
2009年10月27日午後7時56分ごろ、本州と九州の境にある関門海峡で、海上自衛隊の護衛艦「くらま」(艦長・柏原正俊1等海佐、5200トン)と韓国のコンテナ船「カリナスター」(7401トン)が衝突する事故がありました。
http://www.asahi.com/national/update/1027/TKY200910270381.html
この事故については、メディア各社の報道は、なんとなく自衛艦側に罪があるかのような報道ぶりです。
上の写真(朝日新聞社)を見ても、まるで巨大な自衛官戦艦に、小さく頼りなげな民間船舶がぶつけられたかのような絵になっています。
この事件について、日本の心をつたえる会のメーリングリストでも、さかんに議論が交わされました。
その中に、非常に冷静に事件を分析したと思われるものがありましたので、このブログでご紹介させていただきます。
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護衛艦も含めて船の運航は、海上衝突予防法、港則法、海上交通安全法等の法律に基づき各船の船長の判断に基づいて行われます。
また、船長になるには商船大学等を経て航海士の資格を取得し、実務を通じて経験を積み船長の資格もしくは相当する資格を取得して初めて任命されます。
海上においては気象・海象の変化が激しく、船舶の大きさ構造の相違、積み荷の有無によってその運動性能等が大きく変化します。船舶の運航に関する判断は船長の裁量に任されます。そして、船舶の運航が「安全」に行われたかは、現実に事故が生起したかしなかったかを基準に判断されます。
日本のメディアでは、次のような報道がなされました。
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しかしその後の海上保安庁の調べで、護衛艦は、関門海峡に入っても外洋を航行するときと同じ15ノットから17ノットで航行し、今回、事故が起きた海峡の最も狭い部分で船とすれ違うことを予測していたにもかかわらず、速度を落としていなかったことが新たにわかりました。
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当時の潮は東から西へ約3kt程度です。
船の対水速力が12ktであれば、対地速力は15kt程度になる可能性はあります。
しかし、仮に最峡部で他船とすれ違うことが予測されたとしても、安全に航過する見込みが得られれば、速力を落とす必要はまったくありません。
他方、関門航路のような狭い航路では、主として同じ方向に進む他の航船の速力こそが、自分の船の速力を決定する上で重要です。
例えば、前方に低速の船が居るならば速力を落とすことを検討するべきです。
なぜなら追突の危険があるからです。当然のことです。
また、追い越される側の船は、後方から高速の船が追い上げて来たとき、若干船を右に寄せて速力を落し、安全に左舷側を追い越させるよう配慮するべきです。このあたりは基本的に車と同じです。
メディアの報道のように、反航船と最狭部ですれ違うことを根拠として速力を落とすべきと主張するのは無理があります。
なぜなら、基本的に関門海峡のように狭い航路においては、反航船は互いに危険な関係にあるからです。
もし反航船が突然転舵し、自船の前方に割り込んでくれば衝突を避けられません。
それを解決するのは「信頼の原則」です。
反航船は特別な事情がない限り、近距離で突然に自船の前に割り込んでくることはないと信頼しなければ関門海峡は通過できません。
これは自動車でも同じことです。
狭い道で対向車とすれ違う時、向こうからやってくる車が、どの車もいつセンターラインを越えて目の前に飛び出してくるかわからないというのでは、自動車の運行などできません。
対向車は飛び出してこない、と信じて走る。それしかないのです。
もとろん特別な事情で、対向車が飛び出してくる可能性もないではない。
しかし、それはエンジンや舵の故障の場合であり、人為的なものではない。
もちろん、事故が発生した場合に、事故当事者双方の速力が適当であったかは、検討の対象になります。
事故調査をするときには、たとえそれが12ktでも、9ktでも調査の対象になる。
その意味では、「くらま」の速力が過大だったかどうかは、事故調査等の検討課題のひとつです。
しかし、本件事故の経緯は、
(1) 韓国船カリナスターが前方に低速で航行する貨物船が居たにもかかわらず、漫然と12~15ktの高速力で航行していた。
(2) そのためカリナスターは、前方を航行する貨物船と接近した。
(3) カリナスターは、貨物船との接近・衝突を避けるため、貨物船の右舷を追い越そうとした。
(4) しかしながら、左舷を追い越すよう関門マーチスから通報を受けたことから左に転舵した。
(5) この時、貨物船が減速したことからさらに急接近し、貨物船との衝突を避けるため、カリナスターは、更に左に大きく転舵した。
(6) カリナスターは、折からの潮に流され、船首が大きく左に振れ、反航船であるくらまの前方を横切る体勢となった。
(7) 護衛艦くらまは緊急停止の処置を行ったが艦の行き足が止まる前に艦首がカリナスターの右前部に衝突した、
というものです。
従って事故の主因は
A) カリナスターは、事故直前に、反航船(護衛艦くらま)が居ることを認識していたにもかかわらず左へ転舵したこと。
副因は
B) 前方に低速6ktの貨物船が航行しているにもかかわらず、カリナスターは漫然と12~15ktの高速で航行し、貨物船に異常に接近する状況を生起させたこと。
つまり、
C) 「くらま」は、韓国船カリナスターが航路に沿って安全に航行し、互いに左対左で航過するものと信頼することが当然であって、カリナスターが航路の右よりを航路に沿って航行している時点で危険を予測することは困難である。
従って事故の原因をくらまに求めることはできない。
D) くらまは艦長による甲板上の指揮も適切に行われており、艦橋、前後部甲板、CIC及び機関科操縦室の配置は増強され、周囲に対する警戒及び緊急操艦に対しての機関の準備も適切に維持されていた。
C) このような体制下にあっても、予測できないカリナスターの直前での左転舵によって航路をふさがれ、機関を後進にするとともに、乗員を退避させたけれど、行き足が停止する前にカリナスターと衝突した。
以上のとおり本件は、安全な速力の問題は韓国コンテナ船にこそ責任を求めるべき問題といいきることができます。
にも関わらず、NHKは、次のような報道を行っています。
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海上保安庁では護衛艦が安全な速度を超えて航行していた疑いがあるとみて捜査を進めています。
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まるで、「くらま」の側に問題があったといわんばかりです。
上でも述べましたが、事故が起きれば両当事者の針路速力が妥当であったか常に検討の対象にされるのは当然のことであって、被害者であるくらまであってもその検討から逃れることはできません、つまり、海保の捜査は、ごく一般的なことに過ぎないのです。
安全な速力を一定の数値で表すことはできません。
あくまでもその時に応じた適切な速力です、他船に被害を与えれば安全でなかったと評価されるのです。
従って、上の報道は、NHKによる意図的かつ悪質な印象操作の一例であるということができます。
追加として、くらまのエンジンは蒸気タービンと呼ばれるもので、所謂蒸気機関車と同じで、ボイラーで高圧・高温の蒸気を作りタービンに当てることでタービンを回します。
この回転力は減速機を介してプロペラに伝えられますが、プロペラの羽根は固定式で「機関を後進にする」とはこのプロペラを逆方向に回転させることでフネに後ろ向きの推進力を与えるのです。
後進(バック)するためには、前進タービンに供給する蒸気を絞り込み、タービンの回転を減少させたうえで、減速機と前進タービンを切り離し、後進タービンと減速機を接続して、蒸気を後進用タービンに送り込むという手順を踏まなければなりません。
つまり「くらま」のエンジンは、その仕様上、実際にプロペラが逆回転を始めるまでに時間がかかるとともに、プロペラが逆回転を始めた時点では艦の速力はほとんど落ちておらず、プロペラの逆回転による後ろ向きの推進力によって前進の速力が順次下がって停止する。
このため、号令では「両減停止、後進一杯、急げ」と令するのですが、停止するまでに数百メートル前進してしまう。
基本的な緊急回避動作としては、「面舵(右)一杯」を同時に令し、機関を後進に入れたことを他船に知らせるため汽笛の短音3声を吹鳴します。
今回の事故では、右側には下関市がありますので面舵を取っていません。
また短3声は甲板の乗員を退避させるため及び乗員に衝突を警告するため吹鳴しなかったようです。
要するに「くらま」の事故発生前後の措置は、きわめて正確かつ整然と行われていた。
一方、韓国船カリナスターは、追い越し禁止の狭い関門海峡の隘路で、前方を航行する貨物船を高速で強引に追い越そうとしただけでなく、貨物船の右舷から追い越すべきところを、途中から左舷からの追い越しに、減速もせずに急に切り替え、舳先を潮にとられて船を海峡を塞ぐような形で横向きにさせた揚句、そのままの高速で「くらま」に突進し、衝突した。
その様子は、まるで“右舷から追い越しをかけるようにみせかけて、左舷からの追い越しに急転回し、日本の護衛艦「くらま」に、まさに体当たり突撃をした”かのようにさえ、見えます。
これだけの証拠がありながら、それでもなお、自衛艦に無理やり責任をなすりつけようとする日本のメディア。
そして事案の事実よりも、韓国との国交を優先させよ、と指示を出した鳩山総理。
ここは日本です。
そして日本人は、なによりも、正直であること、公正であることを大切にする国民です。
日本が日本であるために、本件事故について、正確かつ公正な事実を多くの人々に知ってもらう必要があると思います。
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