヤポン国のナオトン総理、センイシ卿に要求します。
そして返す刀で、自国に入るヤポン国の民間人を逮捕した。
要するに、ナオトン総理、センイシカンホー長官が、100%チョーキョン王国の言いなりになるのかならないのか、その試金石を突きつけたのです。
100%言いなりの犬になるなら、助けよう。
しかし、逆らうなら、ヤポン国に送り込んだ兵士たちが代表選で働いた事実をバラすぞ、というわけです。
バラされたら、二人は政権の座から失脚します。
で、彼らはチョーキョン国の言いなりになった。
完全にチョーキン王国の犬に成り下がった。
いったん犬になったら、とことんしゃぶりつくすというのが、古来、チューキョン国のならわしです。
さて、この先のヤポン国の命運やいかに。
ただ一点、この国には、優秀な国民がいたのです。
この国の政治が軟弱外交をしたあげく、国土が焼け野原になっても、まじめに一生懸命努力して、国土を復興させた国民です。
国内を縦横に走る国営の鉄道職員が、ストばかりして仕事をせず、結果国家予算に匹敵する莫大な借金を残して倒産しても、その借金を肩代わりして払いづつける勤勉でまじめな国民です。
多くの国民は、日ごろは政治なんて関係なく、日々の自分の生活に一生懸命暮らしています。
しかし、いったんコトが起こったら、陸続と眼を覚ますのが、この国の国民の特徴です。
そしてこの国の国民は、何事かを決めるまではものすごく時間がかかるけれど、いったん決まれば、決然として動くのも特徴です。
はじめは、すずかな動きだったのです。
尖閣問題に腹をたてた、ほんの一部の少数の国民が、街宣や署名運動などをはじめただけだったのです。
ところがこのことが、国民の心に火をつけます。
さて、ヤポン国の未来やいかに。
お話の続きは、またの機会に^^
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